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日本・バングラデシュ交流メールマガジン(第36号・2005/6/30)
―日本とバングラデシュの橋渡しのために―
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□ 目次 □
【1】堀口大使メッセージ「バングラデシュ若手実業家への期待」
【2】最近の日本・バングラデシュ関係
[これから]
●対バングラデシュ国別援助計画に関する意見交換会(7月5日・ダッカ)
●日本・バングラデシュ関係強化セミナー(7月7日・ダッカ)
[これまで]
●農村開発勉強会(6月30日・ダッカ)
●ジア首相訪日事前取材(6月27日〜7月2日・東京、名古屋、京都)
●世界食糧計画現場視察(6月25日・セラジガンジ)
●エイド・コミラ研修所開設式(6月23日・コミラ)
●アジア太平洋保健ミレニアム開発目標フォーラム(6月21〜22日・東京)
●日本人会総会(6月17日・ダッカ)
[おしらせ]
●バングラデシュ2005-2006年度政府予算
【3】特別寄稿「インド古典舞踊」
(インド古典舞踊教室・進藤りえ)
【4】バングラデシュ案内(第27回)「農村の学校」
【1】堀口大使メッセージ「バングラデシュ若手実業家への期待」
かつて本メッセージで、当地に長く住んでいる外国人の話として、近年の目覚
ましいダッカの発展には外国帰りの若き実業家の活躍が大きく、この傾向が続
けばバングラデシュの経済は良い方向に向かうだろうとの趣旨を書いたことが
あります。
先日、ダンモンディに開店したばかりの「エトセトラ」2号店を見に行きまし
たが、グルシャン通りの「エトセトラ」1号店と比べて、2号店は数倍も広
く、陳列されている品数も陳列方法も、したがって店の雰囲気も大分違ってい
ます。陳列品としては、ブランド物の衣類、革製品、化粧品、CD・DVD、
時計、文房具、置物の他、他の店にはあまり見られない品としてオーディオ製
品、高級玩具、そして大きなコーナーを占める出版物が目につきました。
陳列方法は広い売り場を活かしてゆったりとしており、高級感と共にくつろぎ
感すらあり、これまでバングラデシュでは余り見られなかった売り場空間で
す。他方、並んでいる品物の多くはインド製か中国製で、その値段は、関税が
「贅沢度」に応じて85%、65%、35%と高いため概して高額です。それでもこ
のような高級店がやっていけるのは、少しぐらい高くても買える購買層が厚く
なっているためだと思われます。
この新しい店を作った専務取締役のサイード・M・ムルシェッド氏は、長くシ
ンガポールやカナダで学び暮らしてきた弱冠30歳の若手実業家です(母親は名
門私立校「スコラスティカ」の校長)。
売り場の端から端まで案内してくれたムルシェッド氏の熱心な話しぶりを聞き
ながら、冒頭の外国帰りの若手実業家に関する話を改めて思い出しました。同
氏によれば、彼の一番の関心は新しい購買層に新しい商品を紹介して需要を掘
り起こすことであり、一番の問題点は、小売業の監督官庁・税関の役人に新し
いビジネス方法や新しい商品について理解してもらうことであるとのことでし
た。
先般、民間セクター発展のためのバングラデシュの若い実業界の人々から話を
聞く機会がありましたが、その時も政府が干渉しないことが最善の政策である
との指摘があり、また、暫く前、別の若手実業家とダッカの発展方法について
話をした際、ダッカの中心にある軍のカントンメントを郊外に移し、跡地の有
効な利用方法について発言がありました。
これらの発言を聞くにつけ、バングラデシュ経済の発展に当たって、既成の考
えにとらわれない若い実業家達への期待を大きくしました。このような若手実
業家が自由に活躍できる環境が整備されていけば、バングラデシュが大きく変
わっていくのは時間の問題です。私たちとしてもそのような環境の実現に向け
て支援していけたらと思います。
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【2】最近の日本・バングラデシュ関係
[これから]
●対バングラデシュ国別援助計画に関する意見交換会(7月5日・ダッカ)
7月5日午後5時より、日本大使館会議室において、「対バングラデシュ国別
援助計画・第一次案を皆で徹底的に議論する!」とのテーマで、第25回開発援
助勉強会を開催します。
対バングラデシュ国別援助計画は、今後数年間の我が国の対バングラデシュ支
援に関する基本的な援助方針となるもので。現在改定作業が進められていま
す。
今回の勉強会では、在バングラデシュ大使館の紀谷経済協力班長から、現地タ
スクフォースを代表して、この国別援助計画の第一次案について発表し、これ
をもとに出席者間で意見交換を行う予定です。
本勉強会は、対バングラデシュ国別援助計画改定に向けてのパブリック・コン
サルテーションの一環として、当地の民間企業、NGO、国際機関、研究者をは
じめとする在留邦人の皆様と、国別援助計画の第一次案に関する議論を行うこ
とを目的としているものです。ご関心ある方はどなたでも参加を歓迎しますの
で、皆様お誘いの上お気軽にお越し下さい。多数のご参加をお待ちしておりま
す。本勉強会への出席を希望される場合は、大使館加山までご連絡いただけれ
ば幸いです。
mitsuru.kayama@mofa.go.jp
参加のご連絡をいただいた皆様には、事前に電子メールにて国別援助計画・第
一次案を送付させていただきますので、お時間がありましたら予め内容をご覧
いただければ幸いです。また、関連資料は下記のウェブサイトに掲載しており
ますので、よろしければこちらもご覧ください。
対バングラデシュ国別援助計画関連資料:
http://www.bd.emb-japan.go.jp/jp/bdmodel/kunibetsu.html
本セミナーについては以下のウェブサイトをご覧ください。
http://www.bd-emb-japan.go.jp/jp/bdmodel/050705flyer.html
●日本・バングラデシュ関係強化セミナー(7月7日・ダッカ)
バングラデシュ日本友好協会は、7月7日(木)午後4時半から、ナショナル
・プレス・クラブにおいて、日・バングラデシュ関係の強化についてのセミ
ナーを予定しております。
堀口大使は主賓として出席し、新井JICA所長、天田JBIC首席駐在員、西川
JETRO所長の他、バングラデシュ政府や他の研究機関からもゲストが出席する
予定です。
[これまで]
●農村開発勉強会(6月30日・ダッカ)
6月30日、日本大使館会議室において、農村開発勉強会が行われました。農村
開発分野の国際機関アジア太平洋総合農村開発センター(CIRDAP)の所長がそ
の事業内容や今後の展望についてお話ししました。また、タンガイルで活躍中
の2名の隊員が、マタボール(伝統的リーダー)についての研究成果を発表し
ました。
●ジア首相訪日事前取材(6月27日〜7月2日・東京、名古屋、京都)
7月中旬のジア首相訪日を前に、外務省対外広報局長を団長とするバングラデ
シュ記者団5名が、日本政府の招待により、6月27日から7月2日にかけて日
本を訪問中です。
既に、谷川外務副大臣を始めとする政府関係者、JICA、JBIC、JETRO関係者、
日バ経済関係者、国際研修協力機構(JITCO)関係者等とのインタビュー、
「愛・地球博」視察を終え、明日は京都を視察する予定です。
●世界食糧計画現場視察(6月25日・セラジガンジ)
6月25日(土)、堀口大使は、クッツ世界食糧計画(WFP)当地代表と共に、昨
年の洪水で被害を受けた地域におけるWFPの食糧支援の様子を視察しました。
先般日本の提供した12,528トンの米が、WFPによって配給されたものです。堀
口大使は、WFPによるビタミン・ミネラル豊富なビスケットを製造している工
場も視察しました。
プレスリリースは以下のウェブサイトをご覧ください。
http://www.bd.emb-japan.go.jp/en/news/pr/pdf/pr_wfp250605.pdf
●エイド・コミラ研修所開設式(6月23日・コミラ)
6月23日、当地のNGOエイド・コミラが、日本政府の支援により完成した研修
所の開設式を行いました。エイド・コミラは地域の人々の能力向上、貧困削減
のために様々な活動を行っており、同研修所は今後、エイド・コミラや他の
NGOによるセミナーやワークショップを開催していく予定です。
堀口大使は席上、以下のスピーチを行いました。
http://www.bd.emb-japan.go.jp/en/embassy/speeches/sp_aidcomilla230605.html
プレスリリースは以下のウェブサイトに掲載しています。
http://www.bd.emb-japan.go.jp/en/news/pr/pr_aidcomilla230605.html
●アジア太平洋保健ミレニアム開発目標フォーラム(6月21〜22日・東京)
6月21〜22日、日本は、ADB、世銀、世界保健機構(WHO)の協力の下、東京で
「アジア太平洋保健ミレニアム開発目標ハイレベル・フォーラム」を開催しま
した。バングラデシュからはホサイン保健大臣が出席しました。
プレスリリースは以下のウェブサイトをご覧ください。
http://www.bd.emb-japan.go.jp/en/news/pr/pr_mdg200605.html
このフォーラムの詳細については以下のウェブサイトをご覧ください。
http://www.mofa.go.jp/policy/health_c/forum0506/index.html
●日本人会総会(6月17日・ダッカ)
6月17日、パンパシフィック・ショナルガオン・ホテルにおいて、平成17年度
ダッカ日本人会総会が開催されました。事業報告、会計報告、監査報告、規約
改正案議決、平成17年度役員選挙、日本人学校及び同好会等活動報告・紹介等
が行われました。今次規約改正により新たに誕生した女性理事を含め、計10名
の新理事が選出されました。
[お知らせ]
●バングラデシュ2005-2006年度政府予算
バングラデシュ2005-2006年度政府予算について、当館及びJETROダッカ事務所
にて資料を作成しました。以下のウェブサイトをご覧ください。
(予算概要)
http://www.bd.emb-japan.go.jp/jp/content/yosan2005-2006.html
(予算教書全文/JETROダッカ事務所作成)
http://www.bd.emb-japan.go.jp/jp/pdf/05-06_nationalbudgetfulltext.pdf
(図表集)
http://www.bd.emb-japan.go.jp/jp/pdf/05-06_national_budget.pdf
予算関連資料の原文はこちらからダウンロードできます。
http://www.mof.gov.bd/index.html
【3】特別寄稿「インド古典舞踊」
(インド古典舞踊教室・進藤りえ)
インド舞踊との出会いは、今から13年前のことでした。
インドのシャンティニケタン(カルカッタから北へ150キロの村)に暮らし始
めた頃のことです。そこは、詩人タゴールが理想の教育を目指して作った大学
のある自然豊かなのどかな地でした。シャンティニケタンでは、学園の行事や
お祭のときなどに、学生たちがタゴールダンスを踊り、彩りを添えていまし
た。
タゴールダンスとは、インド古典舞踊のマニプリ(マニプリ州に伝わる)とバ
ラタナティアム(南インド、タミルナドゥ州に伝わる)のステップを合わせて
作ったタゴールの創作ダンスで、タゴールが作った歌と一緒に踊られます。
シャンティニケタンでは、小学校から教科の中にタゴールダンスが入っている
ので、ここの学生たちは小さな頃からダンスに親しんでいます。私もこのシャ
ンティニケタンの地で、インド古典舞踊のひとつ、マニプリとタゴールダンス
を学びました。
それから約3年間のインドでの滞在の後、結婚を機にここバングラデシュの
ダッカで暮らすことになりました。ダッカでは、バラタナティアムの舞踊家で
国内外で活躍中のアニスール・イスラム・ヒロ先生との出会いがあり、バラタ
ナティアムを学んでいます。
バラタナティアムというのは、南インドのタミルナドゥ州に伝わるインド古典
舞踊で、もともとヒンドゥー教の寺院で神にささげるために踊られていたもの
です。例えば、基本ステップを修得し、最初に習う曲目「アラリプー」は「開
花」という意味で、花のつぼみから徐々に花開いていく様子を表現し、そして
踊り手自身が花となり神に祈りを捧げる、という内容です。
その跡に習う曲目では、いろいろなヒンドゥー教の神様たちも登場します。い
たずら好きな子供時代のクリシュナ神のお話、シヴァ神と女神パールバティと
の恋物語、ヒロインが愛するヴィシュヌ神を誘惑するお話など、いろいろな演
目があります。
バラタナティアムの踊りの特徴は、目、首、指、腕、足の動き、指先までピン
と張った緊張感、そして集中力、それらを最大限に使うことにあります。そし
て同時に話の内容を手と表情、体全体で伝えていきます。肉体的な技術も必要
ですが、それ以上に踊り手の精神性、心のあり方が問われる踊りです。例え
ば、踊るとき、まず手を動かすとその指先に目を向け、そしてそこに気持ち、
自分の心を持っていき、初めてひとつの動きとなります。その動きによって踊
り手の心は観客へと伝わっていきます。
現在、我が家でもヒロ先生に来ていただいて、初心者向けのバラタナティアム
の教室を開いています。大人のクラス、そして子供のクラスもありますのでご
興味のある方はどうぞいらしてみてください。
【4】バングラデシュ案内(第27回)「農村の学校」
先日、ガジプール県にある小学校を訪れました。この小学校は、UNICEFの
IDEALプロジェクトを通じた日本の支援による30品目以上の各種教材がおいて
ありました。また、現在新校舎を建築中でした。
この学校は日本のほかノルウェーなどからも支援を受けており、その中には、
ベンガル語や英語で書かれた絵本などもありました。これら合わせて1722冊の
本は、生徒に1週間単位で貸し出ししているそうです。
校長の執務室には学区の地図があり、通っている生徒の家を学年別に色分けし
た点で表示してありました。来ない生徒には、先生が直接働きかけるそうで
す。先生の一人に聞いてみると、学校に来ない生徒達は、女子は家事や子守に
従事し、男子は親が見つけてきた工場などでの仕事についているそうです。
校長室を出て、実際のクラスを見学しました。各クラスとも生徒数が多く、2
年生のクラスは一クラスに102人もいて、二人用と思われる長机に4人座って
いました。校長はことあるごとに教室が少ないと言っていました。しかし、学
年が上がるに連れて生徒数が少なくなり、5年生のクラスは10人ほどでした。
2000年までは、学生数に対する教室数の少なさを解消するために2シフト制を
行っており、午前と午後で別々のクラスを行っていたそうです。
また、敷地内には、先生のための研修施設がありました。県内150校を6回に分
けて各2日間のセミナーを行っているそうで、この日はたまたまこの学校で科
学実験の指導を行っており、海外青年協力隊員が指導に来ておりました。先生
の研修には、先生の知識を補うものと、生徒がより楽しく勉強できるような技
術の指導とがあるそうです。
これまでは、どちらかというと記憶中心の押し付け教育だったものが生徒参加
型の指導に変わっているようです。たとえば、これまで日本の小学校でよく行
われるドリルのような反復練習教材が存在しなかったそうで、日本の協力隊員
の発案でUNICEFによって計算ドリルが出版され、この学校をはじめとする多く
の学校で使われているそうです。
今後も地域の人々の教育に対する認識が高まり、全生徒が確実に学校に来られ
るようになれば、バングラデシュの識字率向上、貧困削減に向けて大きく前進
することになるだろうと思いました。日本としても教育セクターを効果的に支
援していければと思います。
(在バングラデシュ日本大使館・飴谷貴信)
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