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バングラデシュ政府2005-2006年度予算

バングラデシュ政府2005-2006年度予算(概要)

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1.予算編成の基本方針

(1)貧困削減戦略文書 (PRSP) に沿った予算編成(予算全体の 54 %を貧困削減事業に充 当)を通じてミレニアム開発目標 (MDGs) の達成を目指す。

(2)税制改革について、現在の歳入の対 GDP 比は 10.5 %と世界的に見ても低い水準となっ ているので、所得税の拡充をはじめとする税制改革を継続して更なる歳入増を図る。

2.予算の骨格と財政赤字動向

(1)予算規模は 6,438 億タカと対前年補正比で 15.7 %増。うち、一般予算が 3,887 億タ カで 12.1 %増、年次開発予算( ADP )が 2,450 億タカで 19.5 %増。開発予算の 51.6 % が国内 資金、 48.4 % が外国 援助。

(2)歳入は 4,572.2 億タカと対前年補正比 16.6 %増。うち、税収が 3731 億タカで 16.5 %増、税外収が 841 億タカで 16.0 %増。税収のうち、付加価値税が 19.5 %、輸入税が 13.8 %、所得税が 19.0 %とそれぞれ増加。

(3)新年度予算(一般予算+開発予算)では、教育・技術分野( 15 %)、運輸・通信 ( 10.3 %)、地方自治・農村開発( 9.9 %)、農業( 7.3 %)、保健( 6.6 %)に優先的に 配分。

(4) ADP 歳出では、地方自治・農村開発( 20.8 %)が最も配分が多く、次いでエネルギ ー( 16.9 %)、運輸・通信( 16.5 %)、教育・技術( 13.1 %)、農業( 10.3 %)、保健 (8.6 %)となった。

(5)前年度の財政赤字は、 GDP 比 4.5 %と当初予算見込みの同 4.3 %から増加した。新年 度の財政赤字は 1,866 億タカで GDP 比 4.5 %( 2005 年度補正予算と同水準)を見込んでいる。

3. 主要政策

(1)経済 (P. 7 )

(イ)前年度 5.4 %(推計)の GDP 成長率を新年度は GDP 6%成長を目指す。

(ハ)外貨準備高は今後も継続して増加し 30 億ドル程度の水準で落ち着く見込み。

(2)人材開発(教育・保健)( P.11 )

(イ)教育セクターは、前年度より引き続き新年度も 968.6 億タカと最も配分が多く、一 般及び開発予算をあわせて全体の 15 %を占めている。初等教育では、 500 億タカを第2次 初等教育開発プログラム (PEDPII) 、 400 億タカをノン・フォーマル初等教育に充て、初等 教育就学率 100 %を目指す。他方、中等・高等教育に関しては、女子学生に重点を置いた 各種奨学金の設置他、職業・技術訓練の拡大を図る。

(ロ)保健セクター( 424 億タカ)は、現在実施中の保健・栄養・人口セクタープログラ ム (HNPSP) (3ヵ年全体で 950 億タカ ) の下、県及び郡レベルの保健施設、大学病院等の医 療施設のベット数の増加、医療従事者の増加、高等教育機関における医療サービスの提供 及び研修の充実等を行う。更に、医療体制強化を補完するものとして、法整備を通じた製 薬産業の強化・拡大、外国投資の誘致を行っている。

(3)農業・水資源・農村開発・農村インフラ( P.14 )

(イ)前年度当初予算より 43.6 億タカ増の 221.3 億タカを充当し、農業セクターでは普及 、調査、現場研修、生産、農業製品マーケティング、灌漑等の強化を行う。農業生産コス ト削減のために現在実施中及び新年度より開始される施策は、現行の肥料輸入に対する 25 %補助金の継続、穀物を対象とする農業融資金利の引き下げ、農業融資の元金返済期間 の延長、灌漑使用を対象とする電気代補助、農産物(野菜、果物を含む)輸出に対する 30 %の現金補助の継続、アグロ・ビジネスを対象とした電気料金への 20 %の補助金付与の 継続、農業融資に対する 5 %金利の維持及び中央・地方レベルにおけるモニタリング体制 強化を通じた農民の融資へのアクセス確保となっている。

(ロ)水資源( 123.4 億タカ)に関しては、食糧生産増加に資する洪水管理、排水・灌漑 開発等を含む効果的な水資源活用を実施する。

(ハ)地方自治及び農村開発セクター( 638.3 億タカ)は、前年度当初予算より 148.1 億 タカ増加し地方自治の活動を支援する。

(ニ)新年度、地方農村開発技術局( LGED )の農村インフラ・プログラムの下、 1 万キロ の道路舗装、 9,500 キロの簡易道路の整備を行う。また、ユニオン評議会ビル建設、サイ クロン施設、市場の整備のほか、洪水復興プログラムにおいて道路及び下水施設の整備を 行う。更に、砒素汚染地域において安全な水供給を行うための整備を行い、 2010 年までに 衛生施設の全世帯完備を目指す。

(4)雇用創出・貧困削減プログラム (P.18)

開発予算に加えて、貧困削減、社会セーフティネット、雇用創出プログラム対象に一般 予算 460 億タカが充てられる。

(イ)セーフティネット 現行のプログラムの主な対象は、高齢者、女性、貧困層、自然災害による被災者、障害 者、ホームレス、失業者となっている。新年度より、知的障害者、自然災害等による失業 者に対する助成プログラムを開始する。

(ロ)経済的要因によるショックの緩和

(ハ)前年度より開始されたリストラ及び自発的理由による失業者、縫製産業労働者に 対する研修・雇用プログラムを新年度も継続。

(ニ)雇用創出 貧困層対象とした雇用創出を目的とした主な特別融資プログラムとして、各省庁及び NGO を通じた女性・貧困層へのマイクロ・クレジットの提供及びマイクロ・クレジットと 研修を組み合わせた雇用機会の創出、農村における小規模企業の開発・育成、中央銀行実 施によるアグロ・ビジネス、食物加工、ソフトウェア分野への投資に対する支援等が掲げ られている。

(5)インフラ整備 (P.22)

(イ)電力・エネルギー 電力・エネルギーセクター( 427 億タカ)においては、新たな発電所や天然ガスの発掘 、輸送ライン建設のプロジェクトが進んでいる。バラプクリア炭鉱プロジェクト、及び現 在検討中の電力プロジェクトが実行されれば、それぞれ年間 100 万トンの石炭の採収、今 後3 ? 5年内に 2,910 メガワットの電力の追加的供給が可能になる。

(ロ)運輸 前年度中にカーン・ジャハン・アリ橋、ハジ・ショリアトゥラ橋、クシアラ橋が完成し 、 1,700 キロの道路舗装が実施された。また、新年度はダッカーチッタゴン間高速道路 (4車線) 建設が開始され、今後2年間の内にチッタゴンーフェニ間の 4 車線化完成が見 込まれている。 先般、クウェート政府の支援による第3カルナフリ橋建設が決定され、新 年度中に建設に 着手する予定。

(ハ)通信 過去4年間に電信電話公社( BTTB )の電話通信容量は 100 万、接続件数は 85 万と拡大して いる。 現在、デジタル通信サービス(インターネットを含む)は全ての県と 175 の郡で利用可能 となっているが、全ての郡への普及拡大を新年度に実施する。

(ニ)金融 国有商業銀行改革に関しては、ルパリ銀行の民営化及びその他3行の経営強化が継続し て実施されている。不良債権処理は順調に進んでおり、政府の保有株式は徐々に民間に売 却される見込み。

(ホ)投資 2004 年(暦年)の対バングラデシュ海外直接投資 (FDI) は、 US 6 億 5,300 ドルとなり対前年 比 48 %増となった。現在投資が検討されている案件の推計合計額は 120 億ドル前後とな っている。他方、国内民間投資については、 2005 年度第3四半期( 2004 年7月から 2005 年 3月)までの民間貸付額は対前年度同時期比 43 %増となっている。

(ヘ)貿易 昨年末の多国間繊維取極め( MFA )失効後も輸出は好調に伸びている。しかし、縫製産業 の統合及び拡大を達成する上で補完的役割を果たす繊維セクターの効率化及び生産力強化 は不可欠との認識から、開発パートナーから US 4千ドルの支援を得て「 Post-MFA Action Program 」を実施し競争力強化を図る。繊維製品輸出に対する現金補助については、一度 廃止を決定したが、再度方針を変更し、新年度も現行の 5 %の現金補助を継続する。

(6)ガバナンス・改革 (P.26)

プロジェクト実施の効率化及び透明性の確保、中期財政枠組みの採用・拡大、各省庁レ ベルでの公共財政運営及び内部監査体制強化、政府調達の透明化・効率化、法と秩序の確 保のための警察及び緊急行動部隊 (RAB) 強化、迅速な裁判・女性のエンパワメント・子ど もの権利の保護のための法整備と貧困層・社会経済開発のための法的支援、反汚職委員会 (ACC) の組織体制強化、公務員給与の引き上げ、外国援助の効果的実施を推進する。また 、セクター・レベルにおいても改革プログラムの実施及びモニタリング・評価体制強化を 通じてガバナンス改善を実現する。

(7)課税政策

(イ)所得・法人税 (P.31)

(i) 非課税所得の上限を現行の 10 万タカから 12 万タカに引き上げると共に、最高税 率の下限を 90 万タカから 102 万タカに引き上げる。

(ii) 非上場企業 に対する課税を 37.5 %から 40 %に増加。

(iii) 株式売却益税の前払いを現行の 20 %から 10 %に引き下げる。

(iv) 金融機関の預金利息に対し 10 %の課税を行う。

(v) 輸出向けニット・ウェア及び縫製品に対する課税率を 0.25 %まで削減する。

(vi) 証券取引売買に対する課税率を 0.015 %とする。

(vii) 煉瓦工場を対象に営業免許の発行及び再発行に際し、生産力に応じて課税を行う。

(viii)2008 年6月末までソフトウェア産業の法人税を 10 %に削減する。

(ix) 会社法の下設立された病院及び家禽・酪農関連企業に対する課税免除を 2008 年度末( 2008 年6月末)まで延長する。

(x) 経済社会的発展、輸出産業、及び雇用創出の観点から、前年度末に課税免除措置の 廃止が予定されていたタックス・ホリデーを 2008 年度末( 2008 年6月末)まで延長する。

(xi) 慈善団体及び教育機関に対する助成金に対する税金払い戻し (tax rebate) を行う。

(ロ)関税・補完税 (P.36)

(i) 現行の関税率( 7.5 %、 15 %、 25 %)を維持する。

(ii) 補完税( Supplementary tax) については、現行の5段階から3段階に変更する。一 部健康及び環境に有害な品目等については、現行の高い補完税率を維持する。

(iii) 農業セクター育成保護のために、農業生産に必要な原材料及び機械類等の減税の 他、一部肥料に関しては課税控除を行う。

(iv) 家禽・酪農産業育成のために、全ての原材料、薬品、機械類に対し関税控除とする。

(v) 縫製産業の育成・保護のために、全ての機械類、部品等にかかる関税免除を行うと ともに、染料・化学原材料に対しては譲許的な関税を課す。

(vi) 革製品製造業においても、染料・化学原材料に対する関税は譲許的なものとする。

(vii) 携帯電話産業は着実に成長している。現行の一台当たり 1,500 タカの関税を 300 タカに 減税するとともに、接続に際し一台当たり 1,200 タカを課税する。

(viii) 国際市場で原油価格は高騰しているが、国内価格を維持するため原油に対する関 税を現行の 25 %から 7.5 %に削減する。また、石油製品については現行の 25 %から 15 %に 減税し、補完税については撤廃する。

(ハ)付加価値税 (P. 41)

( i ) 輸出加工区 (EPZ) の 100 %輸出指向産業に対する公共料金、保険、海上輸送運賃等 の付加価値税( VAT )免除を EPZ 以外の 100 %輸出指向産業にも拡大して適用する。

( ii )農業セクター支援の一環として農薬関連製品に対する VAT を免除する。


予算関連資料は、 バングラデシュ財務省財務局ウェブサイトに掲載:

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