バングラデシュ国家予算案(2018/19年度)ムヒト財務大臣スピーチ概要

平成30年7月31日

バングラデシュ国家予算案(2018/19年度)ムヒト財務大臣スピーチ概要

6月7日,ムヒト財務大臣が国会にて予算演説を行い,2018/19年度予算の政府原案を国会に提出した。その概要以下の通り(在バングラデシュ大使館 経済・開発班翻訳)。尚,本文中の各種数字に関しては,スピーチ本文からの引用となる。
 
スピーチ本文:https://mof.portal.gov.bd/site/page/9ea7529b-c8ef-49b5-8b8e-87ef72a2b3ec
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1. 導入及び背景
(1)2011年~2020年の2つの5カ年計画で設定した目標を順調に達成している。21世紀に入ってからの平均成長率は6.66%であり,直近2年間は7%を超えた。「バ」統計局の予測によれば,2017-18年度の成長率は7.65%となる見込み。
(2)地域コネクティビティの設立,及びロヒンギャを含む移民問題の解決を主導していく。
(3)国際社会において,「バ」の社会経済的発展は顕著であり,以前は「バ」は「底なしのバスケット(bottomless basket)」と形容されていたが,現在は「開発の奇跡(development-miracle)」と認識されており,IMFの分類においてもGDP規模で43番目,購買力では32番目に位置している。
(4)「バ」の開発事業に更なる勢いをつけること,雇用創出は使命であり,通信・電力・エネルギー等の成長を促進するインフラ建設,及び投資に友好的な環境の構築に引き続き努力していく。
 
2. 成長に向けた10年間の軌跡
(1)2009年の自由で公正な選挙による政権への就任
2009年からの10年間で下記項目を達成した。
➀平均GDP成長率6.6%を達成
(2)公共投資を4.3%から8.2%まで上昇
(3)1人あたりのGNIは759ドルから1,752ドルに上昇
(4)インフレ率は12.3%から5.8%へ削減
(5)対GDP歳入比率は9.2%から10.3%へ上昇
(6)予算額は8,900億タカから4兆6457億3千万タカへ拡大
(7)年間輸出額は156億ドルから348億ドルへ増額
(8)年間輸入額は225億から470億へ増額
(9)外貨準備高は75億ドルから322億ドルへ増額
(10)貧困率は31.5%から24.3%へ削減,極度貧困率は17.6%から12.9%へ削減
(2)人的資源開発
ア 人的資源開発:人的資源開発指標(HDI: Human Development Index)は,2009年時点の0.535から2017年発表時点では0.579に上昇した。初等教育への純就学率は2009年の94.8%から98%に上昇し,中退率は39.8%から18.8%へ減少した。また,教師1人あたりの生徒受け持ち数は46人から39人へ減少した。
イ 保健・栄養:1万3,500軒のコミュニティクリニックを運営し,1万3,842人のヘルスケアワーカーを雇用し地方の貧困層,及び周縁地域の人々に医療機会を提供した。妊産婦死亡率は,2009年の千人あたり2.59%から1.76%へ削減し,小児死亡率は,千人あたり39%から28%へ削減した。製薬産業は,2017年,国内需要の98%を満たし,145か国に対して319億6千万タカを輸出した。
ウ 雇用創出及び技能開発:毎年200万人が労働市場に参入している。2015-16年度から開始した,1億5千万人を対象にした10年間の労働者への技能,及び投資プログラムの下,18万2,756人に訓練を実施し,その内12万9,900人に雇用機会を提供した。また, 30か所技術訓練所,及び5か所の海洋技術機関を設立した。既製服産業(RMG)での適切な労働環境の確保,及び労働者の福利厚生の向上にも努めていく。既製服産業の最低賃金は,2009年の1,662タカから5,300タカへ上昇した。
(3)物理的インフラ
ア 電力及びエネルギー:電力創出量は,2009年の4,942MWから3倍増の18,353MWに上昇し,発電所数は27か所から118か所へ増加した。電力享受人口は47%から90%へ上昇した。オイル貯蔵量は,8,900万メートルトンから1億2,210万メートルトンへ増加し,ガス生産能力は17億4,400万立方フィートから27億5千万立方フィートに拡大した。
イ 通信インフラ及び港湾開発:2008-09年度から2016-17年度の期間において,465kmの道路を4車線化,3,931kmの高速道路の補強,4,592kmの高速道路の拡張,842か所の橋,及び3,546か所の排水渠(culvert)を建設した。右に加えて,1,594kmの県高速道路の修復,多数のフライオーバー,及び鉄道高架道路を建設した。また,298kmの鉄道,276か所の鉄道橋,82か所の駅舎が建設され,249kmの鉄道架線のデュアルゲージ化,62か所の未稼働駅舎を稼働させた。また,ダッカ-チッタゴン間鉄道321kmの内,249kmを2線路化した。
ウ 経済特区及び大規模事業:2030年までに100か所の経済特区設置目標に対して,これまでに76か所の経済特区が承認されており,10か所は首相が着工式を行った。さらに26か所の経済特区設置の建設が進行中である。また,大規模事業(Mega project)として,以下10事業を指定する。
➀パドマ多目的橋事業
(2)パドマ橋鉄道事業
(3)ループプル原子力発電所事業
(4)ランパル石炭火力発電所事業
(5)ドハザリ-ラム,及びラム-グンダム間鉄道接続事業
(6)ダッカ大量高速交通開発事業
(7)パイラ港建設事業(フェーズ1)
(8)ソナディア深海港
(9)マタバリ超々臨界圧石炭火力発電所事業
(10)モヘシュカリ浮体式LNGターミナル建設事業
(4)社会分野の進歩
ア 女性及び子供の開発:女性労働者数は,2010年の1,620万人から2016-17年度には1,860万人に増加し,「世界ジェンダーギャップ報告書」では,2010年の134か国中82番目から2017年には144か国中47番目に上昇した。また,子供に対しての予算配分額は年々増加しており,2020年までに全体の20%を配分することを目標としている。
イ 社会的保護政策:社会保障は,2005-06年度予算では37億3,200万タカの配分であったが,本年予算案では対GDP比2.55%及び全体予算の13.92%にあたる6,465億6千万タカを配分する。2005年では,13%の世帯のみが社会保障を享受していたが,2016年には28.7%まで上昇した。
(5)改革及びグッド・ガバナンス
ア 公的財政管理改革:「公共金融・予算管理条例2009」に従い,予算における財政赤字を対GDP比率5%以内に収めてきており,財政赤字における国内借入れへの依存を削減している。
イ デジタル・バングラデシュ:8,000kmの光ファイバーケーブルを敷設し,1,104ユニオンに高速インターネット接続を可能にした。また,クアカタに第2海底ケーブルを設置した。2018年4月時点の携帯電話加入者は1億5,030万人,インターネット加入者は8,600万人となり,携帯電話利用率は91%,インターネット利用率は50.1%となっており,人口の64%,及び地域の48%が第3世代ネットワークサービスを利用できる状況にある。また,1万8,434か所の政府関係事務所を統合的なネットワークで接続している。2018年5月11日,「バ」初めての衛星の打ち上げに成功した。
エ 戦争犯罪裁判:53件の独立戦争時の人道に対する犯罪を国際戦争犯罪法廷(International War Crime Tribunal)にて取り扱ってきた。
(6)経済の構造的改革:2005-06年度のGDPへの貢献比率は農業が19%,工業が25%,サービスが55.6%であったが,2017-18年度は農業が14.1%,工業が33.7%,サービスが52.18%である。持続的な経済発展に向けて,製造業を中心とする工業分野へ注力していきたい。
(7)世界経済と「バ」経済
ア 世界経済のトレンド:2017年の世界の平均GDP成長率は3.8%記録し,2018-19年は3.9%の見込みとなっており世界的な経済成長が予測されている。他方,世界的に消費品価格の上昇が見受けられ,原油価格,農産物,及び金属の価格上昇とインド,中国を含む近隣諸国でのインフレ率の上昇傾向が見られる。
イ 国内経済状況:「バ」統計局によれば,2017-18年度のGDP成長率は7.65%となる見込み(目標は7.4%)。農産物に関しては,本会計年度初頭の洪水の影響に苦しみながらも,アモン種とボロ種の収穫量は十分であった。また,個人消費は好調であり,好調な世界経済により輸出,海外送金,及び対内直接投資に良い影響をもたらしている。2018年4月時点のインフレ率は,食糧が7.3%,非食糧が3.5%であった。
 2017-18年度の9ヶ月間の歳入は修正目標の62.48%にあたる1兆6,210億9千万タカであり,国家歳入庁(NBR)収入の成長率は,直近6年間の平均14.6%を超えて15.4%となった。若年層を中心とした所得税の支払い意欲の増加と既存の付加価値税(VAT)法の下での自動化によるVAT収入の増加に期待している。
 2017-18年度の年次開発予算案(ADP)の執行率は61.1%に上昇した(前年同期間47.7%)。近年,大規模事業は順調に実施されており,ADP等の政府支出に大きく影響を及ぼすことが予想される。
 一部銀行の管理の問題による金融市場の流動性の不均衡が懸念されているが,適切な時期の対処により状況はコントロールされている。2018年4月末時点で,ブロードマネーの成長率,及び国内与信の伸長率は,「バ」銀行の金融政策の目標内の9.1%,及び14.4%であった。また,民間分野の与信伸長率は目標の16.8%より高い17.7%であり,民間分野の与信伸長率の増加は民間分野による高い投資状況を示している。
 本会計年度の10ヶ月間の対前年同期間対比の伸長率は,輸出が6.4%増加,海外送金が17.5%増加,輸入が24.5%増加であった。為替レート(対米ドル)は下落しており,輸出及び海外送金に有利な状況となっている。輸入の増加傾向は,大規模事業の実施に伴い継続する見込み。また,海外労働者数は大幅に上昇し,海外送金の増加が見込まれる。
 
3. 2017-18年度修正予算案
 2017-18年度予算において,VAT及び補足税法2012」の実施を仮定した歳入及び歳出案を決定したが,同法は2018-19年度まで施行を延期した。2018年3月時点の歳入は当初の目標の56.3%,及び歳出は41.8%であった。同執行状況を鑑みて,2017-18年修正予算案について述べる。
(1)修正歳入予算
 当初の歳入目標は2兆8,799億タカであったが,税収及びVAT収入の不足により,2兆5,945億4千万タカへ修正した。修正後のGDP比率は11.6%
(2)修正歳出予算
 当初の歳出目標は4兆26億6千万タカであったが,3兆7,149億5千万タカへ修正した。修正後のGDP比率は16.6%。年次開発予算(ADP)は,1兆5,333億1千万タカから1兆4,838億1千万タカへ縮小した。
(3)修正財政赤字及び借入れ
 当初の財政赤字は1兆1,227億5千万タカであったが,1兆1,204億1千万タカへ修正した。対GDP比率は,修正前後ともに5.0%。修正後の海外借入れ額は4,602億4千万タカ(対GDP比率2.1%)であり,国内借入れ額は4,610億タカ。ADP執行における外国援助の使用額は,2018年4月時点で,前年同時期の47.7%から61.1%へ上昇した。
 
4. 2018-19年度予算案枠組み
(1)歳入
海外無償援助を除く合計収入額は33,928億タカ(対GDP比率13.4%であり,その内国家歳入庁(NBR)税収は296201千万タカ(11.7%)NBR外税収は9727千万タカ(0.4%),及び税外収入が3,3352千万タカ(1.3%となる。
(2)歳出
歳出は46,4573千万タカ(対GDP比率18.3%であり,自治団体(Autonomous Bosies)への年次開発予算を含めた場合の歳出額は4兆7,244億2千万タカとなる。非開発予算及びその他の合計は2兆9,157億3千万タカ(11.5%),年次開発予算は17,300万タカとなる。
(3)年次開発予算(ADP)
ADPでは,支出の質の確保とともに,地域均衡(regional parity),人材開発,及びインフラ開発に注力して配分を行う。ADP26.9%は人材開発(教育,保健等)に割当て,21.8%を農業(農業,地方開発,水資源管理等),14.3%を電力・エネルギー,26.3%を交通(道路,鉄道,橋梁等),及び10.8%をその他分野に割当てた。
(4)財政赤字
(無償援助資金405億1千万タカを含む)合計財政赤字額は12,5293千万タカ(対GDP比率4.9%)。
 
5. 分野別戦略,実施計画,及び財源配分
 政策戦略及び実施計画の策定にあたり,以下5つの点を前提としている。第1に第7次五か年計画の実施,第2にLDCからの卒業の確定,第3に多様な分野におけるSDGsの反映,第4に経済の構造的改革,第5に「ビジョン2021」に替わる「ビジョン2041」の作成に向けた準備である。
(1)中期政策戦略
 予算作成の目的は,貧困の削減,不平等の解消,及び人々の生活水準に基本的及び定性的な変化をもたらすことである。
(2)持続的な高い成長
ア 国内需要:持続的な高い成長に向けて,国内需要及び投資,海外需要と輸出等のいくつかの分野への集中が必要である。現在,「バ」の経済の4分の3が民間分野の投資によって促進されており,労働者の85.1%がインフォーマルであることを考慮して,民間分野及び個人事業主への支援体制の創出により成長を促進することに注力するべきである。
イ 貿易拡大:2027年のLDC卒業による特恵の消失に向けて,競争力の強化に向けた準備をする必要がある。既製服(RMG)だけでなく,ジュート・ジュート製品,革・革製品,布及びポリテン製運動靴,冷凍魚,加工食品,製薬,及び自転車等の非伝統的製品などに注力し,輸出品の多様化に向けた努力をすべきである。また,国際社会及び地域内での自由貿易地域の発掘と拡大,及び免税貿易措置の延長に向けた外交的努力を強化するべきである。
ウ 農業分野での継続的な成長:「バ」の耕作地は人口密度の上昇,経済活動の拡大,及び生活水準向上への要求により縮小している。右状況にもかかわらず,直近10年間の農業分野の成長率は3.8%となっており,直近9年間の1ヘクタールあたりの収穫量は3,761kgから4,629kgへ増加し,食糧穀物生産量は,2008-09年度の3,471万メトリックトンから,2016-17年度には3,863万4千メトリックトンに増加した。農業分野の成長を継続するためには,現在の方法を継続し,米及びその他作物の災害に強い品種への開発に向けた研究の拡大が必要である。
エ 産業の開発:製造分野を中心とする産業分野のGDPへの貢献は上昇しているが,緩やかなペースである。他方,産業分野の雇用創出への貢献は,自動化と技術の発展により目標に達しておらず,2010年時点の22.3%から20.3%へ減少している。また,「バ」労働者のスキル欠如により,中・高間管理者ポジションは近隣国の専門家に占められており,「バ」人が代替するためにはスキル向上が必要となっているが,成功した場合,外貨の節約,及び生産的で質の高い労働者を創出することが可能となる。戦略として,訓練と同様に教育,及び保健サービスの拡大により技術を持った人材の開発をすることが重要であり,さらに女性の参加,及びテクノロジーの利用も重要となる。
オ 貧困と不平等の削減:一般的に成長の促進により貧困は削減されるが,「バ」経済の構造的な要因により成長の利益は全ての人に平等に行き渡っていない。我々は,組織能力の発展,資源への容易なアクセスとテクノロジーを利用したサービス提供の確保,人権の確立,雇用の創出,収入の再配分に特に注意を払い,貧困と不平等を削減しなくてはならない。
 
6. 実施計画及び財源配分
(1)人材開発
 熟練人材は持続的な成長の1つの重要な要素であり,熟練人材の創出に向けて教育及び保健の強固な基盤を築き,科学ベースの教育を促進する。
ア 初等教育 初等教育の普及は拡大した。今後は,教科書の無料配布,通学,給食など既存のプログラムの拡大を継続する。また,学校等の設備の拡大を目指す。また,ICT地域学習センター,及び生涯学習センターの設置,教員への訓練,英語及び数学能力の向上策を実施する。
イ 中等教育:能力ベースのレベル評価,テクノロジーの利用,科学教育の促進,及び教育の質の向上は今後も優先的に取り組む
エ 雇用有利技術及び職業訓練(Employment-Friendly Technical and Vocational Education):「バ」の労働者のスキルの欠如は,国内外で不利な状況となっている。雇用に有利な技術及び職業訓練の拡大が利益創出には重要である。
オ 保健及び家族の福祉:保健分野の目標は,全ての人に適切で質の高い保健及び家族福祉を提供することであり,既存サービスの継続,病院等のインフラの拡充,医療人材雇用の拡大,医療教育機関の拡充を行う。また,代替医療の実施も継続する。また,医療に関する法的枠組みの改革を行う。現在,「医療サービス条項」及び「精神保健条例」の改変を行っている。本予算では,保健・家族福祉省保健庁,及び保健サービス・家族福祉庁に2,3383千万タカを配分する。
カ 科学技術:科学技術研究の促進に向けて,各種コンテストの拡大,施設の拡大,科学・産業委員会の改革,及び「バ」原子力委員会の設備の強化を行う。本予算では科学技術省に1,220億タカを配分する。
(2)物理的インフラ
ア 現在,23か所の発電所(4,400MW)の追加建設を実施している。近いうち,さらに20か所の発電所を設置し,合計22,052MWの電力創出を目指す。本予算では,電力庁,及びエネルギー・鉱物資源庁に2,4921千万タカを配分する。
(1)石炭火力発電:ランパル(1,320MW),マタバリ(1,200MW),パイラ(1,320MW)の建設に加えて,モヘシュカリにて国内外の民間企業による合計10,000MWの石炭発電所建設を主導する。
(2)原子力発電:ロシア支援の下建設中の2,400MWのループプル原子力発電所の第1フェーズは本会計年度中に完了する見込みである。
(3)再生可能エネルギー:発電量全体の20%の創出を目標とする。
(4)地域協力下での電力輸入:既存のインドからの電力輸入に加えて,ブータンの水力発電輸入に関する3か国間MoUの締結は最終段階であり,ネパール,ミャンマー,及び北東インドからの水力発電の輸入に向けた交渉を実施している。
(5)送電線:現在の43万4千kmの送電・配給線に加えて,送電線の不足解消に向けて,2021年までに2万1千kmの送電線,及び47万8千kmの配給線を設置する。
(6)オイル・ガス採掘:採掘の促進に向け,「バ」石油採掘・生産会社(BAPEX)の人員増加,BAPEXによる108か所の掘削,及び東部精製所の精製量の増加を行う。
(7)LNG輸入:需要の増加により,LPGの輸入,5月及び10月に完成予定の2つの浮体式再気化ユニット(FSRU)を通じたLNG輸入を行い,さらにモヘシュカリとパイラにLNGターミナルを建設する予定。
(8)エネルギーの効率化:2021年までに2千万台のプリペイド式電気メーターを導入し,システムロス,電気料金未払いの認識,及び効率的な負荷管理を行う。また,電気料金支払,苦情処理,及び電気接続申請の自動化を目指す。電力・エネルギー使用の効率化により,燃料使用を2021年までに15%,2030年までに20%削減することを目標とする。
イ 交通分野:本分野の目的は既存の活動のタイムリーで効率的な実施の確保,及び今後の活動の改善である。本予算では,交通インフラ分野に5,2081千万タカを配分する。
(1)道路・高速道路:3,813kmの高速道路の4車線化の実施,ダッカ市東西高架式高速道路の建設,ダメージコントロール,及び2021年までに28か所の車両軸重計測所を設置する。
(2)橋梁・トンネル:西部地域61か所の橋梁建設・修復,パドマ橋,第2カチプール・メグナ・グムティ橋の建設が進行している。今後,ゴラチパ,コチャ川,第2パドマ橋を建設する予定。また,第9~11次「バ」-中国友好橋の建設に係るMoUを締結した。さらに,カルナフリ川下トンネルの建設が開始されており,2022年までに完成予定である。
(3)都市交通:2005年に作成された「交通戦略20年計画」を2016年に修正した。同修正案では,5つのMRT,2つのバス輸送(MRT),3つの環状道路,8つの放射道路,6つの高速道路,21の交通結節点,交通安全システムの発展,及びバス交通の再編が含まれており,現在までに多くの事業が実施されている。メトロ第6号線は2020年の完成,及びダッカ-アシュリア間高架式高速道路は来年の開始を期待している。また,個人的には全ての交通機関を監督する単一の管理機関が設置されることを望んでいる。
(4)安全な道路:「バ」政府は,近代的で,安全で,環境に優しい,ICTベースの交通・管理システムの設置により2020年までに交通事故犠牲者数を現在の半数に削減することを目標としている。また,ダッカ市及び周辺地域の包括的で近代的な公共交通システムの構築を目的とする「安全交通戦略2015-2035」実施段階である。
(5)鉄道分野の発展と拡張:鉄道分野の包括的な発展に向けて,「鉄道20年計画」を修正した。同計画では,2045年までに,鉄道の拡張,新鉄道の建設と修繕,デュアルゲージ化,新駅の稼働,新路線の稼働,サービスの向上,車両の調達など230事業が実施される予定である。来年度は,120kmの鉄道建設,22kmの鉄道再敷設,2,550kmのメンテナンス,55橋の建設,16駅の信号システムの近代化,50の旅客車両調達,40車両の修繕を予定している。また,今後数年間で,395kmの新鉄道の建設,76kmの再敷設,173か所の橋建設を計画しており,さらに,ジャムナ川のボンゴボンドゥ橋に平行する「ボンゴボンドゥ・シェイクムジブル鉄道橋」の事前調査が実施されている。
(6)不使用鉄道地の利用:「バ」鉄道が所有する不使用地に,PPPによりショッピングモール,5つ星ホテル及び医科大学を建設し,さらに既存の鉄道病院の近代化を実施する。
(7)水路・港湾開発:国際貿易の拡大に向けて,港インフラの拡大,及び効率的な港運営が重要となる。水路の可航性の回復と維持のため,浚渫機の調達を実施している。「バ」の輸出入の約10%を取扱うモングラ港は,近代化を行い,利用率と収益を拡大した。パイラ深海港は「ファストトラック」事業に指定している。現在,船舶分野の熟練者の育成を目的に,4つの海洋教育機関を設置している。船舶の建設と調達,船舶貨物サービスの拡大,及びフェリーサービスの向上は,乗客と貨物の双方の交通をより容易にする。
(8)空港の開発と拡張:乗客及び貨物の輸送を含む,安全な運行のためにシャージャラル国際空港及び国内空港の能力と設備の向上に努める。PPP事業の下,カーン・ジャハン・アリ空港の建設が実施されている。また,ボンゴボンドゥ・シェイクムジブル国際空港建設に向けた事前調査は,90%が完了している。さらに,2019年までに,4機の旅客機,及び2機の戦闘機の購入を計画している。また,サービス向上を目的に,ビーマン・バングラデシュ社の民営化を検討すべきである。
ウ 水資源
(1)洪水・干ばつ・浸食管理及び土地開墾:川の河航性,浸食の削減,乾期の川の流れの確保に向けて,2021年までに,470kmの浚渫,530kmの灌漑用運河の掘削,860か所の灌漑設備の建設と修復,3か所のダム建設,240kmの洪水管理及び沿岸堤防の建設と修復,及び1,525か所の放水路の掘削を実施する。さらに,6か所のダムの設置により海上から110エーカーの土地を開墾する。
(2)ハオール及び湿地の開発:ラムサール条約に従い,「バ」の全ての湿地をリスト化し,管理システムを設計している。また,ハオール地域での環境にやさしいインフラ建設に向けたガイドラインとなる,同地域の建造物の評価に係る事前調査を完了した。
(3)デジタルバングラデシュ
 「デジタルバングラデシュ」の名の下での広範で多様なICTの利用は,貧困の削減と社会的動員の促進に有用である。ICT利用への依存は工業分野の生産性向上の為に増加するだろう。本予算では,ICT庁,及び郵便及び通信局に6064千万タカを配分する。
ア ITインフラ,インターネット及び安全:これまでに草の根レベルまでのICTインフラベースを構築してきたが,今後も需要に応える為継続して取り組んでいく。さらに,サイバー犯罪対策を行う。
イ イノベーションと起業家育成:「イノベーション及び起業家育成アカデミー」の設立を計画している。
ウ 公共サービスの技術:公共サービスの提供の簡素化を目的とする「ユーティリティ支払プラットフォーム(Utility Payment Platform)」を設置中である。また,テレトーク社は給付金を受給中の母親に対してSIMカードを配布した。また,モヘシュカリ地域へのデジタルネットワークの接続に向けて取り組んでいる。
(4)公共の福祉
ア 食糧安全:安全で栄養のある食糧を適切に供給し,緊急事態においても適切な量の食糧を備蓄することは目標である。現在の食糧備蓄量は212万メトリックトンであるが,2,700万メトリックトンへの備蓄増加を目指して,2020年までに64万メトリックトンの容量を持つ近代的な食糧倉庫の追加建設を予定している。また,8箇所,合計53万5500メトリックトンとなる近代的なスチールサイロの建設を計画している。    さらに,能力開発事業及び「バングラデシュ食糧安全委員会」等の試験施設の設立,食糧省の管理及びデータ管理能力の向上に向けたデジタルベース技術へ取組む。また,公開市場を通した低所得層への食糧提供事業の継続,必要栄養素を追加した米の配給の全郡への拡大,「食及び栄養の安全政策案2018-19」の策定,シレット県及びムルビバザールでの母親,子供,思春期の児童への栄養発展事業を実施する。
イ 社会的保護:社会的保護事業は貧困及び不平等の削減手段の1つである。特に,災害に脆弱な地域,極度貧困地域,及び配分資源に対して人口比率が高い地域に対して事業を実施する。来年度は下記事業を実施する。
(1)独立戦争省は,破産した戦争負傷者及び傷病者,その妻,子,孫の支援システムを準備し,そのために40億タカを配分。
(2)高齢者手当の対象者を350万人から400万人に拡大。
(3)寡婦及び貧困女性への手当の対象者を120万6千人から140万人へ拡大。
(4)優れたフリーダムファイターに対して,毎月の謝礼金と祭時手当に加えて,新年手当として2,000タカを支給。また,生存しているフリーダムファイターに対して,戦勝記念日特別手当として1人あたり5,000タカを支給。
(5)経済破綻している障害者への手当の対象を82万5千人から100万人に拡大。
(6)障害のある学生への毎月の給付金を,初等教育レベルで500タカから700タカ,前期中等教育レベルで600タカから750タカ,後期中等教育レベルで700タカから850タカへ増額し,対象者を8万人から9万人へ拡大。
(7)トランスジェンダー,ベーデー(Bede(当館注:ジプシー)),及び経済・社会的に恵まれていない人々に対しての給付金対象者を3万6千人から6万人に拡大し,その内,特別給付対象者を2万3千人から4万人に拡大し,1万1千から1万9千へ拡大。
(8)癌,腎臓病,脳卒中による麻痺,及び先天性心臓疾患患者への経済的支援の対象者を1万人から1万5千人に拡大。
(9)茶労働者(tea-laborers)の所得向上スキームの対象者を3万人から4万人に拡大する。
(10)貧困女性の妊婦への給付金を月500タカから800タカへ増額,支給期間を2年から3年へ延長し,対象者を60万人から70万人へ拡大する。
(11)授乳中の母親への給付金を500タカから800タカへ増額し,対象期間を2年から3年へ延長,対象者を20万人から30万人へ拡大。
(12)テクナフ県,及びコックスバザールのウキア郡のVGDプログラム(脆弱グループ開発)の対象者を,現在の104万人から各郡あたり2万人増加。
ウ 各種手当ての金額と対象者の拡大により,政府は個人への支払に関して,ICTベースの支払方法の導入を予定しており,対象者は銀行受取かモバイルバンク受取かを選択できるようにする。また,デジタルデータベースとナショナルIDの融合を目指し,手当の申請,苦情処理,予算関連の業務に連携させる。新しい支払方法は,特定地域の試験運営を実施予定である。
エ マイクロクレジット及びその他貧困削減方法:現在,1世帯あたり5,000タカから3万タカの無利子のマイクロクレジットを様々なプログラムを通じて提供している。
オ 障害者の発展:国家生涯調査の結果を踏まえて,障害者情報をシステム化し,同システムを基にアイデンティティカードを提供する予定である。また,障害の種類や度合いに合わせた保健サービス,教育及び訓練等の発展のためのプログラムを再構成,及び新設を計画している。
カ 女性の経済活動:女性の識字率は直近10年間で大きく向上し,2009年の54.3%から2016年には69.5%となったが,女性の経済活動への参加は2010年以降で0.3%しか向上しておらず,36%となっている。女性の潜在能力を活用するために,適切な訓練,宿泊施設,子供のケアセンター,及び女性に優しい公共交通機関を提供する。
キ 訓練,就業環境等:女性の個人事業主の促進に向けて,1人あたり5,000タカから15,000タカのリボルビングクレジットを提供し,女性への複数の訓練,働く女性への宿泊施設や子供のケアセンターを提供する。
ク 認識形成:女性への暴力の防止と安全の確保により職場での女性の社会的受容の強化による女性の政治的,社会的,行政的,及び経済的エンパワーメントの促進に向けて努力している。阻害され支援の手が届かない様々な社会層の10代に対して,ジェンダーベースの暴力から自身を守るための認識を形成するための訓練を提供している。また,農村部の恵まれていない女性に対して情報通信技術にアクセスする機会を提供するために準備している。
ケ ジェンダーに対応した予算(Gender Responsive budget):2009-10年度予算よりジェンダー予算を作成しており,本年は過去10年間の評価報告書を作成する予定である。
コ 子供の開発:恵まれない子供たちに対して初等教育準備及びその他の活動を,合計2,109箇所の各地のセンターで提供している。また,2015-16年度より子供の開発への予算配分,及び子供の開発に係る政策及び戦略を示す「子供の予算(child budget)」の作成が実施されている2018-19年度予算では15省庁を含み,規模は拡大している。
サ フリーダムファイターの福祉:フリーダムファイターの社会経済的立場の発展を目的に,「ムクティジョッダ・コンプレックス」を全県・全郡に建設している。また,公立病院及び16ヶ所の専門病院にて無料で医療サービスを提供する。土地がない,もしくは経済的に貧しいフリーダムファイターへの2,852ユニットの住居建設事業は完了したが,119ユニットを追加で建設する。また,8千人の破産したフリーダムファイターに対して住居を提供する。フリーダムファイターの社会福祉に関する「バングラデシュ・ムクティジョッダカルヤントラスト条例2018」のドラフトが策定中である。また,新年及び戦勝記念日手当は来年度より支給される予定である。
シ 独立戦争の魂の保存:新しい世代に独立戦争の真の歴史を知ってもらい,独立の魂を染み込ませるために,全県・全郡に建設中の「ムクティジョッダ・コンプレックス」に図書館付きの独立戦争博物館を設置する。
ス 海外労働者と技能開発:海外労働者数を増やすために,今後も移住費用の削減,移住手続きの簡素化と安全の確保に取り組んでいく。労働市場の拡大を目指して,東欧を含む52カ国での調査を含めたプログラムの実施,各種スキル開発トレーニングを実施する。
セ 海外在住者の福祉:近々,海外在住労働者のデータベースを作成,及び雇用機会の創出を含めたプログラムを実施し,移住者数が1万人を超える国には労働局を設置し,社会福祉サービスを提供する。
(5)農業及び地方開発
 本予算では,農業,及び地方開発分野に,本予算で最高額となる5,892億8千万タカを配分する。
ア 農業開発:耕作可能地の減少にも関わらず,農業政策と行動により農業生産量は増加した。農業助成金,肥料,種,及びその他農業関連の投入,灌漑及び農業の機械化,作物の多様化とマーケティング,農業再生支援が成功したが,今後も実施を継続していき,効率性と近代技術の利用を促進していく。また,モバイルバンキングの活用による送金の活用と農業従事者所持カードのリストの更新を行う。持続可能な農業の発展のために,環境への配慮,及び気候変動への適応を主張したい。研究と結果の拡散により,適切な技術及び作物の多様性への革新に向けて努めていく。塩分及び温度に強い米,及び温度に強い麦の開発,また新品種の普及を実施する。本年では,新たに22品種,及び21種類の技術開発を目標とする。さらに,環境に強く,優しいジュートの改良に向けた研究を実施する。また,尿素系肥料の使用を削減し,オーガニックやバランスの良い肥料の使用を増加させ,肥沃な土地の保護に努めながら,肥料の質の確保に向けた研究施設を設立する。また,地下水ではなく表層水の利用,及び近代的灌漑設備の利用が増加している。農業ベース産業の拡大に向けたバリューチェーンと市場システムの近代化,及び農業セクターでの安全で危険のない輸入の確保に向けて検疫センターを建設している。
イ 水産業開発:FAO(世界食糧機関)の2016年の報告書によれば,バングラデシュの水産業の生産量は開放水域(open water)で世界4番目,クローズ水域(closed water)では5番目である。2021年までに生産量を45.52メトリックトンに増加させることを目標し,目標達成のために開放水域での生産,絶滅危機種の保護,  繁殖及び生殖の為の聖域の設置,ジャトカ(jatka)の保護,及び環境に優しい海老の飼育を継続していく。輸出の維持と拡大のため,質の管理の強化を行う。現在各地に国際基準の質の管理のための研究所が設立されている。また,水産業従事者の登録及びIDカードを提供し,データベースの構築,及び地方在住者へ情報通信技術へのアクセスを提供する。
ウ 海上水産源の保全:バングラデシュはベンガル湾に11万8813立方kmの主権海域を保有している。現在海洋境界設置に向けた調査活動が実施中である。潜在的な海洋資源の最大化に向けた資源開発を目的にした短期,中期,長期の行動計画の策定が完了している。
エ 地方開発:現在,地方の貧困削減戦略として,マイクロクレジットの提供から「1家1農業」プログラムを実施し,少額貯蓄の促進に取り組んでいる。同プログラムは永続的な貧困削減戦略であり,地方の貧困層の永続的な金融,投資及び収入獲得手段となり,自立へ繋がる。2021年までに600万世帯,合計3千万人が同プログラムにより永久的に貧困状態を抜け出せるようにすることが目標である。また,多くの社会的及び経験的な研究を実施しており,結果に基づき7管区7県において近代的な住宅の供給を実施した。さらに民間主導の事業の実施も検討していく。
オ 地方及び都市開発:地方及び都市での経済活動は成長促進要因の1つであり,道路,橋梁,排水渠,グロースセンター,市場及びサイクロンセンターの建設,湿地の開発,安全な水資源及び排水の設置,下水施設の拡張等により活気を維持していく。来年度は,地方の道路ネットワーク範囲を35.2%から36.9%へ拡大,さらに,都市部の交通渋滞及び浸水の緩和,下水及び水供給システムの改善,及び植林活動も継続していく。ダッカ市の交通渋滞,及び浸水の緩和,様々な施設の拡張を目的に,カウランバザールの一部の移転,3つの地下水処理場と1,291kmの水供給パイプラインの建設,184の深井戸の設置,道路排水小道の設置,植林,及び開放地域の近代化の実施に向けている。モンスーンに向けて,ダッカ市水供給・下水委員会(WASA)は,25kmの運河の再開削,290kmの排水道からのゴミの除去を含む事業を実施した。
(6)産業と貿易
ア 産業分野の開発戦略:国家収入における産業分野の貢献を現在の30%から40%への拡大を目標とし,また更なる雇用の創出を目指す。「バ」の巨大な労働人口と未発達の資本市場状況を考慮すると,労働集約型が求められる中小企業を促進することが適切である。
イ 中小企業支援(Small and Medium Enterprises):簡単な条件でのローン提供及びその他の銀行や金融機関からの支援を通して中小企業の支援を継続していく。商品の質及び機械化,顧客サービスの促進,「より良い仕事と基準プログラム(BEST)」による国際基準での商品の受容性を促進する。バングラデシュ中央銀行によって非常に多くの低費用のリファイナンシング事業が提供されている。また,投資の確保に向けた経済特区の設立,造船業に対しての保税倉庫の建設提案を行なっている。また,「バングラデシュ船舶リサイクル条例2015」を準備している。
ウ 観光産業:バングラデシュは,2018-19年度のイスラム諸国機構観光局(ICTM)の議長国に就任した。右経験は観光産業を促進するだろう。
エ ジュート産業の復活:近年,ジュート及びジュート製品は環境への配慮から人気が出ており,世界におけるジュートの拡大の機会として活用したい。改良技術を基盤としたジュート及び種の生産と拡大と同時に,「バ」ジュート工場委員会の下,ジュート工場のBMRE(バランシング,近代化,復活,拡大 )を実施している。また,多様な製品の開発とそのマーケティングと同時に,ジュート混成の布地,ジュートの葉由来の飲料,河岸保護用の地質織布,買い物袋の生産などの強化を実施する。また,ジュート由来の木炭の生産及び輸出に向けて準備が進められている。公共分野における中央集権的な管理は,ジュートセクターの成長に適さないため,PPPをジュート工場の運営に活用する。
オ 織物産業:政府は,世界規模で競争できる強い織物及び既製服産業の設立に向けて取り組んでいる。首相の主導により,ダッカ近郊に「ターントパリ(Taant Palli)」を設立し,モスリンの復活に向けて取り組んでいる。織物及び既製品産業における技術者の養成のため,各地に複数の織物技術学校,織物機構,及び織物関連の職業訓練学校を設置している。さらに,服飾デザイン訓練機関及び訓練センターの強化も実施する。
カ 貿易拡大:2021年までに輸出額を500億ドルから600億ドルに拡大させることが目標である。LDCからの卒業を考慮して貿易戦略を再検討している。輸出製品の多様化,既存市場の拡大と新規市場の探索,自由貿易協定(FTA)の促進に向けた外交的イニシチアチブの実施,及び免税貿易の拡大により競争力の強化を行う。マレーシア,ミャンマー,スリランカ,中国及びトルコとの自由及び特恵貿易協定の締結に向けた実現可能性について評価を実施している。現在,44カ国と免税及び無税貿易に関する協定を締結しており,その他にも二国間協定を締結している。また,SAPTA,SAFTA,APTA,BIMSTECのような地域及び多国間協定下での貿易の拡大を目指す。
(7)地域及びサブ地域(Sub-regional)協力
ア 首相の用心深く,賢明なリーダーシップの下,電力,エネルギー,通信,気候変動,移民問題等の多くの問題を解決してきた。また,地域,及びサブ地域間協力の機会も拡大した。インドからの電力輸入の開始,ブータンの水力発電への「バ」,インド,及びブータン間での投資MOUの締結(現在ネパールを加えたBBIN枠組みで最終化実施中),太陽光及び原子力など再生可能エネルギー分野での協力機会の創出が実施された。水資源管理,電力,水力発電及び情報通信における「バ」,インド,ネパール及びブータン間の地域協力の強化に向けた,共同研究が実施されている。また,「BBIN自動車協定」が調印され,地域での円滑な輸送に効果が期待される。
イ 我々は,ミャンマーからのロヒンギャへの人道的支援の提供及び迅速な帰還に向けて取り組んでいる。ミャンマーとの合意の調印に加えて,帰還の実務を担う共同作業部会を組織した。今後も,ミャンマーと安全,権利,及び生計の確保に向けた合意を模索しながら,ロヒンギャの帰還に向けた二国間協議を継続していく。また,国連を含む国際社会と共に,ミャンマーに対して継続的に圧力をかけていく。首相の指令により,我々は,資源や財政を圧迫しても,ロヒンギャに対して住居,安全,医療,及びその他人道的援助を提供していく。ロヒンギャの復興と安全な帰還は,国際社会の主導なしで促進することはできない。
(8)気候変動と環境
ア 気候変動:「バ」気候変動戦略行動計画(BCCSAP)に照らし,政府予算にて,気候変動影響の軽減と適応に向けて,6分野において44事業を実施している。また,「バ」気候変動信託基金の下で実施されている。「バ」は国連気候変動枠組条約のメンバーであり,2030年までに,炭素排出を,自身の努力で5%,国際協力で15%削減することを意図する「自国が決定する貢献(INDC)」を提出した。目標を達成するために,実行のロードマップ,及び気候変動の長期的な影響の軽減に向けた国家適応プランを準備している。
イ 環境汚染:空気の質は24時間体制で監視している。産業廃棄物の管理のため,ごみの精製所の建設,液体ゴミのリサイクル,ゼロ排出工場の承認,環境処理プラントの設立等が実施されている。また,ブリガンガ川,バル川,トゥラグ川,及びハルダ川など汚染河川,及び沿岸地域の保護に向けて取り組んでいる。さらに,海洋資源の管理,フロン利用率の35%への削減,及び環境と生物多様性の保護に取り組んでいる。
ウ 森林保護と拡大:森林保護と拡大のため,苗木の増加,ブロックストリップ林の形成,沿岸部の浅瀬での植林,社会林業等を含めた,持続可能な森林管理戦略に取り組んでいる。2021年までに,2万8,526ヘクタール,512kmの沿岸部におけるマングローブ林の形成による緑のベルトを形成する計画がある。また,シュンドルボンを含む15か所の保護地区での炭素レベルの計測が準備されている。また,森林資源の最新情報の収集及び衛星画像を使用したICTベースの森林管理である,森林範囲地図(forest cover map)を準備している。さらに,記録と地図を用いた森林境界線の決定と土地の確認が開始している。
エ 国家投資計画:国家投資計画2016-2021年は,環境,森林,及び気候変動分野における,投資需要,投資実績,及び投資差分の測定のために準備された。予測によれば,2016年から2021年では117億ドルが投資計画では必要であるが,その内47億ドルが公的,及び国際社会から投資され,70億ドルが赤字となっている。
(9)住居と都市計画
ア 計画的な都市化:適切な住居建設及び都市計画なくして,巨大な人口に対して質の高い住居の提供,及び都市部での適切な土地利用を実施することは不可能である。そのため,都市部及び都市近郊部において,区画整備,部屋の建設と引き渡しを実施している。我々は,「バ」全土での居住性の向上のために,渋滞の緩和,浸水の削減,水衛生システムの開発と美化を含む様々な活動を継続する。ダッカ構造計画2016-2021年に基づき,既存の地域詳細を改良する。また,チッタゴン市では各種道路の建設,及び浸水掘削の軽減のために運河の維持と開発が実施中である。
イ 経済的に恵まれない人への住居提供:クミラ,シラジガンジ及びナラヤンガンジのスラム住人の社会的統合,住居の提供,参加に向けた計画を準備している。主要なインフラへの直接へのアクセス,水の確保,公衆衛生システム,電気の接続,及びコミュニティサービスの発達は,スラム住人に良い変化をもたらし,右地域で19コミュニティ,5,700名に利益をもたらす予定。
ウ 災害対策:地震時に危険のある建物の把握と平行して,技術者,都市計画者,建築家,及び耐震構造建物建設の作業員を含めた訓練を実施している。長期的な地震対策として,1,528立法kmのマイクロゾーネイション地図(Micro Zonation Map)の準備,銀行から利率6%での貸付によるRMG工場の建設と機械の改良,また,技術的支援,耐震及び省電力の建物がダッカ市ミルプールの消防及び民間防衛局の建物として建設されている。
(10)情報,文化,宗教及びスポーツ
ア 情報及び広報:世界的な「バ」のブランディングの向上に向けて,首相が選定した10の広報活動が実施されている。プレスとメディア能力の向上を目的に,全県に「情報コンプレックス(Information Complex)」を建設する計画が開始している。さらに,情報の自由な流れと公的情報入手の権利の確保を目的に,在外公館9か所に新たにプレス部を設置,女性と子供の開発に向けた通信チャネルの設置,2か所の10KWFMラジオセンターの建設,及び6つの国営テレビ局放送基地が建設中である。
イ 宗教:全ての宗教の名誉と尊厳の保護,宗教的儀式のスムーズな実施,兄弟感覚の醸成,宗教的調和の維持等の既存の活動を継続していく。適切な宗教コンプライアンスと宗教的価値観の確保を目的に,全県全郡に全560か所のモデルモスク及びイスラム文化センターの建設,6万8千人の聖職者への技術開発訓練の提供,モスクの図書室の拡大と強化,寺院ベースの子供及び大衆教育の実施,パゴダベースの初等準備教育の実施に向けて取組まれている。
エ 文化:独立戦争の魂の保持,現代美術及び文学の研究と開発,及び非共同的で世俗的な魂の開発を継続していく。ナバンナ祭(Nabanna festival)の祝い,パウシュ祭(Paush festival),春祭り,雨祭り等の伝統的なベンガルの文化の継続的な実施,及び国内外でのイベント,写真展,及び文化講演を定期的に開催する。また,工芸品の保存,歴史的及び考古学的な場所の維持は向上している。   ベンガル語と文芸,及び地域と民族集団の広報と保存については強く主張したい。
オ 若者及びスポーツ:適切な教育と訓練の提供により技術を持った若者を育成し,雇用を創出する取り組みは継続する。同時に,スポーツの才能を持つ者の発掘,技術を持ったプレイヤーの育成,女性のスポーツの開発,スポーツインフラの建設を継続的に実施する。政府の取組みにより,女性のクリケット及びサッカーは非常に成功している。
(11)公共の安全,規律,及び防衛
 法と秩序,及び平和な環境の維持を目的に,内務省を「公共の安全局(Public Security Division)」と「安全サービス局(Security Service Division)」の2局に分けた。法執行機関の能力は,人材,専門設備及び車の提供により上昇し,効率性及び職業意識も向上する見込み。法執行機関のサービスは,ICTの利用により向上する見込み。「電子交通起訴及び罰金支払いシステム」,「サービスフレンドリー交通渋滞管理システム」が進行中である。
陸軍,海軍,空軍の能力強化を実施しており,空軍識別圏(Air Defence identification Zone)が決定され, 2か所の「バ」空軍基地がシレット県に建設中である。国家の安全の強化として,10か所の気象観測所の設置,上空の空気観察システムの近代化,自動気象観察システムの設置,ウインドプロファイラーの設置,デジタル地図の準備,測地制御ネットワークの設置,検潮所の設置,レーザーレーダー調査活動等を実施する。
 
6. 改革とグッドガバナンス
(1)投資環境の開発
 我々は,投資しやすいインフラの構築,エネルギー分野の開発,産業立ち上げに対する必要な設備と支援,ルールと規制の簡素化等を実施してきたが,海外直接投資及び民間投資は目標に届いていないため,問題を把握し,解決に努めていく。
ア ワントップサービス:必要なソフトウェアの開発はほぼ完了している。同ソフトウェアは「ワンストップサービス法」に基づき,1か所からオンラインを通じて150サービスの提供を可能にし,様々な投資提案を1か所で,一定時間内に完結することが可能になると期待している。
イ ビジネスのしやすさ指標:「バ」の順位を2桁台にするために,実施期間を定めた行動計画を決め,詳細指標に関連する省庁と協議する特別委員会を設置した。事業の進捗は,「国家監視及び実施委員会」が評価する。
エ 経済特区:公共,及び民間の経済特区の設置を支援する。また,経済特区内外での雇用創出を促進する。実業家には,無計画に工場を建設するのではなく,経済特区に進出することを促進したい
(2)公共財政管理
 支出管理の強化のために,多くの手続き及び組織の改革を実施した。
ア オンライン給与明細:政府職員のデータベース及び試験的なオンライン給与支払い簿を作成した。オンライン支払とは別に,積立基金とローン口座へ自動的な更新,さらに常時アクセスが可能である。今後,本サービスを政府職員全体に拡大したい。
イ e-Challan:公庫への預金と確認を自宅にいながら行える「イーチャラン」を開始した。
ウ 政府からの直接の給付金の支給:ソーシャルセーフティネットの下で,約500万人に対して,政府-個人間支払システムであるEFTを用いて給付金を提供する計画であり,2018年5月より試験的に8,499名に対して右システムにより給付金を提供した。今後は全ての給付対象者に本サービスを提供できるようにする。
エ 開発事業への資金放出方法の改革:高い経済成長達成のために,ADP(年次開発予算)規模は拡大しており,様々な大規模事業が実施されている。各省庁の予算執行能力は,政府の様々な財政改革案により向上している。開発事業の迅速な実施のために,資金放出方法の改革に取り組む。その一つとして,政府省庁が実施する事業において,政府が負担する部分の第1及び第2四半期の資金放出には特段の要請なくして放出される予定である。
オ 予算及び勘定仕訳システム:新しい分類コードを「予算及び勘定仕訳システム(BACS)」の下に導入し,2018-19年度予算の準備にも使用した。
カ 予算データベース:政府の予算管理において,インターネットベースの集権的及び精巧な「統合予算及び会計システム(iBAS++)」の使用を開始し,全省庁が本システムを用いて予算策定を行った。全ての政府の予算処理が同データに集約される。
(3)年金改革(Pension Reform)
ア 高い管理能力:年金管理,支払システム,及び対象者等の質的な改革を行った。政府職員への年金に関しては,既存の100%現金での支払いシステムを廃止した。また,インフレ上昇に対応するため,年金の年次増加を導入した。年金支払いシステムは,受給者へのハラスメントの軽減のため,簡素化されている。EFTによる恩給の支払を試験的に導入しているが,全土へ拡大し,受給者が年金の受取の為に事務所や銀行に行く必要がなくなり,毎月特定日に個人の口座に直接入金され,受給者へはSMSを通して情報が共有されるようになるだろう。また,予算管理における年金の配分も変化した。以前,年金は各省庁が行き当たりばったりで割当てていたが,現在は財務局が集中的に管理している。また,政府職員向け年金と資産管理のための事務所を設置しており,全自動化が実施される予定。
イ ユニバーサル年金:公的年金受給者の比率は,「バ」の高齢者人口の非常に小さい割合であり,現在,政府及び民間機関退職者世帯のうち70万~80万人が年金を受給している。政府年金受給者に加えて,合計350万人の貧しい高齢者に対して,月額400タカを高齢者手当として提供しているが,その数は全高齢者人口の4分の1であり,支給金額も不十分である。「バ」においても高齢者の人口比率が上昇しており,予算の移転での支援は厳しくなっているが,政府は経済成長の恩恵を全ての層に提供すると約束しているため,「バ」は全ての民間セクターで働く人に対してユニバーサル年金スキーム(universal pension scheme)を導入したいと考えている。現案では,従業員は,個人名で政府管理の年金スキームに特定金額を寄付し,指名された機関が特定金額を従業員の年金口座に預ける予定である。なお,極度貧困労働者の場合は,政府が年金基金に入金する予定である。ユニバーサル年金スキームの導入には,時間と莫大な費用が発生するため,適切な政策戦略と行動計画,及び公共セクター労働者と民間セクター労働者間で公平で矛盾がないようにする技術的能力が必要である。我々は,本システムの試験運用を導入する予定である。
(4)公共サービスを提供する行政機関
ア 公共サービスへのアクセス:行政機関における効率的な職員数は増加している。また,国内外での現職訓練施設,及び高学歴者への奨学金も政府職員の効率性の向上に貢献している。政府機関でのICT利用の義務化,及び関連ITインフラの向上により,公共サービスへのより容易なアアクセスを提供している。
全国5,278か所に設置したデジタルセンターにより,市民は必要なサービスと情報を,短い時間及び少ない費用で得ることができるようになった。さらに,「情報に対する権利法(Right to Information)」の実施のために,全ての政府職員から指令職員(designated officers)と上訴委員会(Appellate Authority)を指名した。また,情報への公共の権利を保護するための「県アドバイサリー委員会(District Advisory Committees)」を全県に設置した。さらに,性別による暴力,イヴ・ティーシング(eve teasing),児童婚,食品不純物混入の防止,及び法と秩序の向上のために現場レベルの行政機関が機能している。
イ 従業員福祉:2015年,政府職員の給与を2倍に増加する新しい給与体系が導入された。その他にも,政府職員は,教育,医療,葬式に対して助成金が付与される。また,業務中の死亡時には80万タカ,及び重症時には20万タカが付与される。
ウ 住宅ローン:政府職員の住宅ローンに係る新政策は,来年度より発効予定である。同政策では,住宅建設もしくは部屋を購入する政府職員に対して,銀行システムを通じて,適切な利子で住宅ローンを提供し,利子の差分は政府が負担する。
エ 特別手当:昨年度に引き続き,10億タカを女性企業基金,2億5千万タカを女性開発のための特別基金,10億タカを技術開発基金へ配分する。さらに,本年は,地震のリスク管理に対して30億タカ,NGO基金に1億タカ,PKSFに25億タカ,及び貧困削減に重要となるSMEに1億タカを割当てる予定。
(5)訴訟案件管理のための情報技術の利用
司法分野の電子化による訴訟案件管理の簡易化を目的に裁判所へのICTネットワークの導入を取組んでいる。
(6)反汚職
 「バ」から全ての汚職を撲滅する努力を続ける。反汚職委員会による法的続きと同時に,大衆意識の形成と反汚職の意識を将来の世代に形成する。反汚職委員会をユニオンレベルまで普及させ,様々なプログラムを実施している。最も有効な汚職削減方法は意思決定における自由裁量を削減することであり,ICTの利用が非常に重要である。「バ」は国際的にも,国連の腐敗の防止に関する国際連合条約の締約国として,反汚職の意思を表明している。
(7)土地管理
土地の欠如と土地管理の長引く複雑性は,グッドガバナンスの構築及び開発事業に必要な用地買収における大きな問題である。土地関連のサービスの簡易化のために,土地管理と関連サービスシステムの電子化に取り組む。
(8)金融部門改革
ア いくつかの例外はあるが,金融部門は安定しており,「バ」の社会経済的な成長に貢献している。最近の銀行の流動性の不均衡では,現金準備率(CRR)の再固定を含めて様々な対策を実施している。さらに,ファーマーズ銀行の管理体制及びの理事会の再考により,現在の銀行分野に存在する行き詰まりを解消し,システム上の欠陥を解消することは可能である。金融セクターの規律を取り戻すために,既存のルールに加えて,重要な指針を関連する行動とともに発効した。
(1)預金及びローンの利率の変更は月に1度のみ可能となり,変更時には銀行のウェブサイト上で発表することが義務付けられる。
(2)ローン及び預金の平均金利を5%とする。
(3)零細・小規模・中小企業(CMSME)向けローンの申請費用上限を200タカとし,満期時にはいかなる手数料を適用しない。
(4)資本市場の小規模投資家に対して支援基金を運営する。
(5)債務不履行を監視するための特別なソフトウェアを開発(launch)する。
(6)公平な銀行業務の実施のためのガイドラインを発行する。
(7)モバイル金融システムにおける個人アカウントでの差額の最大額を30万タカとする。
(8)保険会社における顧客確認(Know Your Customer)のためのガイドラインを発行する。
(9)リファイナンスにおいて,低利率の分割型の様々なローンを提供する。
(10)銀行サービスへの苦情処理のため,バングラデシュ銀行に顧客サービスセンターを設置する。
(11)銀行を通したテロへの資金提供を防止するために最大の配慮を用いた指令を発令する。
(12)銀行及び金融機関での,「大規模融資の中央データベース」を用いた大規模融資への監視と監視方法の強化。
(13)融資時の担保として同じ土地と財産が使用されることを防止するために,全てのローンでの担保の情報を,金融機関局のデータベースに保持する。同システムは来年度より利用開始予定。
イ 「変動金利国債(BFIU)」の実施に向け,ガイドライン及び指令を発効した。また,シャリーアベースの有価証券の導入を検討している。また,免税貯蓄国債(Saving Certificate)購入者のデータベースの作成,及びナショナルIDへの紐付けに取り組んでいる。
ウ マネーロンダリングの防止に向けて,「バ」金融情報部(Bangladesh Financial intelligence Unit)と国家歳入庁(NBR)は情報交換と機関間の協力の強化に向けたMoUを締結した。
(9)気候変動ファイナンス
予算作成において,初めて,20省庁の省予算枠組み(Ministry Budget Frameworks)において気候変動の意図を組み込んだ。また,財務庁職員及び関係職員に対して,予算枠組みに気候変動の意図を取り入れるための訓練を提供した。気候変動ファイナンスの責任と透明性の確保のため,経済,効率性と効果を測定する審査を導入する。また,コード審査と審査マニュアルを準備している。
(10)地方政府改革
 私は,「バ」の成長率を10%に上昇させることは可能であると強く信じており,そのためには,権力の分権化が必要である。歳入政策において,中央と地方で分担することは最も難しいことであるが,重要であり,形成されるべきことである。私の見解では,歳入の主たる責任は中央政府が担うべきであり,地方政府は,国家予算の60%以上を占める,支出に対して責任を担うべきである。右内容は,次回選挙後に直ちに実施されるべきであり,全ての選挙参加政党は,選挙マニフェストにおいてコンセプトと内容を明確に示すべきである。
 
7. 歳入回収手段
ア NBR(国家歳入庁)は,全歳入の85%を回収しており,近年,歳入回収率は非常に上昇し,同庁の過去10年間の歳入成長率は平均で17%以上となっており,過去40年間で最も高くなっている。結果,対GDP税収率は,十分ではないが,向上している。国内から適切な歳入を確保することは,経済成長に重要である。税率の上昇ではなく,税収源の拡大と既存の税収構造改革におけるコンプライアンスの促進が重要である。
イ 全国で所得税フェア(Income Tax Fairs)を実施しており,今年度は同フェアで約20万の納税者が納税申告書を提出し,90万人が税関連のサービスを享受した。また,電子納税者番号システムやオンラインでの申告書の提出など,税関連行政でのICT使用の増加による税収管理システムの完全な自動化とデジタル化に取り組んでいる。
ウ 現在,登録納税者数は350万人を越えており,今後5年以内に,納税者数を1千万人,所得税申告数(return submission)を80万人に増加したい。若者を中心とした,人々の税制についての信頼は良い兆候である。
エ NBRの収入の内,VAT及び補足税からの収入が最も高い比率を占めており,歳入の強化のためにVATのオンラインシステムを導入し,VAT徴収システムの透明性の確保のため,電子会計機器(Electronic Fiscal Devaice)を導入した。
オ 新関税法の原案は完成しており,議会を本年通過する予定である。また,関税システムの改革として,「国家シングルウィンドウ(National Single Window)」事業を実施しており,輸出入時もワンストップサービスを提供するようになるだろう。
 
 
 
(1)NBR 税収詳細
(千万タカ) 2017-18年度 2018-19年度 構成比
項目 予算 修正案 予算 前年
伸長率
2017-18 2018-19 差分
所得税・その他直接税 87,190 78,000 102,201 117% 35.1% 34.7% -0.46%
輸入・輸出税 27,139 24,830 32,589 120% 10.9% 11.0% 0.10%
付加価値税(VAT) 91,717 83,702 110,543 121% 37.0% 37.2% 0.25%
補足税(SD) 40,405 36,882 48,766 121% 16.3% 16.4% 0.11%
消費税(Excise Duty) 1,729 1,579 2,091 121% 0.7% 0.7% 0.01%
売上税(Turnover Tax) 10 8 11 110% 0.0% 0.0% 0.00%
合計 248,190 225,001 296,201 119% - - -
 
8. 所得税,VAT,輸出入税
(1)直接税:税収全体に占める所得税の比率は上昇しており,2021-22年度までに全税収の50%を所得税から徴収することを目標とする。10年前の所得税の比率は20%だったが,現在は35%まで上昇している。
(2)免税閾値と税率(Tax Exemption Threshold and Tax Rate)
今年度の一般免税閾値(General tax exemption thresho)は昨年度と変わらない25万タカである。先進国での一般的な免税閾値は1人あたりGDPの25%以下であり,発展途上国では1人あたりGDPと同等額であるが,「バ」は1人あたりGDPの200%となっており,世界的にも非常に高くなっている。さらに,免税閾値の増加は多くの納税者を税収入の枠から外すこととなるため,免税閾値及び税率は今年度も昨年度と同等としているが,障害者の親もしくは保護者は,さらに5万タカを増額する。
ダッカ市及びチッタゴン市の一般納税者の最低納税額は5千タカであり,その他都市は4千タカ,その他地域は3千タカであり,本年度も同税率を維持する。
 
(2)免税閾値
ステータス 既存(タカ) 提案
一般納税者 250,000 変更無し
女性/65歳以上 300,000 変更無し
障害者 400,000 変更無し
戦争負傷フリーダムファイター 425,000 変更無し
障害者の親・保護者 - +50,000
 
 
 
 
 
(3)一般税率
収入合計 既存 提案
~25万タカ なし 変更無し
~40万タカ 10% 変更無し
~50万タカ 15% 変更無し
~60万タカ 20% 変更無し
~300万タカ 25% 変更無し
総収入のバランス 30% 変更無し
 
 
(4)特別税率
分野 既存 提案
タバコ産業製造者 45% 変更無し
非在住者収入 30% 変更無し
共同組合 15% 変更無し
 
 
(3)法人税率
 「バ」の法人税は高いと言われているが,誤りである。貿易会社の法人税は25%であり,南アジアの平均より低く,また世界平均(24.29%)とほぼ同等である。しかし,銀行及び金融機関への法人税はその他分野に比べて高いため,2.5%削減する。その他の分野の法人税は昨年と同様である。「バ」で最も高い法人税は40%(民間貿易銀行・保険・金融機関,携帯電話会社)であり,次いで37.5%(公的貿易銀行・保険・金融機関,2013年承認の銀行・保険・金融機関)である。
 
(5)法人税率
分野 既存 提案 増減
(公的)貿易会社 25% 25% 0.0%
(非公的)貿易会社 35% 35% 0.0%
(公的)貿易銀行、保険・金融機関・銀行、2013年認可の保険・金融機関・銀行 40% 37.50% -2.5%
マーチャントバンク 37.50% 40% 2.5%
(非公的)貿易銀行・保険・金融機関 42.50% 45% 2.5%
タバコ関連製造業 45% 45% 0.0%
携帯電話会社:公共 40% 40% 0.0%
       :非公共 45% 45% 0.0%
配当収入 20% 20% 0.0%
 
 
 
(4)公平性
 個人納税者への追加徴収条項は,数年前に有効となり,国の経済発展に伴う社会の収入と富の不平等の拡大による危険の管理に重要な役割を果たす。新たに2台の車の所有者,もしくは総面積8,000立法フィートの住宅所有者に対して追加徴収を拡大する。最低追加徴収額は,個人純資産額が2,250万タカ以上の場合3,000タカ,1億タカ以上の場合は5,000タカである。さらに,タバコ,巻きタバコ,ザルダ(zarda),グル(gul)及びその他タバコ製品工場には2.5%の追加徴収を実施する。
 
(6)追加徴税
分野 既存
(純資産)2,250万タカ以下 なし
(純資産)2,250~5,000万タカ 10%
2台の自動車所持 10%
都市部に8千立方フィート以上の住宅所持 10%
(純資産)5,000~10,000万タカ 15%
(純資産)10,000~15,000万タカ 20%
(純資産)15,000~20,000万タカ 25%
(純資産)20,000万タカ以上 30%
 
 
(5)ビジネスと成長の促進
ア 既製服:既製服産業は雇用の創出と経済成長の促進に重要であるため,特別な税措置を行う。既製服生産及び輸出業者に対して15%の減税を行う。公開有限会社の場合は12.5%となり,工場の安全性が保証されている場合は12%の税率となる。
イ 社会福祉:社会福祉の確保のために税優遇を提供する。
(1)デイケアセンターの運営による収入への免税措置
(2)障害者への教育もしくは訓練施設運営による収入への免税措置
(3)障害者へのサービス確保のため,2019年7月1日より,医療サービス提供者が障害者に配慮した施設を設置しない場合,5%を追加税で徴収する。
(6)国際的なグッドプラクティス:対外経済の開放による税金回避対策に向けて,フェイスブック,グーグル,ユーチューブなどの,「バ」で収益をあげているヴァーチャル及びデジタルセクターへの課税を導入する。
(7)税金のコンプライアンス文化:「バ」は長年,税率を上昇させることなく,むしろ下げてきた。本年度は,銀行及び金融機関の税率を削減する。我々は,税率を上昇されることではなく,税回避及び脱税の撲滅によるコンプライアンスの確保により歳入増加を目指すことが目標である。しかし,不従順な納税者に対しての強制力を強化する。
(1)税に関する法律及び規制に従わない場合の罰則の拡大及び罰金の増額。
(2)税機関に意図的に情報を隠すもしくは不正確な情報を提供した者に対する罰則を導入。
(3)雇用者が給与及び保険に関し,納税者が源泉徴収申告の提出,もしくは計算書の提示をし損ねた際には監査を実施。
(8)税管理改革:経済のグローバル化,及び情報通信技術の台頭は税制度に変化をもたらした。経済の変化に対応するため,税制の根本的変革が必要であり,新たな所得税法を制定したいと考えおり,来年度,国会に提出する予定である。また,新法の実行のためにも,税務管理改革が必要であるが,現政府での最後の税務部門改革は2011年である。しかし,2011年と比べて,納税者数は3倍に,確定申告者は90万人から約160万人に増加した。右状況を考慮し,今後5年間(2022-23年度末)で,登録納税者数を1000万人,確定申告者を800万人に増加させることを目標とする。
(9)付加価値税(VAT):VATは,政府にとって最大の税収入源である。現在の9種類のVATを,本年は5種類(2%,4.5%,5%,7%及び10%)に変更する。
ア オンライン申告提出:オンラインでの申告提出は,高額納税者に対して試験的に実施する予定である。また,今年度中にオンラインでの税金支払いシステムの利用を開始するが,紙の記載による提出も継続する。
イ 電子財政機器の導入:電子レジ,及びポスシステムの代わりに電子財政機器を導入することが必要である。右導入により,NBRがリアルタイムでビジネス取引を確認し,歳入の漏れを防ぎ,歳入増加に繋がると考える。
(10)VAT法のスケジュール修正について:VATは消費ベースの税であり,効果的な徴収に向けて以下を変更する。
ア 農地売却時のVATの免除
イ ヘリコプターサービスへ20%の補足税の設定
ウ ホテル及びレストランでのアルコールの提供時の補足税を10%から20%へ引上げ
(11)タバコ,巻きたばこ(Bidi)及びスモークレスタバコ
ア タバコ:「バ」は,WHOのタバコの規制に関する世界保健機関枠組み条約(FCTC)に調印しており,タバコ使用の減少,健康被害の削減,及び収入の増加がタバコ分野での大きな課題である。NBRは価格レベルを下げ,税率を変更し,目標の達成に向けて取り組んでいる。低セグメント(low segment)のタバコは,10本で32タカ,補足税を55%に増加する。中間セグメント(medium segment)は,10本48タカ,補足税を65%とし,高セグメント(high segment)は10本75タカ及び101タカとし,補足税は65%を維持する。
イ 巻きたばこ(Bidi):社会経済的の改善により,巻きたばこ利用者数は減少してきており,巻きたばこ産業従事者数も減少している。昨年,政府は巻きたばこ生産を2-3年以内になくすことを決定した。さらに,首相は2041年までに「バ」をタバコのない国にすることを決定した。右に従い,2030年までに巻きたばこの製造を廃止し,タバコの生産を2040年までに廃止する。
ウ スモークレスタバコ:スモークレスタバコも有害であり,消費の削減に向けて,10グラムあたり25タカに価格を固定する。
(12)VATの除外項目:農業,重工業,テキスタイル及び輸出産業と一部国内産業の発展と保護のため,VATの除外項目を設定する。
ア 輸入及び製造過程
➀癌及び腎臓病の治療に重要な,エリスロポエチン(Erythropoietin)の輸入時のVATを免除。
(2)1kgあたり100タカ以下の手作りビスケット及びケーキへのVATを免除。
(3)ゴム及びプラスチック製サンダルとスリッパへのVATを免除し,150タカ以上の商品には値付けを義務付ける。
(4)輸出国からの証明がある場合,コリアンダー及びメロンの種輸入の際のVATを免除。
(5)飼料作物としてのあわ粒輸入時のVATを免除。
(6)携帯電話工場へのVAT免除,携帯電話工場への追加徴収の免除,及び携帯電話機輸入時には2%の追加徴収を実施。
(7)地元の自動二輪車工場に対してVATの免除。
イ サービス
➀民間航空局による,国際線でのポートサービス(port service)へのVATを免除。
(2)二重課税防止のため,保険会社の手数料へのVATを免除する。
(13)補足税の設置と増加
補足税は,国際社会の競争から国内産業を保護するために設定している。また,特定の望まない物品及び贅沢品に対して設定する。
ア エネルギー飲料への補足税を25%から35%に増額する。
イ 全ての化粧品に対して10%の補足税を設定する。
ウ 化粧品,香水,ボディースプレー等への補足税を10%から15%へ増額する。
エ タバコ及び巻きタバコ用の紙への補足税を10%から15%へ増額する。
オ バスタブ,ジャグジー,シャワートレイへの補足税を20%から30%へ増額する。
カ 白熱電球へ10%の補足税を設定する。
キ ポリテン及びビニール袋へ補足税を10%設定する。
(14)基本金額の切り詰め
ア 1,600立方フィート以内の部屋の販売のVATは2%固定し,それ以上の場合は4.5%とする。また,再販売の場合は,広さに関わらず2%とする。
イ 家具へのVATは,現在 4%の家具は5%,6%の家具は7%に増額する。
エ 石油製品の運送契約,オークション商品の購買者及びブランド衣服のアウトレット品へのVATを4%から5%へ増額し,地元市場での非ブランド衣服へのVATを5%とする。
オ 情報技術サービスのVATを4.5%から5%に増額する。
カ 輸入及び貿易段階の商品への前払い貿易付加価値税を4%から5%へ増額する。
キ 「ヴァーチャルビジネス(ソーシャルメディア,携帯電話アプリを使用したヴァーチャルビジネス)」に対してのVATを5%とする。
ク 関税値問題
ケ 一部商品の関税の合理化
(16)輸入・輸出税
 本年の輸入・輸出税の特徴は,必需品の価格維持,国内産業に必要な保護の提供,輸出市場の拡大の促進,及び矛盾の解消による関税構造の合理化である。その上で,本年度も輸入における関税は現行の税率(0%,1%,5%,10%,15%,及び25%)を維持する。場合により,歳入の増加を目的に3%の調節税(Regulatory Duty),及び補足税を利用するが,右税の使用を減らすことが目標である。分野毎の税率は以下である。
ア 農業分野:「バ」は現在も農業ベースの経済であり,政府にとって常に最も優先するべき分野である。
➀農業:肥料,種子,殺虫財など農業に重要な材料の輸入税は0%を継続する。「バ」の生産者を保護するため,米の輸入に関しては25%の関税及び3%の調節税を設定している。同様に,生産者及び農業産業の保護のため,「バ」生産のでんぷん(starch),麦,とうもろこし(meize),芋,及びキャッサバへの税は,15%関税及び10%の調節税とする。
(2)魚,家禽,及び酪農:魚,家禽及び酪農分野に対して提供した免税及び税制優遇を継続し,さらに,家禽分野に関しては,飼料用の大豆粕及び小麦粉への関税を0%に引き下げ,調節税を5%とする。
(3)タバコ:タバコは健康を害するものであるとし,ここ数年間タバコの生産を推進していない。また,輸入に対して高い税金を適用してきた。本年度は,タバコの国内消費を削減し,輸出を増加させる観点から,タバコ輸出の際の25%の関税を廃止する。
(4)食品加工産業:パッケージ加工されている,はちみつ,チューイングガム,砂糖菓子類,チョコレート,ココア,ナッツ,シリアル,及び大麦への関税を25%へ引き上げる。
(5)海洋魚産業:魚及び魚製品の輸出は重要な輸出産業の1つである。資本機械及び漁業網への輸入税に譲与的税率を適用する。
イ 工業分野:現在の発展戦略は,工業投資の増加,既存工業の能力最大限の活用,産業の多様化を通じた競争力のある輸出産業の創出,及びビジネス実施費用の削減である。
➀医薬品:癌を含む一部の薬の原材料,原薬(API)の原材料への免税及び譲与的税率を適用。
(2)皮革:皮革加工に必要となる原材料に対しては税の優遇を提供してきた。しかし,輸出時に
床革(split leather)のHSコードがないことにより,一部の輸出業者が困難に直面しているため,新たにHSコードに床革を追加。
(3)テキスタイル:完全輸出目的での原材料の輸入は免税対象となる。さらに,亜麻繊維及び亜麻トウ等のテキスタイル原材料の輸入税の免除を提供。
(4)鋼鉄:鉄合金(Ferro Alloy)の輸入に係る調整税を15%から10%へ削減,海綿鉄(Sponge Iron)の輸入時の特定の関税を1メトリックトンあたり1,000タカから800タカへ削減。
(5)粉ミルク:貧困層に植物油脂添加粉乳(Filled Milk Powder)を提供するために,大量に粉乳を輸入した際には,輸入税を10%に削減。
(6)冷蔵庫及びコンプレッサー:「バ」での生産を促進するため,冷却材,プリント鉄板(0.3mm),銅管,コンデンサ,コネクタ,電気端子機器(terminal & electrical apparatus)への関税を5%にし,溶接ワイヤ,バネ,及びガスケットを15%とする。
(7)印刷:液状のフレキソ及びグラビアの原材料の輸入税を10%とし,印刷リーフレット,パンフレット,ポストカード,カード,カレンダー等の輸入時の補足税を25%とし,補足税を20%とする。
(8)再溶解鉛:再溶解鉛の「バ」からの輸出に25%の輸出税を設定。
(9)電気製品:携帯電話充電器の完成品,UPS(無停電電源装置)/IPS,定電圧装置の輸入税を15%に,自動遮断機(automatic circuit barkers)の関税を10%に,ランプホルダーの補足税を20%に増額する。また,炭素棒及び形成コア等に電気製品の原材料の輸入税を削減。
ウ 運輸分野
➀通学バス:通学バスの導入により渋滞緩和を目的に,学校及び関連機関からの要請による通学バスの輸入に係る税の譲与もしくは免税を検討。
(2)ハイブリット自動車:1600-1800ccのハイブリット自動車の輸入時の補足税を45%から20%へ削減する。また,電気自動車も同様とする。
(3)中古車:本年は2017-18年度より,更に原価償却費の5%を削減する。また,ノックダウン車(CKD)及び完成品(CBU)の輸入に係る調整税を25%から10%へ削減。
(4)自動二輪車:自動二輪生産者の原材料の輸入に係る税金の譲与を継続。
(5)板バネ(Leaf Spring):補足税を10%に減額。
(6)タイヤ及びチューブ:原材料であるパラフィン・ワックスの関税を10%に,フェノール樹脂を5%とする。
(7)自転車:ブレーキ及びサドル等の自転車部品の関税を25%に引き上げる。
エ ICT分野
 「デジタル・バングラデシュ」は夢であり,1996年以来,政府はICT分野の様々な商品に対して減税を実施してきた。また,携帯電話は現在広くICT分野で使用されており,一部原材料の税制の優遇を受けながら,地元での製造が実施されている。本年は,携帯電話の組み立て業の促進に向けた原材料の減税,及びIT及びコンピュータの利用促進に向けて,「バ」で開発されていない一部ソフトウェアの輸入税を5%に削減する。
オ 関税の正当化/合理化
 大部分は変更しないが,補足税の再構築が必要である。我々は,既存の関税やHSコードもしくは様々な告知における誤りや矛盾に関し,訂正や合理化に取り組んできた。必要に応じて新たなHSコードの作成,誤りの修正,HSコードの訂正及び,告知を今後も実施する。
カ 関税法の1次スケジュールの修正
 世界税関機構(WCO)の修正に従い,「バ」関税案(Bangladesh Customs Tariff)にも修正を行う。国際貿易の促進のため,関税分類上の複雑性の根絶に向けて取り組む。また,既存のHSコード上に存在しないもの及び矛盾があった場合は,記載や各種税を追加する。
キ 関税政策の主要な課題は,地元産業を保護し,アンダーインボイスに関する問題に取り組み,歳入目標を達成することである。右問題に対応するため,関税改革,税関の電子化,及び自動化等に取り組んできた。また,2017-18年度予算には最低価格に関して規制法を発令したが,本年は内容の更新を実施する予定である。さらに,地元産業の保護,及び贅沢品への関税の決定に際し,官民合同の代表者会を形成した。NBRはアンダーインボイスの撲滅に向けた税関職員へ訓練の実施,及び国際貿易に係るリスクの認識と軽減及び必要な支援を提供するための中央リスク管理ユニット(Central Risk Management Unit)をNBR内に設置した。様々な改革の実施により,歳入及び税制の更なる近代化及び時間的な効率化の促進,税金の未払の削減,及び税管理機構とビジネス界の協力関係の強化を期待している。
 
9 結論
 本年度の予算も増額しているが,人々の生活を変えるための高い成長を維持するための唯一の選択肢である。予算執行率に関しても考慮しており,結果として,2017-18年度は外国援助の使用を向上させた。歳入及び公共支出の管理改革は公共収入を増加させ,予算の利用可能枠を拡大させるだろう。また,成長に加え,女性及び子供の開発,教育,保健と社会的保護も重要な課題である。効果的な改革と機関の発展により,全ての階層の人々が開発の効果を受けられるようにし,繁栄と公平の双方を実現することが目標である。