岩間公典大使の挨拶
令和5年12月27日
昨年12月26日に大統領に信任状を奉呈し、大使として活動をはじめてちょうど1年となります。この1年間、日本とバングラデシュとの関係で様々な動きがありました。2024年を迎えるにあたり、2023年一年間を振り返りつつ、来年に向けた考えについて触れてみたいと思います。
本年4月にハシナ首相を日本政府として正式にお招きしたことに触れたいと思います。岸田総理との間では、二国間の諸懸案は勿論、地域、グローバルな課題についても意見交換が行われました。合意文書を「戦略的パートナーシップ」として表明し、関連する様々な分野の協力覚書、民間企業関係の合意文書も多数取り交わすことが出来ました。その一つ一つに触れることは致しませんが、大きく言えば、首脳間の文書に示された三つの分野で、この一年を通じ、それぞれ進展があったと思います。
第一に、経済分野での関係の深化です。着任以来、ダッカメトロ6号線の開業及び延伸、ハズラット・シャージャラール国際空港第三ターミナルのソフトオープニングなど、大使として日本政府及び日本企業が関わった大型案件の幾つかに関するセレモニーに参加することが出来ました。空港第三ターミナルに関しては、2024年の操業を目指し、引き続き建設が順調に進んでおり、開業の暁には、日本のサービスを提供すべく、バングラデシュの関係者との調整が進んでおります。こうした案件のみならず、バングラデシュが抱える様々な開発課題に官民挙げて2024年も取り組むことが想定されます。大使館として、引き続きこうした動きを後押ししていくつもりです。
更に経済分野では、昨年着任の際HPに掲載した挨拶でも、この国の二国間関係において、民間企業関係者からの期待が「援助から投資」へシフトしているとの印象について述べました。昨年12月に合意した、あり得べき経済連携協定(EPA)に向けた二国間の共同研究も、三回の会合を経まして、共同研究報告書が作成されました。2026年の後発開発途上国卒業を見据え、EPAの協議を通じ、様々な経済面での課題が議論されることが期待されています。とりわけ、ビジネス環境整備については、EPA協議とは別に、官民合同経済対話の枠組みも活用し、両国双方にとりプラスとなる経済環境作りが話し合われております。大使館としても、2024年はこうした動きを力強く推進して参りたいと思います。
第二に、政治・安全保障面での協力強化です。日本政府が掲げる「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」に関する考えは、3月にインドで行われた岸田総理によるスピーチにより、新たな方向性が示されました。また、4月の首脳会談直前に、バングラデシュ政府は「インド太平洋アウトルック」を公表しました。こうした両国の基本的な考え方に基づき、この地域全体の平和と安定に資するべく、我が国として、様々な分野でコミットメントを強化しております。なかでも、11月には日本政府の新たな支援枠組みである政府安全保障能力強化支援(OSA)の下、バングラデシュ海軍に対する警備艇の供与を決定いたしました。4月のハシナ首相訪日の際には、防衛協力に関する覚書も締結されました。日本として人的交流も含め、安全保障面での協力を強化して参る所存です。
また、2017年に所謂ロヒンギャ避難民が大規模に流入してから、既に6年が過ぎました。日本政府は、約100万人のロヒンギャ避難民をバングラデシュ政府がこの間受け入れてきたことに敬意を表すると共に、この問題がホストコミュニティの負担増と地域の不安定化につながらないよう、二国間及び国際機関を通じた支援を実施してきたところです。12月にはジュネーブでグローバル難民フォーラムが開催されました。日本政府はUNHCRとのアジア地域を担当する共同議長として、この問題への取組を主導する決意を改めて示したところです。私自身、この1年間でコックバザール及びバシャンチャール島の避難民キャンプには計5回訪れました。年明け以降も、機会を捉えて現地を訪れ、避難民及びホストコミュニティに寄り添った支援を日本として実施すべく、この問題に取り組んで参ります。
第三に、首脳間の合意文書では「人的交流の拡大」を柱として掲げています。3月には、ナラヤンガンジ市と鳴門市の友好都市協定が両市長間で署名されました。これはバングラデシュにとり初めての友好都市協定であり、11月にはそれを祝う桜の植樹がナラヤンガンジ市で行われました。また9月には国営ビーマン・バングラデシュ航空が日本との間で直行便運航を再開しました。さらに、2016年のテロ事件以降中断されていた青年海外協力隊の派遣も再開されました。こうした新たな動きの下、2024年における人的交流が益々活性化されることが期待されます。
実際、日本に就職、進学の機会を求めるバングラデシュの人々は増えてきています。日本語能力試験(JLPT)の受験応募者は、12月の試験では1万人近い人に上るなど、過去1年だけを見ても顕著に増加しています。大使館としては、こうした日本や日本語への関心に応え、後押しできるよう取り組んで参ります。
最後に、バングラデシュに在留される日本人の安全は大使館としての最重要課題です。1月7日には、当国において総選挙が行われる予定です。我が国は選挙の実施に関し、政府として選挙監視団を派遣する予定です。選挙に伴う治安上の懸念については、私どもとしても随時当国の当局に申し入れを行っておりますが、今後とも企業活動の継続の観点からも関係当局との連携を密にして参りたいと思います。
2024年は、米国やインドを始め、世界各国で選挙が予定されていると承知しています。また、ウクライナ、ガザ情勢など、世界全体に影響を及ぼす問題も未解決のままです。国際情勢はこのように不確定要素がありますが、日・バングラデシュ二国間関係については、以上述べたような2023年のポジティブな動きを継続できるよう、大使として努力して参りたいと思います。
本年4月にハシナ首相を日本政府として正式にお招きしたことに触れたいと思います。岸田総理との間では、二国間の諸懸案は勿論、地域、グローバルな課題についても意見交換が行われました。合意文書を「戦略的パートナーシップ」として表明し、関連する様々な分野の協力覚書、民間企業関係の合意文書も多数取り交わすことが出来ました。その一つ一つに触れることは致しませんが、大きく言えば、首脳間の文書に示された三つの分野で、この一年を通じ、それぞれ進展があったと思います。
第一に、経済分野での関係の深化です。着任以来、ダッカメトロ6号線の開業及び延伸、ハズラット・シャージャラール国際空港第三ターミナルのソフトオープニングなど、大使として日本政府及び日本企業が関わった大型案件の幾つかに関するセレモニーに参加することが出来ました。空港第三ターミナルに関しては、2024年の操業を目指し、引き続き建設が順調に進んでおり、開業の暁には、日本のサービスを提供すべく、バングラデシュの関係者との調整が進んでおります。こうした案件のみならず、バングラデシュが抱える様々な開発課題に官民挙げて2024年も取り組むことが想定されます。大使館として、引き続きこうした動きを後押ししていくつもりです。
更に経済分野では、昨年着任の際HPに掲載した挨拶でも、この国の二国間関係において、民間企業関係者からの期待が「援助から投資」へシフトしているとの印象について述べました。昨年12月に合意した、あり得べき経済連携協定(EPA)に向けた二国間の共同研究も、三回の会合を経まして、共同研究報告書が作成されました。2026年の後発開発途上国卒業を見据え、EPAの協議を通じ、様々な経済面での課題が議論されることが期待されています。とりわけ、ビジネス環境整備については、EPA協議とは別に、官民合同経済対話の枠組みも活用し、両国双方にとりプラスとなる経済環境作りが話し合われております。大使館としても、2024年はこうした動きを力強く推進して参りたいと思います。
第二に、政治・安全保障面での協力強化です。日本政府が掲げる「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」に関する考えは、3月にインドで行われた岸田総理によるスピーチにより、新たな方向性が示されました。また、4月の首脳会談直前に、バングラデシュ政府は「インド太平洋アウトルック」を公表しました。こうした両国の基本的な考え方に基づき、この地域全体の平和と安定に資するべく、我が国として、様々な分野でコミットメントを強化しております。なかでも、11月には日本政府の新たな支援枠組みである政府安全保障能力強化支援(OSA)の下、バングラデシュ海軍に対する警備艇の供与を決定いたしました。4月のハシナ首相訪日の際には、防衛協力に関する覚書も締結されました。日本として人的交流も含め、安全保障面での協力を強化して参る所存です。
また、2017年に所謂ロヒンギャ避難民が大規模に流入してから、既に6年が過ぎました。日本政府は、約100万人のロヒンギャ避難民をバングラデシュ政府がこの間受け入れてきたことに敬意を表すると共に、この問題がホストコミュニティの負担増と地域の不安定化につながらないよう、二国間及び国際機関を通じた支援を実施してきたところです。12月にはジュネーブでグローバル難民フォーラムが開催されました。日本政府はUNHCRとのアジア地域を担当する共同議長として、この問題への取組を主導する決意を改めて示したところです。私自身、この1年間でコックバザール及びバシャンチャール島の避難民キャンプには計5回訪れました。年明け以降も、機会を捉えて現地を訪れ、避難民及びホストコミュニティに寄り添った支援を日本として実施すべく、この問題に取り組んで参ります。
第三に、首脳間の合意文書では「人的交流の拡大」を柱として掲げています。3月には、ナラヤンガンジ市と鳴門市の友好都市協定が両市長間で署名されました。これはバングラデシュにとり初めての友好都市協定であり、11月にはそれを祝う桜の植樹がナラヤンガンジ市で行われました。また9月には国営ビーマン・バングラデシュ航空が日本との間で直行便運航を再開しました。さらに、2016年のテロ事件以降中断されていた青年海外協力隊の派遣も再開されました。こうした新たな動きの下、2024年における人的交流が益々活性化されることが期待されます。
実際、日本に就職、進学の機会を求めるバングラデシュの人々は増えてきています。日本語能力試験(JLPT)の受験応募者は、12月の試験では1万人近い人に上るなど、過去1年だけを見ても顕著に増加しています。大使館としては、こうした日本や日本語への関心に応え、後押しできるよう取り組んで参ります。
最後に、バングラデシュに在留される日本人の安全は大使館としての最重要課題です。1月7日には、当国において総選挙が行われる予定です。我が国は選挙の実施に関し、政府として選挙監視団を派遣する予定です。選挙に伴う治安上の懸念については、私どもとしても随時当国の当局に申し入れを行っておりますが、今後とも企業活動の継続の観点からも関係当局との連携を密にして参りたいと思います。
2024年は、米国やインドを始め、世界各国で選挙が予定されていると承知しています。また、ウクライナ、ガザ情勢など、世界全体に影響を及ぼす問題も未解決のままです。国際情勢はこのように不確定要素がありますが、日・バングラデシュ二国間関係については、以上述べたような2023年のポジティブな動きを継続できるよう、大使として努力して参りたいと思います。