対バングラデシュ経済協力
平成23年8月
1.概要
2.援助の目的と意義
3.重点分野
4.事業展開計画
5.我が国の年度別・援助形態別実績
6.対バングラデシュODAプロジェクト |
7.草の根・人間の安全保障無償資金協力
8.ODA現地タスクフォース
9.資料
(1)
約束状況
(2)
調達情報
|
1.概要
1972年の国交樹立以降、日・バングラデシュ関係は我が国による経済協力を中心に友好関係を構築・維持。同国の親日的な国民感情と相まって、我が国経済協力に対する期待感には極めて強いものがある。我が国は同国に対する最大の援助国の一つ。
【参考:主要経済指標等(2008年世銀WDI)】
人口:160百万人、1人当たりGNI:520ドル、経済成長率:6.2%
予算規模:1兆1,382億タカ(2010年度(2009年7月-2010年6月))(約165.9億ドル)
※1タカ=68.60米ドル、07-08年平均
2.援助の目的と意義
穏健なイスラム国であり、またSAARC(南アジア地域協力連合)の提唱国として南アジア諸国の協力関係強化に尽力している同国の安定的発展を支援することは、南アジア地域全体の安定と経済発展の観点からも重要。また、約36%の貧困層を抱える同国の貧困削減に向けた努力を支援することはミレニアム開発目標(MDGs)達成にとって重要。
3.重点分野(対バングラデシュ国別援助
方針:別添1:PDF)
2006年5月改定の国別援助計画における援助の重点目標
(1)経済成長
(民間セクター開発、運輸・電力におけるインフラ整備、農業・農村開発)
(2)社会開発と人間の安全保障
(教育、保健、環境分野の改善、災害対策)
(3)ガバナンス
(中央、セクター、地方レベルにおけるガバナンスの改善)
4.事業展開計画(別添2)
5.我が国の年度別・援助形態別実績(単位:億円)
年度 |
円借款 |
無償資金協力 |
技術協力 |
2004年度 |
113.45 |
21.13 |
22.52 |
2005年度 |
0 |
28.28 |
16.28 |
2006年度 |
249.06 |
23.16 |
16.12 |
2007年度 |
429.56 |
25.57 |
16.41 |
2008年度 |
397.49 |
42.73(0.02) |
21.90 |
2009年度 |
387.92 |
27.65(0.30) |
25.03 |
累計総額 |
7,193.04 |
4,672.56(0.32) |
561.34 |
(注)円借款及び無償資金協力は交換公文ベース。無償資金協力のうち、国際機関を通じた贈与については、2008年度より括弧内に全体の内数として記載。技術協力はJICA経費実績ベース(各省庁の行っている技術協力や留学生受け入れを除く)。2010年度分は現在集計中。
6.対バングラデシュODAプロジェクト
○
有償資金協力(実績詳細:別添3)
円借款では、これまでインフラを中心に支援を実施。2009年度の実績は387.92億円(E/Nベース、金利:0.01%)。2009年度までの円借款供与累計額は約7,193.04億円。
なお、我が国はバングラデシュに対し、1978年のUNCTADにおける決議にのっとり、2003年度に総額1,580.9億円の債務免除を決定し、2008年8月に署名した一括放棄に係るE/Nによって債務を免除した
2011年度円借款供与案件(総額549.29億円)(平成23年5月18日E/N署名)
パドマ多目的橋建設計画(342.00億円)
バングラデシュのパドマ川を横断する全長6.15キロメートルの多目的橋(ガス管等併設を含む)の建設を行うもの。
クルナ水供給計画(157.29億円)
バングラデシュ第3の都市であるクルナ市において、上水道施設の整備を行うもの。
中小企業振興金融セクター計画(50.00億円)
地場企業などの参加金融機関を介して中小企業等への融資を行うための資金を供与するもの。
○
無償資金協力(実績詳細:別添4)
農業、防災等基礎生活分野を中心に支援。2009年度の実績は、27.35億円。2009年度までの無償資金協力の供与累計額は、4,972.24億円(内、債務救済無償累計額2,568.66億円)。なお、バングラデシュは、我が国債務救済無償の最大の供与国。
2011年度無償資金協力の主な案件
人材育成奨学計画(1.95億円)
バングラデシュの公共政策、経済、環境政策、国際関係を担う優秀な若手行政官が我が国で学位を取得するために必要な学費等を供与するもの。
2010年度無償資金協力の主な案件
人材育成奨学計画(2.31億円)
バングラデシュの公共政策、経済、環境政策、国際関係を担う優秀な若手行政官が我が国で学位を取得するために必要な学費等を供与するもの。
「食糧援助(WFP経由)」(8.20億円)
食糧安全保障の確保に貢献するため、緊急食糧援助を実施するもの。
「貧困削減戦略支援無償(教育セクター)」 (5.0億円)
バングラデシュの教育分野においてMDGs達成のため、各ドナーと共に第3次初等教育開発プログラム(PEDP?V)に参画し、政策面を含むセクター全体に貢献するとともに、技術協力で得た成果を全国に展開するもの。
○
技術協力
教育、保健、農村開発分野を中心に支援。2009年度のJICA経費実績(含開発調査)は25.03億円。
2009年度までの対バングラデシュ技術協力総額累計は561.34億円。また研修員受入5,826人、専門家派遣は1,668人、協力隊派遣1,043人、シニアボランティア10人。
技術協力協定の締結
2002年12月、効果的・効率的な技術協力の実施を行うため、技術協力協定を締結。
2010年度技術協力の主な案件
「小学校理数科教育強化計画フェーズ2」(2010.11.09-2016.11.08)
PEDP?Vにおける教員研修・授業改善の分野にてフェーズ1で開発した教員指導書の定着・全国展開することで教育の質の改善を図る。
「母性保護サービス強化プロジェクト」(2006.07.01-2011.06.30)
助産士への研修棟を通じ、女性と新生児の健康状態の改善を図る。
「行政と住民のエンパワメントを通じた参加型農村開発プロジェクトフェーズ2」(2005.04.15-2010.04.01)
これまでに構築した村落住民に対し適切な行政サービスを提供できるための仕組み「リンクモデル」を定着させ、汎用性・実用性の高いモデルの形成を図る。
7.草の根・人間の安全保障無償資金協力
草の根・人間の安全保障無償資金協力(以下、「草の根無償」)は、開発途上国の多様なニーズに応えるために1989年に導入された制度であり、バングラデシュにおいては、これまでに178件、総額1,454,787,550円(13,671,246米ドル)を供与。
当地における草の根無償は、ローカルNGO等が実施する比較的小規模なプロジェクト(原則1,000万円以下)に対し、資金協力を行うもので、草の根レベルに直接裨益するため、きめが細かく、また、機動的な対応が可能な「足の速い援助」であるという特徴を持つ。(過去の供与案件:別添5参照)
8.現地ODAタスクフォース
ODAの政策立案、案件形成、実施、評価、フォローアップ等において、現地日本大使館、JICA及びJETROが可能な限り共同し、かつ限られたリソース(特に人的資源)を有効活用することを通じて、現地体制を強化し、より一貫性、一体性の高い援助の実施を目指すもの。
(1)
現地ODAタスクフォース調整会議
大使館、JICA、JETROの代表が定期的、又は必要に応じて随時招集するもので、各セクター、各スキームの主要な問題につき協議し、対バングラデシュ経済協力に係る総合的な調整や意思決定を行う。
(2)
セクター別検討会
セクター別の援助方針と事業展開計画を作成し、セクター毎にバングラデシュ政府関係省庁等と協議や調整を行う。また、セクター別に援助協調を推進(セクター別のドナー会合に出席、等)する。
(3)
開発援助勉強会
大使館において、当国の開発を巡る特定のテーマにつき講師を依頼し、NGO、協力隊員、企業関係者等を交えたプレゼンテーション及び意見交換を行う。(過去の実績一覧(別添6))
9.資料
(ア)
約束状況(別添7)
(イ)
調達情報(別添8)
(ウ)
開発協力大綱(別添9)
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