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日本語の最新号及びバックナンバー

メールマガジン バックナンバー

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  日本・バングラデシュ交流メールマガジン(第74号・2007/4/26) 

       ―日本とバングラデシュの橋渡しのために―      

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 本メールマガジンは、当地在留邦人の皆様及び希望者に送付しておりま

 す。本メールマガジンの配信開始・変更・中止のご希望がありましたら

 、編集部までご連絡いただければ幸いです。            

  mail@embjp.accesstel.net                   

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□ 目次 □

 

【1】最近の日本・バングラデシュ関係

[これまで]

    コックスバザール気象レーダー開所式(422日、コックスバザール)

● 井上大使夫妻のチッタゴン訪問(42324日)

    留学支援無償資金協力人材育成奨学計画(JDS)留学候補者発表(412日、ダッカ)

    新青年海外協力隊員着任(415日、ダッカ)

 

【2】青年海外協力隊リレー連載「地球から夜のなくなる日」

16年度3次隊 村落開発普及委員 梅沢圭)

 

【3】お知らせ

14回南アジア地域協力連合(SAARC)首脳会議における麻生外務大臣ステートメント(43日、ニューデリー )

2007年版外交青書(速報版)

2006年版ODA白書

 

【4】編集後記

 

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【1】 最近の日本・バングラデシュ関係

 

[これまで]

    コックスバザール気象レーダー開所式(422日、コックスバザール)

22日(日)、気象レーダー開所式がコックスバザールにて行われ、井上大使夫妻が出席しました。本プロジェクトに対する日本政府による無償資金援助は総額49,000万タカ(720USドル)に及びます。

バングラデシュは洪水やサイクロンなどによる自然災害による被害が毎年甚大である一方で、このような自然災害による犠牲は適切な予報・警告により回避できるものです。このような状況に鑑み、バングラデシュ政府の要請に応える形で日本は気象サービスの改善に向けて1988年より無償資金協力を実施してきました。その結果サイクロンによる被害は劇的に減少してきました。

本件に関するプレスリリースは以下のウェブサイトに掲載されています。

http://www.bd.emb-japan.go.jp/en/news/pr/pdf/Rader041907.pdf

また、井上大使夫妻は、翌日、同じく日本政府の無償資金協力により建設された「サイクロンシェルター」を視察しました。このシェルターは普段小学校として利用されていて、洪水やサイクロンの時に地域住民の避難所となるものです。避難時には約2000名を収容できる建物となっています。こうした「サイクロンシェルター」はバングラデシュでは約2500棟が必要とされており、暫時国内各地に建設されています。日本政府の資金援助によるシェルターは現在81カ所に建設されています。

 

●井上大使夫妻のチッタゴン訪問(4月23,24日)

23日(月)及び24日(火)の2日間に渡り、井上大使夫妻がチッタゴンを訪問しました。チッタゴンでは、日本とバングラデシュが協力して稼働している肥料工場や化学工場及び輸出振興地域で操業している日系企業を訪問し、その事業を視察し、関係者を激励しました。また、チッタゴン日本人会の会員の方々と懇談し、親交を深めました。

 

    留学支援無償資金協力人材育成奨学計画(JDS)留学候補者発表(416日、ダッカ)

16日(月)、財団法人日本国際協力センター(JICE)による留学生支援無償事業(Japanese Grant Aid for Human Resource Development ScholarshipJDS)の留学候補者発表式が、井上大使、アミヌル・イスラム・ブイヤン財務省経済関係局(ERD)次官の出席の下で行われました。

183名の応募者の中から合格した20名の候補者は、2ヶ月の研修を受け、日本での修士号取得に備えます。井上大使は、日本で得た知識と経験をバングラデシュの発展のために最大限活用して欲しい旨述べました。 

JDSは日本政府により2001年に設立され、バングラデシュ人奨学金取得者に日本で様々な分野を勉強する機会を提供してきました。JDSはバングラデシュの将来を担う若者に知識と技術を高め、両国の良好な関係強化に寄与するのが狙いです。

バングラデシュの留学生関係無償事業については以下のウェブサイトをご覧下さい。

http://www.jice.org/english/jds/bangladesh_org.html

本件に関するプレスリリースは以下のウェブサイトに掲載されています。

http://www.bd.emb-japan.go.jp/en/news/pr/pdf/JDS041607.pdf

 

    新青年海外協力隊員着任(415日、ダッカ)

15日(日)、10名の新青年海外協力隊員がダッカに到着しました。今回着任した隊員たちは、バングラデシュの各方面で2年の間、感染症、コンピューター技術、村落共同体、空手、テニスの分野で活動します。

1973年以降、国際協力事業団(JICA)により914名の隊員がバングラデシュへ派遣されており、現在54名の隊員が教育、開発、文化、スポーツ等の様々な分野において、ベンガル語を駆使してバングラデシュ中で活躍しております。

15日、新隊員達は大使館を訪れ井上大使と懇談し、大使はバングラデシュのために能力・技術を十分に発揮して欲しい旨発言しました。

本件に関するプレスリリースは以下のウェブサイトに掲載されています。

http://www.bd.emb-japan.go.jp/en/news/pr/pdf/JOCV041707.pdf

 

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【2】青年海外協力隊リレー連載「地球から夜のなくなる日」

16年度3次隊 村落開発普及委員 梅沢圭)

 

村から電気がなくなってかれこれ2週間たつ。村の電線の変圧器がスパークして故障したためである。生まれてから電気があることが当然の環境に育った私には電気のないことが非常にこたえる。村人などは慣れたもので電気のないことにいらいらする素振りもなく暗闇のなかでごはんを作り、食べ、そしてお祈りをし、電気のあるときより少し早く眠り、朝はいつもより少し早く目覚めるのみである。彼らを見ていると電気のないことにいらいらしている私自身にいらいらする。

「あとどれくらいで来るかね電気は?」一人の村人をつかまえて尋ねる。

「水曜日には来るそうだ」

「水曜日?」。水曜日というと今日は金曜日だから5日も先の話である。

「今日、電気会社の人間に渡す1万タカの賄賂が集まったからね」とその村人は言う。

変圧器が壊れたのは私が村に住み始めてから2度目で前回は13日間一度も電気が来なかった。今回はそのときよりも長い。そういえば前回は私のもとに村の長老たちが押しかけて賄賂のための献金を迫られた経験がある。今回は村人の話によると、灌漑の時期なのに田に水を入れられないポンプの持ち主たちがしびれを切らして賄賂を支払ったために私のところには来なかったとのこと。「そう暗い顔しなすんな。北西部ではあらゆるところで変圧器が盗賊に盗まれてるんだからうちはましなもんさ」と同じ村人が言う。

「兄さん、僕の人生は暗闇です」私のもっとも村の中でかわいがっている青年が暗闇のなかで暗闇について話す。

「なんで?」

「だって僕にはこれから養わなければいけない両親と妹がいるのに僕は何もできないでいる」

「だからうだうだ言わないで早く海外出稼ぎにいけばいいじゃないの。ドバイのほうはもう話をつけてあるからいつでもいけるよ」

「兄さん、ドバイはやっぱりちょっと・・・」

「何?」

「あまり稼ぎがよくなさそうだから」

「何をぜいたく言ってるの?早くパスポート取ってきなさい」

「パスポートは申請してあるけどもう2000タカ賄賂を渡さないと手渡してくれないんです」

この国ではどこもかしこも汚職づくめである。ところで汚職はベンガル語で「ドゥルニティ」(ドゥルは“悪い”で“二ティ”は倫理の意である)。“二ティ”は倫理以外に「政策」も意味する。この二つはかつては同一のものだったのだろうが次第に乖離したのだろう。私のオフィスの同僚に「アメリカの新しいイラクニティ(政策)はどんな感じ?」と尋ねるとおどけた調子でこう言う。「ブッシュニティと同じようなものさ。トムラゴノトントロカオ、アマケテイルダオ(君ら民主主義食べなさい、そして我々に石油渡しなさい)ハハハ・・・」ベンガル人というのは時にこのようなかわいたブラックユーモアを出してくるので面白い。

村から電気が消えたのち村ではよく人が死ぬ。別に電気がなくなったことが死と関係があることはないのだろうが暗闇のなかの人の死はどうも目立つのである。今年の冬は寒波の影響で例年になく寒いので人々は電気のない寒い夜、一所に集まらないのでひっそりとしている。村で人が死ぬとまず断末魔のような女性の絶叫、号泣が村全体にこだまする。電気のない夜は静けさがさらにそれを際立たせる。そして私はびくっとし数秒後、冷静さを取り戻し誰かが死んだのだと理解する。

隣りのバリのおじいさんが死んだ夜は寒さのきつい夜だった。病気だったのだが特に悪化したわけでもなく朝は散歩までできていた。突然の死だった。二畳ほどの竹で編んだ貧相な家の土の床に敷いた茣蓙におじいさんは目を閉じて横たわっていた。多くの人が集まり家の女性たちはさらに声を振り絞って泣き崩れる。近所の男たちは大急ぎで死者の親類を呼び寄せるために片っ端から電話をかける。私自身もバイクで隣村の舅の家に死の知らせを届けに行かされる。真っ暗な農道を走りながら死んだおじいさんの知りもしない人生についてふと考える。生を受けた村で貧しいながらも生活し家族を築き、最後に停電の寒い夜に粗末な小屋で息を引き取ること。生きている間、祖国の名はインド、パキスタン、バングラデシュと変わるも彼の人生にそれが殊更な意味を持ちえたろうか、日々の生活に追われ一生を同じ土地の同じ場所で過ごしたこの人に。この重みが今の私にはなかなかわからない。おじいさんはその夜のうちに墓標もない緑色の芝生のしげる墓地に葬られた。

かつて学生時代に人工衛星から撮影した地球の夜の写真を見たことがある。日本、アメリカ、ヨーロッパなどの“先進国”は煌々と光り輝いていた。特に日本は全土が隙間なく電飾で埋め尽くされ列島の形がはっきり判別できるのだから非常に驚いた。まるで豪華客船である。日本にはもう夜がないのである。当時はバングラデシュという国の存在は意識にそれほどのぼらなかったのでこの国の夜がどのように空から見えるのかを確認することはなかった。きっとひどく暗くて衛星からはダッカあたりの光の粒しかとらえることができなかったろう。

私は今、その国の変圧器の故障して一筋の光もなくなった村にいる。誰も空からここを確認することはできないだろう。いつの日か世界中の夜が電気で煌々と輝いて昼間の世界地図と夜の世界地図が一致する日が来るのだろうかとふと思う。まあバングラデシュは相当先の話だろうが実際、夜を地球が失ってしまうことがよいことだとは断言できない。夜の闇のなかには“死”や人間の醜いとされる側面が存在するが、日本のような夜のない国ではそれらを全て人工的な照明によって明るみに出し中和してしまった。そこには必ず何か自然に反した無理が生じているのではないかと考える。光輝く清潔な病院での人の死は私にはどうも不自然で現実味がない。この感覚は恐らく多くの日本人にも共有されうるだろう。暗い二畳のそまつな小屋での人の死が惨めで耐え難いものだなどとはっきり断言できる人はいないだろう。

さて、暗闇の中にろうそくを一本立てるとせいぜい私のみが光に照らされ私という存在がいやに際立ってしまう。闇のなかでできることといったらふと妄想にふけることぐらいである。世界の忘れられた闇のなかでけれどもやはり“文明人”の私はいつ来るとも知れぬ電気を待ちわびている。

 

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【3】お知らせ

 

14回南アジア地域協力連合(SAARC)首脳会議における麻生外務大臣ステートメント(43日、ニューデリー )

3日、麻生外務大臣はニューデリーで開かれた第14回南アジア地域協力連合(SAARC)首脳会議においてスピーチをしました。本首脳会議への日本のオブザーバー参加はダッカで開催された第13回首脳会議において認められました。

スピーチの全文は以下のウェブサイトに掲載されています。

http://www.mofa.go.jp/mofaj/kaidan/g_aso/saarc_07/index.html

 

2007年版外交青書(速報版)

2007年版外交青書(速報版)が以下のウェブサイトに掲載されています。

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/bluebook/index.html

 

2006年版ODA白書

ODA白書2006年版が以下のウェブサイトに掲載されています。

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/hakusyo.html

 

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【4】編集後記

先週末、バングラデシュの乗り物全てに乗るというツアーに参加してきました。“全て乗り物”というのは言い過ぎかもしれませんが、普段乗らない各種ローカルバス、馬車、鉄道、テンポ、船等を体験出来た事に加え、オールドダッカでは、実際に生活している人の家にお邪魔させてもらい、人々の実際の生活を垣間見ることが出来ました。知り合いが訪ねてきたら、お勧めのツアーかもしれません。

 

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