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日本・バングラデシュ交流メールマガジン(第67号・2006/10/19)
―日本とバングラデシュの橋渡しのために―
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□ 目次 □
【1】最近の日本・バングラデシュ関係
[これまで]
●井上大使によるダッカ子供病院訪問(10月18日、ダッカ)
●モハメド・ユヌス氏及びグラミン銀行のノーベル平和賞受賞(10月13日、ダッカ)
●井上大使マイメイシン訪問(10月11〜12日、マイメイシン)
【2】青年海外協力隊リレー連載
(16年度2次隊 感染症対策 鈴木芙紀子)
【4】編集後記
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【1】
最近の日本・バングラデシュ関係
[これまで]
●井上大使によるダッカ子供病院訪問(10月18日、ダッカ)
18日、井上大使はダッカ子供病院(Dhaka
Shishu Hospital)を訪問しました。
ダッカ子供病院は1972年に設立され、医師約150名、約400床を擁し、一日500〜800人/日(10万人/年)の患者を診る、バングラデシュ最大の小児専門病院です。バングラデシュ政府、ダッカ市、地域コミュニティ、ドナー、国際NGOからの支援によって運営されています。
JICAは1986年から2001年にかけて青年海外協力隊(小児科医、看護師、臨床検査技師35名)を派遣し、また。平成13年度には草の根無償資金協力案件「ダッカ子供病院セラサミアセンター建設計画」にて、ダッカ子供病院敷地内のサラサミア(地中海性貧血病)センター病棟の2階部分の増設及び家具を供与しました。
●モハメド・ユヌス氏及びグラミン銀行のノーベル平和賞受賞(10月13日、ダッカ)
ノルウェーのノーベル省委員会は13日、バングラデシュとその他の国々において貧困の脱却に貢献した功績を評価し、06年のノーベル平和賞をバングラデシュの金融機関「グラミン銀行」とその創設者のムハマド・ユヌス氏に授与すると発表しました。
これを受けて、13日夜、井上大使はユヌス総裁を表敬して直接祝意を伝え、その様子は新聞等で大きく報道されました。
本件に関する外務報道官談話は以下のウェブサイトでご覧になれます。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/danwa/18/dga_1013.html
http://www.bd.emb-japan.go.jp
●井上大使マイメイシン訪問(10月11〜12日、マイメイシン)
12日、井上大使は農業省及び国連食糧農業機関(FAO)が実施するSPFS(Special
Program for Food Security)のサイトを訪問し、食品加工、家禽、家畜、魚の養殖の状況を視察しました。
SPFSプロジェクトは日本政府による資金提供を受け2002年7月に始まり、農業省とFAOによって実施されています。このプロジェクトは草の根レベルで貧困と食料不足を削減する事を狙いとしています。
大使は、限られた財源のなかで、これほどインパクトのあるプロジェクトに感銘を受けた旨述べ、村人達には今後もぜひ活動を続けて欲しいと声をかけました。
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【3】青年海外協力隊リレー連載
(16年度2次隊 感染症対策 鈴木芙紀子)
バングラデシュの村を歩いていると、この国からごっそり子供を日本にまわしたら年少人口のバランスがとれてちょうど良いのではないかという気が時々する。それほど、至る所に子供、子供、子供。よくまあこんなに生んだものだと半ばあきれ半ば感心させられる。
バングラデシュ人は子供をかわいがる。この国に来た当時新鮮に感じたのは、「父親と子供」の組み合わせを日本よりも多く見かける点である。この国ではイスラムでも女性がわりと大手を振って外出しているので、家に閉じこめられる妻の代役を果たしている結果だけとも思えない。よちよち歩きの子の手をひいてのんびり散歩していたり、赤ん坊を抱いて散歩していたりする光景を目にすると、ついこちらの目尻も下がる。中でも、私の活動の基点ともいえる村の予防接種所に、父親が赤ん坊を連れてきたりすると、笑ってしまうくらい子煩悩な様子がうかがえる。忙しい妻に代わってやってくるだけあって、「人がよい田舎者」のオーラが全身から発散されている彼らは、「風邪をひくんじゃないかね」と注射のために赤ん坊のパンツを下ろすのもためらうくらいだ。
とはいえ、接種所に父親が来るのは珍しいことだ。今でこそ、「母親には子供の健康を守る義務がある=母親が子供を連れてきて、ヘルスワーカーから説明を受けるのが望ましい」という考えが一般的になり、接種所には女性達があふれているが、昔は夫以外の男性の側近く寄って(たとえそれが自分のではなく子供の接種にせよ)予防接種を受けるのに相当の抵抗があったと聞いている。その話を時折思い出すと、ここまでくるのにどれだけの道のりを、どれだけ多くの人々が苦労して歩いてきたかが忍ばれる。
「全ての子供に予防接種を」というモットーを掲げ、全くの無料で、結核・ポリオ・3種混合(ジフテリア・百日咳・破傷風)・B型肝炎・はしかをあなたの子供に接種します…と言われれば、子を持つ親としては一も二もなく喜んで受けるのではないか、という気が日本から来るとするのだが、それはあくまで「日本人の常識」。タダであろうがなんであろうが、関心が薄ければのれんに腕押しである。第一、国全体が施しを受け慣れているので、「こんな高い薬をタダで打ってもらえる機会なんてそうないわ」という計算高い喜びも感じられない。
まず、それぞれの病気になった場合子供がどうなるか、という想像がつかない。教わる機会もないし、情報を得る手だてがないのだから当然だ。接種所に子供を連れてくる母親だって、「なんだかわからないけど体にいいらしい」から、ヘルスワーカーに叱られるから連れてくるのであって、注射針を刺された我が子が泣きわめくのを見れば、「打たなきゃ何か悪いことでもあるんですか?」とむしろ接種を回避したい方向に秤が傾く。それを聞くヘルスワーカーは、「こんなに自分は仕事をしているのに、まだこんなことを言われるとは」とまたがっくりくる。
では、病気の脅威を綿々と語れば、「それは大変」という反応になるか?ならないこともある。彼らの運命を決めるのはアッラーであって、心配の先取りをしてどうなるものでもないからだ。いつの時代のどの宗教においても、信仰を基盤にした価値観と折り合いをつけるのは時間がかかる。
地道に少しずつ、おそらくは教育を受ける機会が増えるにつれ、状況は改善されてきている。カレッジやマドラサ(宗教学校)で年頃まで勉強した少女達の中には、15歳になったら自主的に、早々と母子破傷風の5回の接種を済ませようとやってくる。そういう様子を見ていると、「教育あっての保健セクター」だという感を強くする。知識の量がどうこうということではなく、問題に対する心構えや注意深さ、誰かのいう言葉に耳を傾ける姿勢、そういった啓蒙する側にとって望ましい要素が培われるからである。これは、年輩の母親の世代と比較すると分かるが、啓蒙される側にも素地がなければ、水は吸収されずに表面を滑り落ちていくばかりなのだ。マイキングが聞こえる位置に家があっても、注意して聞かない(私の実家は田舎で、昔から有線電話やヘリコプターからのマイクで町民に重大なお知らせをしたものだが、そういう放送が始まると何はともあれみんなは聞こうとしたものである)。家に直接ヘルスワーカーが訪ねてきて「何日にこれこれの注射を打つから来なさい」と言っても「ああ、なんか来て言っていったわね」。これではやりきれない。
幸い、活動地のコミラ県は他の県よりは教育が高いことで知られ、この2年間の被接種者の意識改革にはめざましいものがあった(もっとも、ドナーやWHOが上からかけた圧力も相当なものだったが)。ヘルスワーカーにも母親たちへの説明義務を課し、少なくとも子供が何の予防接種を受けたか意識させるよう努め、副作用が起きたらどうすればいいかなどを説明するように励行している。
この国の予防接種活動には、上層部から末端までまだまだ障害がある。腐敗、資金不足、給料の遅配、滞る物流、現場を無視した計画、怠慢等々。それでも振り返れば、おそらくバングラデシュはこの分野で、途上国の中では飛躍的に成功している例だろう。
バングラデシュの取り残された人々のために、教育・保健分野ともども、緩やかに上向いていくことを願ってやまない。
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【4】編集後記
先日、Dhaka
Japanese Language
Instituteの修了式に行って参りました。初級コースと中級コースの修了式で、各コースの成績優秀者がスピーチを披露してくれました。驚いたのは日本語を勉強してたった半年にもかかわらず、綺麗な発音で素晴らしいスピーチを披露してくれた初級コースの生徒。動詞の活用、受動態、敬語等難しいとされる文法が綺麗に使われていて、事前に準備されたものといえど、感心しました。聞けば、半年間でかなりの課題をこなしたとの事。このような熱心な学生がいつか日本留学を実現し、日本バングラデシュ交流の第一線で活躍するようになることを願ってやみません。
(在バングラデシュ日本大使館広報文化班 小澤裕輔)
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