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日本語の最新号及びバックナンバー

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 日本・バングラデシュ交流メールマガジン(第56号・2006/4/6)  
      ―日本とバングラデシュの橋渡しのために―      

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本メールマガジンは、当地在留邦人の皆様及び希望者に送付しておりま
す。本メールマガジンの配信開始・変更・中止のご希望がありましたら
、編集部までご連絡いただければ幸いです。            
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□ 目次 □

【1】堀口大使メッセージ「『正直で有能な候補者を選ぶ運動』の開始」

【2】最近の日本・バングラデシュ関係
[これから]

●留学生支援無償事業の留学候補者の発表(4月10日・ダッカ)
●ポヘラ・ボイシャク (Pohela Boishakh) 関連イベント(4月16日・東京)

[これまで]
●高齢者医療に対する草の根・人間の安全保障無償(3月29日・ダッカ)
●人材育成に対する草の根・人間の安全保障無償(3月28日・ダッカ)
●貿易投資セミナー(3月27日・チッタゴン)
●日本語教育セミナー(3月25日・ダッカ)
●日本語スピーチコンテスト(3月24日・ダッカ)

【3】青年海外協力隊リレー連載・第14回
「アジアの片隅で響いた三味線の音色」
(平成16年度1次隊・ハンドボール 我如古盛修)

【4】編集後記


【1】堀口大使メッセージ「『正直で有能な候補者を選ぶ運動』の開始」

s 1.去る2月4日、ムハマッド・ユヌス教授はデイリー・スター紙15周年記念式典に おいて大変注目すべき演説を行い、特に以下の点を訴えました。

(1)バングラデシュを世界の投資家にとって最も魅力的な国にすべく、力を合わせ て前進しよう。そのため、汚職の撲滅、電力の全国提供、ICT立国化、チッタゴンの 大港湾建設、ネパール、ブータン、東インド、ミャンマーを結ぶ道路網建設による地 域のハブ化に取り組もう。

(2)当面の最重要課題である、全ての政党が参加する総選挙の実施および汚職の撲 滅のため、2006年をスタートの年としよう。その実現に向け、有権者は一致団結して 腐敗した候補者を排除し、清潔な候補者を送り出そう。これができない限り、バング ラデシュは世界で最も腐敗した国にとどまるだけでなく、我々の夢は決して実現でき ないだろう。

(3)有権者は3名の清潔な候補者を選び、その名簿を自分達が支持する政党に渡 し、そこから1名を選ぶよう求める。政党がそのいずれをも拒否したら、有権者はそ のうち1名を独立候補として出馬させるか、それが無理な時は白票を投じよう。
(4)全ての市民団体、教師、医師、記者などの団体、青年、農民、女性、ビジネ ス、学生の各団体あるいは個人が3名の候補者の名簿を政党に示すことにより、「清 潔な候補者を選ぶ運動」を始めよう。

2.さらに3月20日ダッカ市内のホテルで、上記運動の開始および国家開発中期構想 の準備を目的とした市民グループが設立され、同グループを構成する多数の著名なメ ンバーの名前が明らかにされました。席上ユヌス教授は上記運動について、中央指導 委員会を作り、1ヶ月以内に各選挙区毎に男女各1名を含む正直で有能な候補者4名 を指名することなど12項目の方針を発表しました。

上記集会は、バングラデシュの歴史の上で画期的な意義があります。翌日の地元紙の 一部は、政治家が本来の責任を果たしていない時に、市民団体がこれまでの傍観者の 立場を捨て初めて政治に関与する決意を示したものであると高く評価しました。
3.バングラデシュが経済的・社会的成長を続けて民主主義国家として発展すること を願っている私達としても、同運動の成功に大きな声援を送るものですが、成功には 以下の諸点が重要になると思われます。

(1)同運動の成功のためには全国民的なコミットメントがカギとなります。先ず中 心的役割を担うべき知識人について、本運動の目的を真に理解し改革への信念を持っ た人々の数を増やし、実践のため行動を起こすことが大前提となります。次に、信念 を持った知識人が中心となって、識字率がまだ高くない国民一般層が本運動の意義を 理解し参加するよう、中長期計画を立て根気よく働きかけることが重要になります。

(2)上記目的の実現のために戦略を立て、同志を募り、組織作りをし、全国で運動 を展開すべく、ウパジラ、ユニオン毎に担当を決め、国民一人一人を説得し、国民の 過半数に改革を納得させるには相当の時間が必要です。明年1月の選挙までには9ヶ 月しかないので、6年後さらに11年後の選挙を視野に入れ、各選挙までの目標をそれ
ぞれ立てて一歩一歩着実に進めていくことが不可欠です。

(3)同時に、本運動の広がりとともに働きかけの対象とする政党および政治家自身 が、本運動のバングラデシュ発展の上で果たす役割を理解し協力することが重要と なってきます。政治家にとってこの運動を敵視するのでなく味方につけることが自ら の利益になるよう、本運動を展開していくことが求められます。

4.バングラデシュは発展への大きなポテンシャルを持ちながら、対立的な政治とガ バナンスの問題故に未だ最貧国に止まっていますが、対立的な政治の改善のためには 「A winner takes all.」といわれるようなやり方をいつまでも続けていてよい訳が ありません。

当国の対立的政治構造を変えていくには中長期的な計画が必要です。そのためには、 主要政党が、先ず、中長期的な改善目標に合意し、次に、各選挙の前に選挙後進める べき短期的、中期的な政治改革の具体策について話し合い、どちらの政党が勝っても 必ず実施することを約束するのです。そして、その実施振りを上記の市民グループが 監視していく体制ができれば、2、3回の選挙を行ううちにバングラデシュの民主主 義が格段に発展していくことが期待されます。そして、その発展を通してガバナンス も改善し、経済・社会面での大きな進展も実現していくものと思われます。

バングラデシュにおいて、ユヌス教授ほど国民的尊敬と支持を受けている人は他にい ません。同教授が提唱した本運動が万一成功しないようなことがあれば、おそらく後 何年もこのような政治改革運動は期待できないかもしれません。その意味でも、バン グラデシュの知識人、国民、政治家が本運動を一致団結する好機とし、何としてでも 政治改革を実現していってほしいと願っています。

(バックナンバー)

http://www.bd.emb-japan.go.jp/jp/mailMagazine/index.html
(小冊子「日本とバングラデシュの橋渡しのために」)
http://www.bd.emb-japan.go.jp/jp/pdf/merumagabook.pdf


【2】最近の日本・バングラデシュ関係

[これから]

●留学生支援無償事業の留学候補者の発表(4月10日・ダッカ)

4月10日、財団法人日本国際協力センターによる留学生支援無償事業(Japanese Grant Aid for Human Resource Development Scholarship:JDS)の留学候補者発表 式と帰国留学生の報告会が財務計画省経済関係局で行われます。

留学生支援無償事業は、日本の無償資金協力対象国において、社会や経済の開発計画 や立案の実施に関わり、21世紀の指導者となることが期待されている優秀な若手の行 政官や実務家、研究者などの人材を育成することを目的としたプログラムです。さら に、それぞれの留学生が、日本のよき理解者として両国の友好関係の基盤を拡大・強 化していくことも期待されています。

日本国際協力センター(JICE)のホームページは以下の通りです。
http://sv2.jice.org/index.php

●ポヘラ・ボイシャク (Pohela Boishakh) 関連イベント(4月16日・東京)

4月16日(日)11:00から18:00まで、東京都豊島区池袋西口公園(東京芸術劇場前) にてベンガル暦のお正月(ポヘラ・ボイシャク)を祝うイベント(ボイシャキ・メ ラ)が開催されます。

例年と同様に無料医療相談が行われる他、今年は国連教育科学文化機関(UNESCO)が 定めた国際母語の日の象徴モニュメント、ショヒド・ミナールの完成式典が、豊島区 役所の主催で行われます。昨年7月にジア首相が日本を訪問された際に礎石式が行わ れました。

詳しいプログラムは以下の通りです。

11:00-14:00 無料医療相談
11:00-18:00 カレーフェスティバル
11:00-14:00 子供たちのお絵描きと歌
11:00-14:00 詩の朗読と歌声の輪
15:00-18:00 ニューイヤーコンサート

(案内)
http://www015.upp.so-net.ne.jp/orita/uploader/bangla_fes.jpg

[これまで]

●高齢者医療に対する草の根・人間の安全保障無償(3月29日・ダッカ)

3月29日、当地NGO老人協会・老人医療研究所(BAAIGM)に対する90,141米ドル(約 1千万円)の草の根・人間の安全保障無償資金協力の署名式が、堀口大使とBAAIGM ラーマン博士との間で当館にて行われました。

この支援によりBAAIGMは病院の近代化を行い、最新機器を導入して高齢者の患者に対 し低価格の診療を提供します。

本件に関する当館発プレスリリースは以下のウェブサイトに掲載されています。 http://www.bd.emb-japan.go.jp/pr_baaigm290306.pdf

●人材育成に対する草の根・人間の安全保障無償(3月28日・ダッカ)

3月28日、当地NGO人材開発機構(HDO)に対する88,569米ドル(約1千万円)の草の 根・人間の安全保障無償資金協力の署名式が、堀口大使とHDOとの間で当館にて行わ れました。

この支援によりHDOは人材開発機構研修所をボリシャルに設立し、HDOを始めとする地 域のNGOによる農業、家禽、家畜、人権、衛生、貯蓄等の効果的な研修が行われま す。

本件に関する当館発プレスリリースは以下のウェブサイトに掲載されています。
http://www.bd.emb-japan.go.jp/en/news/pr/pdf/pr_hdo280306.pdf

●貿易投資セミナー(3月27日・チッタゴン)

3月27日、チッタゴン商工会議所(CCCI)と日バ商工会議所(JBCCI)の共催で、 「貿易投資促進:日本バングラデシュ・イニシアティブ」と題するセミナーが行わ れ、当館から堀口大使が出席しました。セミナーでは、CCCIとJBCCIの役員による発 表や参加者とのオープン・ディスカッション等が行われました。

(CCCI事務所)
Mr. Osman Gani Chowdhury, Secretary and Chief Executive
Tel: 711-355, 713-366

(JBCCI事務所)
Tel/Fax: 886-0105
E-mail: jbcci@citech-bd.com
http://www.jetro.go.jp/bangladesh/eng/jbcci/index.html

●日本語教育セミナー(3月25日・ダッカ)

3月25日、ダッカ大学現代言語研究所にて、インドのMOSAI日本語学院講師で国際交 流基金ニューデリー事務所日本語教育アドバイザーの平賀達哉氏を講師に招き、日本 語教師を対象とした日本語教育セミナーが開催されました。

セミナーには数十人の日本語教師や日本語教育に関心のある学生が参加し、初級レベ ルの日本語教授法について、実際の授業形式等を織り交ぜながら3時間にわたり講義 していただきました。

●日本語スピーチコンテスト(3月24日・ダッカ)

3月24日、ダッカ日本語教室同窓会(DAJLIAA)主催、ダッカ大学日本語学科及び当館 の共催、国際交流基金(ジャパンファウンデーション)、ダッカ日本人会の後援で、 第30回日本語スピーチコンテストがポルジョトン・アバカシュ・ホテルにて開催され ました。

当日は日本人、バングラデシュ人合わせて約150名の方が来場しました。コンテスト では、ダッカ大学日本語学科やダッカ日本語教室等で日本語を勉強している16名の出 場者の中から、「日本で見たこと感じたこと」について話されたイスラムさんが優勝 したほか、計5名の出場者が入賞しました。また、インドのMOSAI日本語学院で講師 を務めている平賀達哉氏のほか、堀口大使、上野日本人会会長、野村日本人学校校長 が審査員を務めました。

審査員が別室で審査している間、当地在留の河原崎さんによる琴の演奏も行われ、会 場を訪れた皆さんに日本の楽器の音色を楽しんでいただきました。

本件に関する当館発プレスリリースは以下のウェブサイトに掲載されています。
http://www.bd.emb-japan.go.jp/en/news/pr/pdf/pr_jpnspeech280306.pdf


【3】青年海外協力隊リレー連載・第14回
「アジアの片隅で響いた三味線の音色」
(平成16年度1次隊・ハンドボール 我如古盛修)

私はハンドボール隊員という職種柄、地方での指導のためバングラ中を回っている。 ある隊員は「バングラデシュはどこに行ってもバングラデシュ」と、バングラの汚さ と喧騒を揶揄した格言を残したが、私はそうは思わない。街からちょっと離れた所 の、ここは本当にバングラデシュかと思わせる風景や、その地域ごとにそれぞれの特 色があるのを彼らは見過ごしているのだ。

村の優しい人々や素朴な風景、地域名産のお菓子や織物、都市部の喧騒を忘れさせる 遺跡の数々など、その時々に出会ったもの、体験したことは数え切れないが、ここで はそんな旅の中のエピソードを一つ書こうと思う。

夏の真っ盛りだが雨季の姿はまだ見えず、外で汗を流すには気持ちのいい空が広がる バングラデシュ2005年の5月。前任の残したボールを地方に届けることと普及を兼ね て、強行日程でハンドボール巡回指導の旅をした時のことだ。

旅のメンバーは、日本から来た三味線達者の友人、スポーツ系の同期の隊員、同職種 の諸岡隊員を含めた計6名。体力自慢のメンバーで、さあ行くぞと意気込んだのはい いものの、最終目的地である5県目のポンチョゴール県テトリアに着いた時には既 に、度重なるハードな練習とローカルバスに揺られての移動に皆満身創痍の状態で あった。

しかし、諸岡隊員と私が以前にも出張指導していたここテトリアに再び降り立った時 には、教え子である女子校の生徒達や、先生方が手厚い歓迎をしてくれたのだ。
お昼時に到着したと思ったら既に豪勢な食事が用意されていて、まずは腹ごしらえと 言わんばかりにトルカリ(バングラカレー)とミスティ(甘菓子)の攻撃にあう。お 腹がいっぱいになっても無理やり食べさせるので「攻撃」と書いたが、ここテトリア の私と諸岡の家族である校長の家のご飯は本当に美味い。バングラデシュカレーにあ りがちの、油と香辛料いっぱいの不健康カレーではない。

山盛りだったご飯が、牛・鶏・野菜のトルカリたちと一緒にあっという間に消えてい く。諸岡隊員なんてマッシュポテトに似たトルカリを500gは食べたように思う・・ ・。食後のチャを飲んで一息ついたと思ったら、もう練習の時間だ。

すぐ裏の学校グラウンドに元気な生徒達の声が聞こえる。重いお腹をさすりながら、 久しぶりの再会を喜び合い、挨拶の変わりに「調子はどうだ?」と尋ねた。すると、 ほとんどの生徒が5キロも10キロ離れた自宅から歩いて来ているがために、昼ご飯を 食べておらず、応えは口を揃えて「お腹すいたー。」である。「沢山ご馳走があった のだから私達のために少し持ってきてくれれば良かったのに!」とまで言う始末。

しかし、笛を鳴らして練習が始まればそんな彼女達が誰よりも元気に、一緒に来た隊 員たちと楽しそうに走り回っている。彼女達のアグレッシブさと、ハンドボールに対 する情熱はバングラデシュで一番だ。何故なら貧しい彼女達にとって、ハンドボール のプロ選手となってお金を稼ぐことで、家族を養っていこうという切実な目標がある からだ。

まるでさっきまでの空腹を忘れたかのようにボールを投げる事に熱中している。彼女 達の進歩や技術の習得は、指導者である私達を驚かせるほどに早い。日本でも二ヶ月 かけて習得するシュートを一週間で覚えて完璧に出来るようになった生徒もいる。聞 けば、自宅に帰ってからも一人で壁に向かって練習しているそうだ。

その壁の向こうに、一体何を夢見て投げ続けているのか?美味しいご飯なのか、それ とも新しい服なのか、家族の幸せか、どちらにしても遊びでやっている都会の連中と はモチベーションが違う。

ある選手が自分の家に皆を連れてきてくれと嘆願してきた。少し遠いが、日本から来 た友達もいるし、村の貧しい生活を見せるのもいい経験かなと思い、練習後皆でその まま彼女について行く。

竹と土で作られた簡素な家に入って最初に迎えてくれたのはお母さんヤギと生まれた ばかりの子ヤギが三匹、そして鶏とヒヨコもちらほら。沖縄から来た友人は本気でこ の「家」をただ椅子が置いてある納屋だと思っていた・・・。

何も出さなくいいと念を押しているのに、お客さんに何かを食べさせるのはここの習 慣だ。なけなしのお金を使ってビスケットとコーラを買って来て皆に配っている。硬 いベッドに座ってそれを恐縮に思いながら平らげると、最後に何故かゆで卵が出てく る。「何で最後にゆで卵?」と疑問に思っている皆に私が代わりに答えた。

「それが彼女達の一番のご馳走だから。」

一度バングラデシュを訪れたことのある人なら、農業国であるここは食物が豊富で、 食べるには困らないようなイメージを持つ人も少なくないと思うが、それは辺境の村 には当てはまらない。

すぐそこで取れる野菜も池魚も殆んどが都市部に持っていかれて大事な収入源として 売られる。自分達が食べるのは、その野菜の葉っぱの部分や傷ついた売れ残り魚がほ とんどだ。思えば、今日吐きそうになるまで食べた牛肉と鶏肉も、週に一回だけ市場 に出てくる貴重な物だった事を初めて知る。その彼女達の涙ぐましい歓迎と、練習で のひたむきな姿を思いだしたのか、日本から来た友人は泣いていた。

ここまでしてくれた彼女に、お金を払って感謝を表すのは筋違いな気がする。お礼と して出来るのは、彼の三味線とあわせて日本の歌を聞かせるくらいだ。選んだ曲は 「花」。

彼の奏でる三味線は、今までで一番いい音色だった。その素朴で明るいリズムは村の 風景に良く合う。気づくとその音に誘われ近所の人たちが皆集まってきていた。その 音に静かに耳を傾け、酔いしれた時、私達は文化も宗教も言葉の壁さえも越えて、心 から通じ合ったように思えた・・・。

そろそろおいとましようとした丁度その時、村中の電気が消える。一日に5時間程度 しか電気が来ていないテトリアではいつものことだ。川を越えたインドではバングラ デシュからの密入国を防ぐ為に立てられた巨大なスタンドライトが強烈に輝いて見 張っている。

それでも帰り道はロウソクの光さえもない静寂の暗闇だった。しかし気づけばそこら 中に蛍の光が飛んでいる。感動する暇も与えず、今度は空に数千数万の星達が見下ろ しているのに気づく。流れ星がわれ先にと流れて行く。どれが星でどれが蛍だかわか らないその幻想的な世界では、もはや表現できる言葉もなく、誰もがただ口を開けて 立ち止まっていた・・・。

二日の滞在をして、この旅も終わりを迎える。バスに乗り込もうとしたその時、生徒 達が授業を抜け出して駆けつけて来た。後ろから先生達もついて来ている。ここは日 本から遠く離れたバングラの最北西端の寒村。もう二度と会えないかもしれないと思 うと、涙がまたこみ上げてくる。

最後に彼女達がお金を出しあってプレゼントしてくれたTシャツは、ネックの所が小 さすぎて入らなかった・・・。しかし彼女達の笑顔とハンドボールへの情熱は、私達 のこれからの活動への意欲を湧かせるのに充分なほど輝いていた。

これはこれまでに行った旅の中のほんのワンシーンである。ここでは書きつくせない くらいのエピソードや紹介したい素敵な場所はたくさんあるが、それは自分の胸に閉 まっておこうと思う。しかし何にせよ、「在バ日本人よ、旅に出よう」と声を大にし て言いたい。汚職度指数世界一や、天災で名高いこの国は、協力隊員不人気ナンバー ワンに君臨し続け、観光する所なんてどこも無いなんて思われているが、そんなバン グラデシュにも、きっと気に入る場所が見つかるであろう。

旅に出よう。慣れきって退屈な日常にきっと変化が現れるから・・・。ちなみにテト リアの生徒達はこの半年後にバングラナンバーワンのチームとなり、その大会のMVP に選ばれたのは、他でもない「ゆで卵」を食べさせてくれた彼女であった・・・。
アジアの片隅で響いた若者の三味線は、私たちと彼女達の心の中に素敵な音色を残し
ていってくれた・・・。

(青年海外協力隊)
http://www.jica.go.jp/bangladesh/activities/05.html
http://www.jica.go.jp/activities/jocv/


【4】編集後記

4月に入りました。最近急に雨が降ることが多くなってきました。雨季が近づいてい るようです。2004年6月に当地に着任した際には、雨季の真っ只中で、洗濯したシャ ツがかび臭くて毎日頭が痛かったのですが、昨年は全く気にならなくなっていまし た。人間慣れるものだな、と感じたのですが、昨年はおととしに比べて雨が少なかっ たこともあり、湿気が少なかったのかもしれません。今年は昨年より雨の降り始めが 早い気もしますので、またかび臭さに悩まされることになるのでしょうか。

(在バングラデシュ日本大使館総務・広報文化班 飴谷貴信)


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