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日本・バングラデシュ交流メールマガジン(第50号・2006/1/15)
―日本とバングラデシュの橋渡しのために―
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□ 目次 □
【1】堀口大使の2006年年頭にあたってのご挨拶
【2】
おしらせ
●持続的砒素対策プロジェクト開始式典(1月26日・ジョソール)
●邦人安全情報(1月27日〜29日:イスラム教徒大規模集会)
●ODAメルマガ・バングラデシュ特集(1月11日)
●平成18年当館休館日
【3】特別寄稿「バングラデシュと日本の橋渡しをする『かささぎの家』」
(民宿ドエルハウス経営・鍼灸師:ブイヤン康子さん)
【4】青年海外協力隊リレー連載・第11回「女に生まれるということ」
(平成15年度1次隊・保健師:戸田千賀子さん)
【5】日本企業支援情報
【6】編集後記
【1】堀口大使の2006年年頭にあたってのご挨拶
明けましておめでとうございます。私にとりまして、ダッカでの新年は今年で
3回目になりますが、本年もどうぞ宜しくお願い致します。
今年は、年末年始の休みとイードの休みが続いたため、長い休みになりました
が、皆さんは如何お過ごしになったでしょうか。私はダッカでゆっくり過ごし
ましたが、偶々、アジア砒素(ひそ)ネットワークの川原一之さんが昨年11月に
出版された「アジアに共に歩む人がいる」という本を読む機会がありました。
アジア砒素ネットワークがジョソールで行っている砒素プロジェクトについて
は、私も2度現場を見せて頂き、お話も伺って一応のことは承知しているつも
りでしたが、今回この本を読んで多くのことを知ることができました。
大新聞社の記者であった川原さんが、宮崎県土呂久鉱山の砒素公害に関わりを
持ったことがきっかけで、新聞記者をやめて砒素問題に取り組まれ、その後、
バングラデシュの砒素に苦しむ人々のため、有志を募って活動を始め、多くの
分野の大学教授や宮崎大学の学生を巻き込みながら、文字通り試行錯誤を通じ
て、一つ一つ問題を解明し、住民の支援に大きな実績を上げてこられました。
さらに、この経験を生かして、インド、中国、ベトナム、カンボジア、タイ、
ミャンマー、ネパールなどのアジアの広い地域にも、砒素汚染問題取り組みの
ためネットワークの網を広げていることなどを知り、感激しました。
また、私は2年8ヶ月前にダッカにきて間もなく、シャプラニールの誕生以来
の活動記録である「シャプラニールの熱い風」という本を読んで、若者達が独
立直後のバングラデシュに来て、まさに開拓者として手探りで今日の立派な活
動を築き上げた姿に、やはり感銘を受けたことがあります。
シャプラニールヤアジア砒素ネットワークに限らず、他の多くのNGO、JICAの
専門家や青年海外協力隊の皆さんや、さらに発電所や肥料工場や大きな橋梁な
どの建設などのプロジェクトなどを成し遂げた民間の方々達も、いろいろ参考
になるご経験をお持ちかと思います。このような経験は是非ともできるだけ多
くの方に共有して頂きたく、もっと多くの方々にそれぞれの貴重な経験を書き
記して欲しいものです。
さらにいえば、川原さんの「アジアに共に歩む人がいる」や「シャプラニール
の熱い風」も、要旨なりとも英語に訳して貰えれば、日本人だけでなくバング
ラデシュ人を始め多くの外国人にも貴重な経験を伝えることができるし、関係
者の大変な努力も分かって貰えるのではないかと思います。その結果、日本・
バングラデシュ友好関係や国際社会における日本の国際貢献に対する理解がさ
らに促進されるものと確信します。英訳は結構大変ですが、必ず努力に見合う
効果が期待できるはずです。
我々大使館としても、ODAについての点検、改善そして広報にこれからもさら
に努力していく所存ですが、NGOや民間企業の方々においても、とくに広報に
ついて、さらなる努力をして頂ければ幸いです。
バングラデシュでは、本年10月に現政権が退陣して選挙管理内閣にバトン・
タッチし、1年後には総選挙が行われる予定ですが、これまでの経験からする
と選挙に向けて政局も荒れ模様になってくる可能性もあります。大使館として
は引き続き安全情報を出していきますが、皆様もどうぞこれらの情報などにも
配慮しながら、それぞれの職場で職務に励んで頂ければと思います。
日本・バングラデシュ関係では、昨年は、常田農水副大臣、谷川外務副大臣、
逢沢外務副大臣のバングラデシュ来訪があり、7月にはカレダ・ジア首相がバ
ングラデシュ首相としては8年ぶりに日本を公式訪問されるなど、近年にない
要人の往来がありました。とくにジア首相訪日時にはいくつかの重要な合意が
なされましたが、本年はこれらの合意をも踏まえ、政府関係者と民間の方々と
が手を携えて、日本とバングラデシュの関係をさらに発展する年にしたいと
願っています。
最後に、本年もまた皆様にとって、健康に恵まれ、幸多き年になりますよう祈
念して私の年頭挨拶と致します。
(バックナンバー)
http://www.bd.emb-japan.go.jp/jp/mailMagazine/index.html
(小冊子「日本とバングラデシュの橋渡しのために」)
http://www.bd.emb-japan.go.jp/jp/pdf/merumagabook.pdf
【2】おしらせ
●持続的砒素対策プロジェクト開始式典(1月26日・ジョソール)
昨年12月中旬より、持続的砒素対策プロジェクト(技プロ・ジョソール)が
ジョソール県の2郡を対象に開始されました。その開始式典が、1月26日
(木)、ジョソール県知事の主催でジョソールにて開催される予定です。バン
グラデシュ政府から地方行政局次官他、当館から紀谷参事官が出席します。
2008年12月まで実施される同プロジェクトでは、JICAと契約したアジア砒素
ネットワークが、砒素に汚染されていない代替水源の供給、住民への啓発、砒
素中毒患者のマネジメント等の総合的な砒素対策を、地方行政機関及び中央政
府機関(地方自治局、公衆衛生局、保健局)と共に実施する予定です。
●邦人安全情報(1月27日〜29日:イスラム教徒大規模集会)
当地報道によれば、1月27日(金)から29日(日)までの3日間、ダッカ近郊
のトンギにて、世界第二の規模となるイスラム教徒の集会(ビッショ・イステ
マ)が開催されます。この期間中、集会場を訪れるイスラム教徒は100万人以
上とも予想されています。集会場周辺では大規模な警備体制が敷かれ、空港、
駅及び市内からトンギに向かう道路では大混雑が予想されます。
最近の治安情勢にも鑑み、特に邦人の皆様においては、目的もなく興味本位で
集会場周辺に近づいたりすることのないよう十分ご注意願います。また、本期
間中における出張者等の受け入れについては、例年空港周辺が大混雑している
ことから、慎重に計画して下さい。
●ODAメルマガ・バングラデシュ特集(1月11日)
外務省では「ODAメールマガジン」を発行し、日本の経済協力についての情報
を定期的に配信しています。
1月11日に配信された最新号は、バングラデシュが特集されました。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/mail/bn_82.html
バングラデシュ関連記事は次の3つです。写真入りで掲載されています。
よろしければご覧ください。
○顔が見える援助から声が聞こえる援助へ
(原稿執筆:在バングラデシュ日本大使館・紀谷昌彦)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/mail/bn_82.html#02
○人々の意識と行動を変える、ダッカの挑戦
−バングラデシュ国ダッカ市廃棄物管理計画調査−
(原稿執筆:JICAバングラデシュ事務所・武士俣明子)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/mail/bn_82.html#03
○住民主体の持続的な砒素対策をめざして
(原稿執筆:持続的砒素対策プロジェクト・川原一之
/アジア砒素ネットワーク)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/mail/bn_82.html#04
これまで、今回のようなバングラデシュ特集という形ではありませんが、ODA
メルマガにはバングラデシュの記事が次の通り掲載されています。
○生活向上の「機会」を提供する援助
(原稿執筆:シャプラニール・ダッカ事務所長・白幡利雄)(2005年7月)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/mail/bn_70.html
○「黄金の大地」ベンガルのために!!!
(原稿執筆:在バングラデシュ青年海外協力隊シニア隊員
(プログラム・オフィサー)・菊池勇)(2004年3月)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/mail/bn20040326.html
○生徒から学んだこと
(原稿執筆:青年海外協力隊員12年度3次隊バングラデシュ染色・石坂貴美)
(2002年12月)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/mail/bn20021227.html
●平成18年当館休館日
当館の平成18年の休館日は次のとおりです。なお、規定により、当地の祝日及
び日本の祝日の中から平成18年の日本の祝日数である13日を選択しています。
週休日 金曜日、土曜日
勤務時間 09:00〜17:30(昼休み12:30〜13:30)
領事受付時間 09:00〜12:30、13:30〜17:00
1月1日(日) 元旦
1月2日(月) 年始休暇
1月3日(火) 年始休暇
*1月10日(火) Eid-ul-Azha
*1月11日(水) Eid-ul-Azha
*1月12日(木) Eid-ul-Azha
3月26日(日) Independent Day
*5月11日(木) Buddha Purnima
*8月16日(水) Janmastami
*10月24日(火) Eid-ul-Fitr
*10月25日(水) Eid-ul-Fitr
*10月26日(木) Eid-ul-Fitr
(12月29日(金) 年末休暇)
(12月30日(土) 年末休暇)
12月31日(日) 年末休暇
合計13日
注:( )内は「週休日と重複する日」、*印は「月の状況により変更されう
る日」をそれぞれ表しています。
上記休館日は、次のウェブサイトにも掲載しています。
http://www.bd.emb-japan.go.jp/en/embassy/holidays.html
【3】特別寄稿「バングラデシュと日本の橋渡しをする『かささぎの家』」
(民宿ドエルハウス経営・鍼灸師:ブイヤン康子さん)
私の夫はベンガル人です。結婚して日本で10年生活した後、当時7歳と4歳の
子供をつれて、4年前バングラデシュへ移住してきました。空港から北に車で
10分のところに、日本人専用の全5部屋の小さな民宿(ドエルハウス)をやっ
ています。バングラデシュで日本人が自ら経営する民宿は、今のところ我が家
だけではないかと思います。
毎年、いろんな方がいろんな目的でドエルハウスをご利用になります。私たち
がこちらに住んでいるからと会いにきてくれる友達。NGO関係者。学校の先
生。研究者。スタディツアーグループ。出発がハルタル(ゼネスト)にあたっ
た人。などなど。
目的なしに、なんとなくぶらっと立ち寄ったというお客様は、思い返してみる
と、ほとんどいらっしゃいません。「お友達のお友達」の関係ぐらいでそこに
居合わせた人たちの関係がつながってしまいます。不思議な国だと思います。
1回だけの旅で終わらない人が多いということでしょうか。
それぞれの専門の知識や経験をバングラデシュの現状をよくするために使いた
いという熱い人たちの話を聞いていると、ここで生活している私の子供が、こ
の地で将来に夢をもち、ここで幸せに生きていくことができる将来が期待でき
るのではないかと、私自身がお客様に元気づけられます。
ドエルは、バングラデシュの国鳥です(日本名は、かささぎです)。どこの家
の庭先にもよく現れる親しみやすい鳥で、中国では家と家、人と人の橋渡しを
する鳥として重宝がられています。そして、七夕の夜、牽牛星・織女星が逢う
とき、かささぎが翼を連ねて天の川に橋をかけ、織女星を渡したという話があ
ります。
ドエルハウスが「かささぎ」のいわれのように、バングラデシュと日本の架け
橋の一端を微力ながら担うことができて、この国のすべての子供たちが、この
国で自分の将来に夢をもてるような国になって欲しいという夢を持っていま
す。
私個人は、直接的にできる力も知識も技術もありませんが、私の夢が実現され
るきっかけを与えてくれるかもしれない日本人旅行者の皆様が、ここで安心し
て目的を遂行できるよう、そのお手伝いはできるかもしれません。
ドエルハウスが、バングラデシュ初心者のソフトランディングの場所だった
り、情報交換のための人と人との交差点だったり、時には、怪我や病気をした
人たちのケアハウスになったり、ここでの辛い経験を語ったり、ぐちったりす
るたまり場、居酒屋(?)になったり・・・私もダッカ生活を楽しみながら、
安全な寝床とおいしい食事、目的を遂行できるような情報提供とお手伝いがで
きるよう、頑張っていこうと思います。
(ドエルハウス:House #10, Road #8, Sector #3, Uttara Model Town,
Dhaka, Tel: +880-2-8921156, E-mail: yasumin0516@hotmail.com)
【4】青年海外協力隊リレー連載・第11回「女に生まれるということ」
(平成15年度1次隊・保健師:戸田千賀子さん)
バングラデシュの農村部には今も男尊女卑の風習が根強く残っている。農村部
の女たちの生活は、日本人の女である私とはもちろん、同じバングラデシュの
都市部に生まれた女たちのそれとも大きく違う。農村部の女たちは、この国の
農村部で生まれた女である、という理由だけで、生まれたその時から生涯目に
見えない宿命を背負って生きている。
女は男よりも地位が低い。それは社会的にはもちろん、家族の中にいても変わ
ることはない。女は生まれてから結婚するまでの間は父親の管理下に置かれ、
結婚してからは夫の管理下に置かれる。生涯「男に従属する立場」から独立す
ることはない。一家の主はもちろん父親もしくは夫(現金や収穫などの収入を
得る、得ないに関わらず)であり、結婚して自分に息子が生まれればその息子
よりも自分の方が家族の中での地位は低くなる。また家族内の女たちの地位は
年功序列だが、その家の実の娘よりも外から来た嫁のほうが立場は弱い。
家事全般は女が引き受けるのが習わしである。女たちは、たとえ子どもといえ
ども早朝から起きだして、水汲み、料理、洗濯、後片付け、掃除、小さな子供
の世話などの家事に追われ、合間を縫って農業や手作業(竹編みや裁縫)もこ
なす。料理、洗濯、後片付けといっても、一つ一つが手作業のこの国で家事は
重労働である。
食事は常に男たちが先に食べ、男たちと女たちが一緒に食事をすることはな
い。男たちの次には姑が食べ、最後にその残りで嫁と女の子供たちが食事をす
る。準備した食事が男たちと姑で食べ終わってしまえば、嫁も女の子供たちも
その日のその回は食べられない。女が一日にどれだけ重労働をしても、たとえ
女が妊娠中であったとしても、女の子供が病気であったとしても、この風習は
変わらない。一家の収支は男が握り、米や野菜などの買い物も男が行う習慣の
ため、女たちは与えられた物・量を料理するのみであり、自分や子供のために
多めに料理を作ることは難しい。
貧しい一家にとって、女の子供がいることは家の支出を増やすことを意味す
る。女の子供は家事労働をするが家事労働は一家の収入には繋がらない。ある
程度の年齢になれば結婚相手を探して嫁に出さねばならず、その時には夫とな
る相手の家にダウリ(結婚持参金)を払わねばならない。貧しければ貧しいほ
ど、女の子供は敬遠される。
農村部の子供で深刻な栄養不良が発見されれば、それはたいてい食事を後回し
にされる女の子供である。就学年齢になっても、いずれ結婚し子供を生み一生
家事労働して家にいるだけと考えられる女の子供には、学習の機会が与えられ
ないことも少なくない。貧しい家には女の子供に学習させるためのノートや鉛
筆を買い与える余裕もない。女の子供は、勉強したくても学校に行けず、許可
なく家の外に出ることも許されず、小さな頃から家の中で家事をして過ごし、
初潮が来るか来ないかの幼い年齢で、親が決めた顔も知らない相手のところに
嫁いでいく。
幼い年齢で結婚し妊娠する彼女たちにとって出産は命がけである。そうして子
供を産んでも、夫や舅姑の最大の関心は生まれてくる子供の性別である。女児
を産むことは歓迎されない。女児を産んだ嫁は、小さな体が初産の消耗から回
復するための充分な間隔もおかず、男児が産まれるまで次々に妊娠し続ける。
男児が産めないということは嫁ぎ先の家を追い出される充分な理由である。追
い出されたら帰る場所も生きていく術もない。幼い頃に父親を亡くした女、結
婚後に夫を亡くした女たちのその後の悲惨な生活を間近に見て生きてきた女た
ちには、女は結婚して男に養ってもらわなければ生きていけないという強迫観
念がある。もう体がつらい、妊娠したくない、という本心をよそに女たちは妊
娠し続ける。たとえそれが望まない妊娠であっても、イスラム教の国で堕胎は
許されない。
娘たちを目の前に、女の子供ばかりいることの苦労や不満を私に漏らす父親が
いる。そんな時、娘たちは一様に無表情である。幼いなりに、自分は女だとい
う理由で父親に愛されていないのではないか、と感じはしないだろうか。父親
に愛されない悲しさを、小さな心で一生懸命我慢しているのではないだろう
か。
病気になった小さな娘を抱えてクリニックにやってくる若い母親がいる。重篤
な症状になって初めて、母親も女児もクリニックにやってくることを許可され
るが、その時にはもう小さな村のクリニックでは手の施しようがない。「町の
大きな病院に連れて行かないと」と言う私の言葉に、衰弱しきった娘を抱いた
まま彼女は黙って目に涙を溜める。ここに来るのが精一杯だった彼女にとっ
て、町の病院に行けというアドバイスは「もうこの子は諦めろ」という宣告で
ある。
4人姉妹の長女は、3人の妹たちの就学、結婚のために体を売って働いてい
る。女児の出産が続き、男児を産むまで間隔をおかずに妊娠し続けた母親は、
体力を消耗し5人目の出産時に死亡した。母親と一緒に5人目の子供(男児で
あった)も死亡し、その後すぐ父親はいなくなり、娘たち4人では親戚からの
充分な援助も得られず、長女が売春をすることで何とか今日までやってきた。
あの弟が生きて生まれるか、父親が出て行かなければ良かったけど、と淡々と
語り俯く彼女は無表情で、すでに涙もこぼさない。
農村部で私が出会ってきた彼女たちは、時に私と手をつないで嬉しそうにはに
かみ、時に冗談を言いあって笑い、時に悩みを打ち明けて泣き、時に不満を漏
らして怒る、素直で素朴で純粋で可愛らしい普通の女たちである。しかし実際
には、その姿からは察し得ない想像を絶するような苦しい事情を抱えている女
性が殆どであった。
彼女たちは、幼い頃から自分達の定められた未来を受け入れ、自分の生涯に自
分の意思は関係ないということを学んでいる。そうして培ってきた強さで、つ
らい現実すら日常の風景のひとつに溶け込ませているかのようである。日々の
些細な出来事に楽しみを見出し、つらい現実を女同士で慰めあい、皆が同じよ
うに苦境を生きている様を見て自分も逆境に立ち向かい、意思とは程遠い現実
をひたすら逞しく歩いている。
啓蒙・予防活動は、未来に働きかけることは出来ても現在すでに起こってし
まっている問題に対応することはできない。彼女たちと過ごした2年半、私は
彼女たちにしてあげられる事は何もなく、同情、尊敬、諦めの混ざった切ない
気持ちになりながら、ただ傍で話を聞いて慰めるだけの日々だった。どうする
ことが一番良かったのかは未だに分からない。同じ女として、彼女たちの一生
に少しでも多くの幸せな瞬間があるよう祈りたい。
(青年海外協力隊)
http://www.jica.go.jp/activities/jocv/
【5】日本企業支援情報
1.最近の主要なニュース
2006年に入ってからのバングラデシュの貿易・投資関連報道のうち、主要なも
のを纏めましたので、参考にして頂ければ幸いです。
●2005年の海外直接投資(FDI)は38億ドル
2005年、対バングラデシュ海外直接投資(FDI)は過去最高レベルとなる38億
ドル(前半期6億5,900万ドル、後半期31億8,000万ドル、プロポーザル・ベー
ス、実行は7割))となる見通し2005年のFDIの特徴は、マイクロソフト社、
タタ・グループ、アブ・ダビ・グループ、シンガポール・テレコム等の国際的
な大手企業からの投資が行われたこと。また、主な分野は、エネルギー、通
信、繊維となっている。(1月3日付報道)
●世銀が今後3年間で28億9,000万ドルの支援を表明
2日、パテル世銀副総裁はラーマン財務計画大臣と会談を行い、世銀は、今年
度5億ドル、次期年度6億6,000万ドル、2008年度8億3,000万ドル、2009年度
9億ドルを支援する予定と表明。これまでの支援と同様に、反汚職委員会
(ACC)及び調達システム強化等のガバナンス分野の構造改革に対し支援する
考え。(1月3日付報道)
●バングラデシュ銀行が年次報告書を発表
8日、バングラデシュ銀行が2004-2005年度の年次報告書を発表し、この中
で、中期マクロ経済の見通しは順調であるとしながらも、今後のリスク要因と
して、次期総選挙に向け政治的な対峙、原油価格の高騰、多国間繊維取極め
(MFA)後の影響の広がり、構造改革の実施の遅延の4つを指摘している。(1
月9日付報道)
●JETROが履物産業を支援
JETROは、輸出振興局(EPB)に対し、当地履物業の製品の質向上を狙いとした
短期の技術協力を行うため当地の大手履物製造業者に関する情報の提供を求め
た。また、JETROは、同産業の対日輸出の促進活動の一環として、今後バング
ラデシュ履物フェアを東京で主催する予定を明らかにした。(1月9日付報
道)
●ミャンマー政府はペトロチャイナと天然ガスの対中輸出に関する覚書を締結
昨年12月7日、ミャンマー政府はA-1ブロックにある65兆立方フィートの国内
天然ガスを陸上パイプラインを通じて中国昆明地方に輸送する旨の覚書をペト
ロチャイナと結んだ。ミャンマー政府は、これまで通りバングラデシュを経由
しインドに天然ガスを輸出することに関心を示しており、今次の覚書締結は
ミャンマー・バングラデシュ・インド間のガスパイプラインに関し、インド及
びバングラデシュの二カ国間問題の交渉の行き詰まりに痺れを切らしたもので
ある。(12月14・15日付報道)
2.バングラデシュ経済レポートのテーマ募集
当館は、日本企業支援の一環として情報提供機能の強化を目指しており、これ
までのバングラデシュの政治・経済情勢及び我が国とバングラデシュ両国のビ
ジネス関係に関連した情報の発信に加えて、今後、隔週でバングラデシュ経済
及び日本企業支援の主要問題等に関するレポートを作成し、日本企業支援ウェ
ブサイトに順次掲載しつつ積極的に発信していく予定です。現時点では、今
後、エネルギー、繊維、ICT、調達、金融(外貨)分野を採り上げ、それぞれ
に関し、(1)近年の動向、(2)バングラデシュ政府の政策、(3)問題
点、(4)今後の展望、(5)関連文献・ウェブサイト等について、2−3頁
を目安に纏めていく予定です。これ以外に皆様にご関心のあるテーマがありま
したら、下記までお気軽にご連絡頂ければ幸いです。
在バングラデシュ大使館 経済班
メール: masahiko.kiya@mofa.go.jp
電話: 02-881-0087 FAX: 02-882-6737
バングラデシュ日本企業支援ウェブサイト
http://www.bd.emb-japan.go.jp/jp/business/index.html
【6】編集後記
新年あけましておめでとうございます。本年も積極的に情報を発信して参る所
存ですので、引き続きご購読いただきますよう宜しくお願い申し上げます。今
年は戌年ですが、12年前の戌年は細川内閣、羽田内閣が数ヶ月のうちに倒れ、
村山「自社さ」連立政権が誕生した、政治的に激動の年だったようです。今年
は、日本もバングラデシュも次の政権に向けた動きが活発になりそうですね。
(在バングラデシュ日本大使館広報文化班 飴谷貴信)
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本メールマガジンの配信開始・変更・中止のご希望がありましたら、編集部ま
でご連絡いただければ幸いです。
●本メールマガジンに対するご意見・ご感想、日本・バングラデシュ間の各種
交流事業等今後掲載する記事・情報に関するご示唆等をお待ちしております。
また、本メールマガジンの特別寄稿を執筆頂ける方を(自薦・他薦とも)募集
しております。お気軽に編集部までご連絡いただければ幸いです。
●バックナンバーは次のウェブサイトにてご覧になれます。
http://www.bd.emb-japan.go.jp/jp/mailMagazine/index.html
●編集部のメールアドレスは次の通りです(担当:永瀬・飴谷)。
mail@embjp.accesstel.net
発行:在バングラデシュ日本大使館
Embassy of Japan in Bangladesh
Plot#5&7, Dutabash Road, Baridhara, Dhaka, Bangladesh
電話(880-2)881-0087
FAX(880-2)882-6737
http://www.bd.emb-japan.go.jp
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