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日本語の最新号及びバックナンバー


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   日本・バングラデシュ交流メールマガジン(第34号・2005/6/2)
        ―日本とバングラデシュの橋渡しのために―
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□ 目次 □

【1】堀口大使メッセージ「ルプシャ橋開通と南アジア地域発展への支援」

【2】最近の日本・バングラデシュ関係

[これから]
●JUAABいけばな学校第一期卒業式(6月7日・ダッカ)

[これまで]
●JBCCI民間セクター開発支援プロジェクト説明会(5月24日・ダッカ)
●留学生支援無償事業署名式(5月23日・ダッカ)
●参加型貧困アセスメント調査結果発表会(5月23日・ダッカ)
●ルプシャ橋開通式(5月21日・クルナ)
●谷川外務副大臣のバングラデシュ訪問(5月20〜22日・ダッカ他)

【3】特別寄稿「ルプシャ橋の開通式を終えて」
(清水建設・ルプシャ橋建設プロジェクトマネージャー 岩田隆氏)

【4】バングラデシュ案内(第26回)「ダッカ大学現代言語学研究所」



【1】堀口大使メッセージ「ルプシャ橋開通と南アジア地域発展への支援」

5月21日、日本の援助で建設されたカーン・ジャハン・アリ(ルプシャ)橋の 開通式が行われ、日本から谷川外務副大臣が出席されました。

開通式でのジア首相、谷川副大臣など要人挨拶の後、渡り初めが始まると、 1.4キロの橋全体が、長年の夢かなった喜びに満ちた人々で埋め尽くされ、大 小の川で分断されたバングラデシュにとっての橋の持つ意義の大きさを改めて 認識しました。

この橋は、昨年開通したラロン・シャー(パクシー)橋に次ぐもので、バング ラデシュ第3の都市、クルナ周辺の経済社会開発に寄与するのみならず、内陸 国ネパールやブータンによるバングラデシュ第2の港、モングラ港の使用を可 能にする交通網の整備の上でも大きな意義があります。

南アジア地域では、7カ国が地域協力を通じてともに繁栄を図るとの南アジア 協力機構(SAARC)が、1980年、バングラデシュの発意により発足したもの の、基本的には、カシミール問題など加盟国間の政治的緊張と不信感から、所 期の効果を収めるに至っていません。

最近、日本とインドとの間で両国の戦略的関係拡大を目指し、閣僚を含む要人 の往来が盛んとなっていますが、私は先日のナショナル・プレス・クラブでの 講演において、バングラデシュが日本とインドの新たな動きを自らの発展の チャンスとして活かすよう呼びかけました。

日本が南アジア地域との関わり方を検討するうえで、地域最大のインドとの関 係拡大にプライオリティーを置くのは当然ですが、南アジア全体の平和と繁栄 の実現を外交目標とする日本としては、南アジア地域発展を視野に入れつつ、 域内各国への支援を進めていくべきかと思います。

数年前、インドとスリランカは自由貿易協定を結びましたが、それ以来、両国 の貿易投資関係は飛躍的に拡大しており、他の域内諸国にもひとつのモデルと なっています。

インドはバングラデシュに対しても、最初の10年間はバングラデシュ産品に一 方的に関税を撤廃し、その後は双方向の関税撤廃を提案していますが、バング ラデシュ側はまだ回答していないようです。

しかし、バングラデシュで生産された製品が、巨大なインド市場に自由に売れ ることになれば、バングラデシュに投資しようという海外企業は必ず出てくる はずです。もとより、電力などのインフラ整備と官僚手続きの改善は必須の前 提ですが。

日本が南アジア地域の平和と繁栄の実現のため、インドとバングラデシュなど 周辺諸国とを総合的に捉え、関係国に不信感の克服など積極的関係の育成を働 きかけていくことができれば、これら諸国との真の戦略的パートナーシップを 築いていけると思うのです

(これまでの大使メッセージは次のウェブサイトに掲載されています)

http://www.bd.emb-japan.go.jp/jp/mailMagazine/index.html
(昨年の大使メッセージと特別寄稿を小冊子にまとめました)
http://www.bd.emb-japan.go.jp/jp/pdf/sassi.pdf


【2】最近の日本・バングラデシュ関係

[これから]
●JUAABいけばな学校第一期卒業式(6月7日・ダッカ)

帰国留学生同窓会(Japanese University Alumni Association in Bangladesh, JUAAB)は、会員の日本滞在経験を生かしてさまざまな日本文化 紹介活動を行っています。

同会が昨年開設した、いけばな学校の第一期生徒卒業式が、6月7日(火)、 JUAAB事務所で行われます。会場は、卒業生のいけばなで飾られる予定です。

お問い合せは大使館広報文化班(進藤・飴谷、電話:881-0087、内線: 150/151)もしくはJUAAB事務所(電話:956-1589)まで。

[これまで]

●JBCCI民間セクター開発支援プロジェクト説明会(5月24日・ダッカ)

5月24日(火)、大使館にてJBCCI会員企業に対する「民間セクター開発支援 プロジェクト(PSDSP)」の説明会が行われました。天田国際協力銀行 (JBIC)ダッカ駐在員事務所首席駐在員より、我が国の対バングラデシュ援助 における民間セクター開発の位置付け及び取り組み及び民間セクター開発支援 プロジェクトの概況についての説明が行われました。ホックJBCCI会長以下、 JBCCI会員企業代表のほか、イスラム・在チッタゴン名誉総領事も含め、約20 名が出席し、活発な意見交換を行いました。

(JBCCIホームページ)
http://www.jetro.go.jp/bangladesh/eng/jbcci/index.html

●留学生支援無償事業署名式(5月23日・ダッカ)

我が国政府は、バングラデシュ人民共和国政府に対し、「人材育成奨学計画」 (2件)の実施に資することを目的として、総額3億6千万円を限度とする額 の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、5月23日(月)、 ダッカにおいて、堀口大使とイスマイル・ジュピウッラ大蔵省経済関係局次官 との間で行われました。

留学生支援無償事業(Japanese Grant Aid for Human Resource Development Scholarship:JDS)は、日本国の無償資金協力対象国において、社会や経済の 開発計画や立案の実施に関わり、21世紀の指導者となることが期待されている 優秀な若手の行政官や実務家、研究者などの人材を育成することを目的とした プログラムです。さらに、それぞれの留学生が、日本のよき理解者として両国 の友好関係の基盤を拡大・強化していくことも期待されています。

本プログラムを通じて日本国に受け入れられた留学生は、日本の大学院で専門 的な知識を修得するとともに、研究を通じて人的なネットワークの構築も行な い、自らの国が直面している社会・経済開発上の課題を実践的に解決する知識 を持つ人材として活躍することが期待されています。

(財団法人 日本国際協力センター)

http://sv2.jice.org/index.php
(留学生支援無償事業の留学候補者の発表に関する当館発プレス・リリース)
http://www.bd.emb-japan.go.jp/en/news/pr/jds170405.html
(外務省発プレス・リリース)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/17/rls_0523a.html

●参加型貧困アセスメント調査結果発表会(5月23日・ダッカ)
JICAバングラデシュ事務所では、先般参加型貧困アセスメント調査を行いまし た。調査は定性的な手法で、貧困の状況を直接に調べるものです。具体的に は、農村の人たちがどんなことが貧困と考えているか、公共サービスへの期待 と認識、ユニオンの役割などについて、参加型農村開発プロジェクトを行って いるタンガイルで調査しました。
この調査結果発表会が、5月23日(火)、JICAバングラデシュ事務所で行われ ました。HBコンサルタントチームのアティウル・ラーマン氏による発表のあ と、意見交換が行われました。

(JICAバングラデシュ事務所)
http://www.jica.go.jp/bangladesh/


●ルプシャ橋開通式(5月21日・クルナ)
5月21日(土)、バングラデシュ南西部のクルナ市にて、ルプシャ橋(バング ラデシュ政府は「カーン・ジャハン・アリ橋」と命名)の開通式が行われ、バ ングラデシュ政府からはジア首相、フダ運輸大臣をはじめとする政府高官が、 日本からは、谷川外務副大臣、堀口大使他が出席しました。
(谷川副大臣スピーチ)

http://www.bd.emb-japan.go.jp/en/embassy/speeches/sp_rupsha_svm210505_j.html (日本語)
http://www.bd.emb-japan.go.jp/en/embassy/speeches/sp_rupsha_svm210505.html  (英語)
(堀口大使スピーチ)
http://www.bd.emb-japan.go.jp/en/embassy/speeches/sp_rupsha_amb210505.html

なお、この橋の建設に、日本から、全建設資金の80%の約83億円が円借款とし て供与されました。

●谷川外務副大臣のバングラデシュ訪問(5月20〜22日・ダッカ他)
谷川外務副大臣は、5月20日(金)から23日(月)まで、バングラデシュを訪 問しました。

期間中、ジア・バングラデシュ首相等と会談を行い、日・バングラデシュ関係 強化や国連改革等について意見交換を行いました。また、わが国の支援により 建設されたルプシャ橋の開通式典に出席しました。

5月26日の副大臣記者会見で、今次出張についての発言がありました。

http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/kaiken/fuku/f_0505.html#3-A


【3】特別寄稿「ルプシャ橋の開通式を終えて」

(清水建設・ルプシャ橋建設プロジェクトマネージャー 岩田隆氏)

ルプシャ橋の開通式を終えて、プロジェクトマネージャーとして現場を振り 返って見たいと思います

1990年末より1992年8月まで前回バングラデシュに駐在して以来の現場赴任で した。1997年より4年間のウズベキスタンでの駐在より、ダッカに2001年4月 に着任しました。極寒と灼熱で春秋がほんの僅かな砂漠の国から久々の亜熱帯 地域で、バリバリに乾いていた肌も元に戻った感がありました。

現場責任者として最大の課題は如何にスタートをスムースに立ち上げるかです が、それは本工事の場合、世界最大級の場所打ち杭のスムースな開始と工程ど おりの完了でした、1本の杭の作成時間は約5日間、下記の手順で進めます。

(1)先ず川の中に鋼管を建て込みます。地盤がある程度強固な地層まで打込 みますので、40mの長さが必要でした、板厚25mm、径2500mmですので、重量は 吊り金具を含めおよそ80トンにも達します、これを大きなクレーン2台で (400トン+150トン)吊り込みます。水上工事なので、台船の上にクレーンを 置くこととなり、安全をみてクレーンも最大級の能力のものを使用しました。 これを、両岸からの測量で75mm以下の誤差でセットします

(2)次に、この鋼管を所定の深さまで打込みます、打込みの機械は油圧の振 動式杭打機を使用しました。砂地盤には振動式が適しているので採用した次第 です。この機械も最大級です。以上の工程で1日です。

(3)次は、ボーリング機械による削孔です。掘った後の孔壁が崩れないよ う、比重を決め特殊な粘土を加えて作った泥水(でいすい)を満たします。 掘った土砂は、ボーリング機の回転軸内を経て地上へ吐出します。この泥水 は、砂をふるいで除去し、再度比重と粘性を調整し、再循環利用します。こう して-75mまで掘り下げて行きます。この掘削だけで2日かかります。

(4)削孔の次は鉄筋の建て込みです。地上で予め円形に組立てた鉄筋を、順 次クレーンで繋ぎながら建て込みます。鉄筋の総重量は形状保持鋼材、吊り金 具を含め65トンに達します。この際鉄筋を繋ぐだけではなく、グラウト用パイ プ、超音波検査用のパイプも真直ぐになるよう繋いで行きます。最初慣れない うちは1箇所で1日以上かかりましたが、慣れてきても1本で1日かかりま す。

(5)最後はコンクリートの投入です。洋上の生コンプラントからコンクリー トポンプで直接杭へ打込みますが、この時コンクリートが途中で泥水と混ざら ないよう、コンクリート投下用パイプを杭の最底部まで挿入し、底からコンク リートを充填していきます。杭1本当たりコンクリート量は400〜450m 3 もあ り、打設に8〜10時間もかかります。コンクリートが泥水を押上げ、最後に新 鮮なコンクリートが鋼管から溢れ出て1本完了です。

(6)この後数日以内に、グラウトパイプに200気圧の高圧水を送り、グラウ トパイプに開けた穴より噴射させます。それは水圧によってコンクリートに割 れ目を作り、後程のセメントグラウトを行うための隙間です。

(7)この後はもう少し日数をおいて、セメント水を注入します。あまり強い 圧力はかけず、元の地盤に近い圧力でコントロールします。このセメント水の 注入により、ボーリングで乱れた地盤を元の状態に戻し、杭の支持力を設計計 算どおりに回復させるものです。

上記は工事開始当初、杭の試験載荷を行ったところ、予想以上の沈下を起こし スムースな立ち上がりどころではなくなって、客先(バングラデシュ政府)、 コンサルタント、我々、頭を痛め半年を要し種々の試行、再試験の結果、特殊 な地盤に対応できるよう(6)(7)を追加したものです。もし我々が日本勢 でなければ、この期間は1年以上の期間を要したのではないかと想像します。

残念ながら、パクシー橋を追抜いて完成することは出来ませんでしたが、難題 に立ち向かい、客先、コンサルタント、我々と良いチームワークを築き克服出 来たと自負しております。また、本工法は氷河期以降の新しい堆積層の多い当 地で今後も採用して信頼に耐え得る工法と思います。

治安上の不安が強くありましたが、大使館、JBICの強力な後押しを受けて、4 年を費やし無事開通にこぎ着けたことは感無量です。この場を借りて関係各位 に深く感謝を申し上げる次第です。

バングラデシュでプロジェクトをこなすのは大変です。暫く休憩したく思って おります。



【4】バングラデシュ案内(第26回)「ダッカ大学現代言語学研究所」

先日、ダッカ大学現代言語学研究所(Institute of Modern Languages, IML) を訪問しました。

同研究所では、各国の言語を研究し、学生に教えています。ダッカ大学の学生 に限らず、他大学の学生や社会人もここで学んでいます。当然日本語のクラス もあり、約180名の学生が学んでいます。

当地の日本語教育における同研究所の役割は大変大きく、3名の日本人を含む 教師陣は多くの日本留学生を輩出しています。

日本語教育のための教材の多くは日本の国際交流基金からの支援でまかなわれ ています。また、LL教室の機材は日本の文化無償支援により購入されていま す。これらの機材にはもちろん、教師が使用するパソコンにも、日本の支援で あることを示す、「ODAステッカー」が貼られています。

さて、実際に日本語の授業を見させていただきました。私がお邪魔したクラス は、夜6時から8時までの2時間の授業で、短期集中コースと呼ばれるもので した。約1ヶ月間、週3回行われ、初学者を対象に、話し言葉を中心に教える もので、正規のコースではなく、日本語に触れる機会を持つための、いわばカ ルチャー・コースのようなものです。このクラスで日本語に興味を持った学生 は、その後、正規の日本語コースを受講しています。

さて、突然の私の訪問に学生たちは日本語で「こんばんは」と挨拶してくれま した。日本人講師以外の日本人を見るのが初めてのようで、ものめずらしげに 私を見ながらの挨拶に、なんだか気味の悪さを感じたのですが、うれしくもあ りました。

学生数は15人ほどで、中には30台くらいの学生もいました。学生たちは、みな 真剣に授業を受けており、日本の大学の英語クラスとはだいぶ様相が違いまし た。いろいろな言語がある中で、一般に難しいと言われている日本語を選択し ているだけに、相応の決意があるようで、一人一人から意欲が感じられまし た。

私が訪れた時間はベンガル人講師が担当していました。講師が教科書を読み、 学生が後について読む、学生同士で役割を決めて教科書中の会話をする、講師 から内容についてベンガル語で質問し、学生が答える等の授業が行われまし た。ベンガル人講師は、やはり自然な日本語の発音ができず、「おはようご じゃいます」といった当地独特のなまりがありますが、生徒たちは先生につい て「おはようごじゃいます」と繰り返すので、こちらとしてはちょっとおかし かったのですが、私が日本で学んだ英語も似たようなものだったなと思い出し たりもしました。

教科書は英語で書かれており、前半が会話、後半が文法で構成されています。 講師は一回の授業で両方を取り入れていましたが、ほとんどが前半の会話部分 で、文法は細かく教えていないようでした。また、文字はまったく教えていま せんでした。このクラスが実際に日本語に触れることを目的としているので、 ローマ字で十分のようです。

以上が、私が見たIMLでの日本語教育ですが、今回は初学者だったこともあ り、私が日本語で話しても珍しそうに聞いているだけでした。今度はレベルの 高いクラスも訪問して、日本語による意見交換などもしてみたいと思います。 (在バングラデシュ日本大使館・飴谷貴信)


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