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日本語の最新号及びバックナンバー


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   日本・バングラデシュ交流メールマガジン(第33号・2005/5/19)
        ―日本とバングラデシュの橋渡しのために―
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□ 目次 □

【1】堀口大使メッセージ「チッタゴン丘陵地帯への出張(?U)」

【2】最近の日本・バングラデシュ関係

[これから]
●谷川外務副大臣のバングラデシュ訪問(5月20〜22日・ダッカ他)
●ルプシャ橋開通式(5月21日・クルナ)
●参加型貧困アセスメント調査結果発表会(5月23日・ダッカ)
●JBCCI民間セクター開発支援プロジェクト説明会(5月24日・ダッカ)

[これまで]
●教育セクター勉強会(5月19日・ダッカ)
●「国連とアジアにおける日本の役割」セミナー(5月12日・ダッカ)
●母子破傷風対策キャンペーンの記者会見(5月11日・ダッカ)

[お知らせ]
●JICA企画調査員(民間セクター開発・ガバナンス)の公募

【3】特別寄稿

「母子保健研修所(Maternal & Child Health Training Institute: MCHTI)
の果たす役割について」
(JICA専門家・安全な母性アドバイザー 村上いづみ氏)



【1】堀口大使メッセージ「チッタゴン丘陵地帯への出張(?U)」

今回の出張では、チッタゴン丘陵地帯(CHT)のバンドルボン及びランガマ ティを訪ねました。

先ず、自然については「丘陵地帯」という通り、両地域とも日本を思わせる丘 陵と山々が続き、バングラデシュの他の地域とは際だった違いがあります。ま た、そこに住む11乃至13の少数民族はほとんどモンゴロイド系で、中には日本 人と見分けがつかない顔の方が何人もいました。

ランガマティのカプタイ湖は川を堰き止めて作った湖であり、景色はとりわけ 美しく、湖水面積が広がる雨期になると、一日400台もの観光バスが観光客を 乗せてやって来るそうです。

今回、行く先々で少数民族の歌や踊りの歓迎を受けましたが、竹をパイプにし た珍しい楽器の演奏、日本の民謡と変わらぬ哀調ある歌、そして各少数民族ご とに異なる美しい舞踊など、多様な文化を観ることができました。美しい自然 と少数民族の珍しい文化を見れば、この地域の観光産業のポテンシャルを思わ ないわけにいきません。

ところが土地の人々は、よそから大資本がやって来てホテルを造り観光客が増 えても、利益を全てよそに持っていかれることにならないかと心配していまし た。地元の人々の生活向上につながる観光産業のあり方について、知恵を絞る 必要がありそうです。

さらに、数年前、外国人の援助関係者が誘拐された事件があったことから、 CHTはかなり危険というイメージがあり、また、よそから人々がCHTに入る場合 には数カ所で軍による検問があるため、現状では観光客が必ずしも自由に訪ね ることができず、CHTの観光促進についてはもう少し事態の改善を待つ必要が あるようです。

今回の出張で、日本資金によるFAOの農村開発プロジェクト数件を見ました が、そのうちの小規模灌漑事業は、僅かな資金ながら農民の生活向上の上で目 に見える効果を上げていました。また、UNDPのコミュニティ・エンパワメント 事業では各村に7千ドルの資金を与え、村ごとに最も必要とする事業に使うよ う任せられますが、ある村では一番必要なものは教育であるとして、その村初 めての小学校を造り、さらに運営維持経費のため47の所帯が毎月1キロの米を 拠出するなど、自助努力を引き出す効果を上げていました。

UNDPは、米、EU、豪、ノルウェーなどから資金をプールしてCHTの開発を組織 的に推進していましたが、このようなUNDPの存在はCHTの人々にとって大きな 支えと励ましになっていることがよく分かりました。今回日本は、UNDPのCHT 開発事業の一つである、村ごとの発展を図るための多目的センターの建設に協 力することにしましたが、この協力がCHTの人々を勇気づけ地域発展に資する ことを願ってやみません。

(これまでの大使メッセージは次のウェブサイトに掲載されています)

http://www.bd.emb-japan.go.jp/jp/mailMagazine/index.html
(昨年の大使メッセージと特別寄稿を小冊子にまとめました)
http://www.bd.emb-japan.go.jp/jp/pdf/sassi.pdf


【2】最近の日本・バングラデシュ関係

[これから]
●谷川外務副大臣のバングラデシュ訪問(5月20〜22日・ダッカ他)

谷川外務副大臣は、5月18日(水)から23日(月)まで、インドのコルカタ及 びバングラデシュを訪問します。

バングラデシュ(20〜22日滞在)においては、ジア・バングラデシュ首相等と 会談を行い、日・バングラデシュ関係強化について意見交換を行う予定です。 また、わが国の支援により建設されたルプシャ橋の開通式典に出席する予定で す。

●ルプシャ橋開通式(5月21日・クルナ)

5月21日(土)、バングラデシュ南西部のクルナ市にて、ルプシャ橋(バング ラデシュ政府は「カーン・ジャハン・アリ橋」と命名)の開通式が行われ、谷 川外務副大臣が出席する予定です。この橋の建設に、日本から、全建設資金の 80%の約83億円が円借款として供与されました。

●参加型貧困アセスメント調査結果発表会(5月23日・ダッカ)

JICAバングラデシュ事務所では、先般参加型貧困アセスメント調査を行いまし た。調査は定性的な手法で、貧困の状況を直接に調べるものです。具体的に は、農村の人たちがどんなことが貧困と考えているか、公共サービスへの期待 と認識、ユニオンの役割などについて、参加型農村開発プロジェクトを行って いるタンガイルで調査しました。

この調査結果発表会を、5月23日(火)午後3時〜5時、JICAバングラデシュ 事務所にて行います。発表者は、HBコンサルタントチームのアティウル・ラー マン氏です。ご出席希望、ご質問等はJICAバングラデシュ事務所までご連絡く ださい。

(JICAバングラデシュ事務所)
UDAY TOWER (7th floor), Plot No.57 & 57/A, Gulshan Avenue (south),
Circle-1, Dhaka
電話:+880-2-989-1897
FAX:+880-2-989-1689
http://www.jica.go.jp/bangladesh/


●JBCCI民間セクター開発支援プロジェクト説明会(5月24日・ダッカ)

5月24日(火)、大使館にてJBCCI会員企業に対する「民間セクター開発支援 プロジェクト(PSDSP)」の説明会を行います。天田国際協力銀行(JBIC) ダッカ駐在員事務所首席駐在員より、PSDSPに関する主要な問題点についての 説明が行われます。バングラデシュ政府は、世銀、DFID(英国国際開発省)、 日本、EU、CIDA(カナダ国際開発庁)が共同で提出したPSDSPに関する提案の 原則について合意しています。

(JBCCIホームページ)

http://www.jetro.go.jp/bangladesh/eng/jbcci/index.html

[これまで]
●教育セクター勉強会(5月19日・ダッカ)

5月19日(木)、JICAバングラデシュ事務所会議室において、教育セクター勉 強会が行われました。過去10年にわたって教員訓練大学(中等教育)へ派遣し てきた青年海外協力隊の成果を確認し、今後の協力のあり方を提言する目的で 調査してきたシニア隊員からの報告をもとに、中等教育の問題点、バングラデ シュにおける理科教育の意義、日本の協力の可能性など、様々な意見交換を行 いました。

(JICAバングラデシュ事務所)

http://www.jica.go.jp/bangladesh/


●「国連とアジアにおける日本の役割」セミナー(5月12日・ダッカ)

5月12日(木)、ダッカ市内のシェラトンホテルにおいて、「国連とアジアに おける日本の役割」と題したセミナーが、日本研究センター主催で行われまし た。アサドゥッザマン・バングラデシュ大学予算配分委員会委員長、ファイズ ・ダッカ大学学長、ラーマン日本研究センター所長が出席し、堀口大使は基調 講演を行いました。

基調講演の中で、堀口大使は、アジア・太平洋の平和と繁栄における日本の役 割、責任ある大国としての国際社会への貢献等について話しました。さらに、 日本が、世界や地域の課題にバングラデシュと協力することの意義についても 説明しました。

http://www.bd.emb-japan.go.jp./en/embassy/speeches/sp_jsc120505.html


セミナー終了後、日本研究センターの35名の学生に対する修了証書授与式が引 き続いて行われ、日本語や日本の文化、政治、経済、社会、科学技術、国際関 係を学んだ学生たちが修了証書を受け取りました。

●母子破傷風対策キャンペーンの記者会見(5月11日・ダッカ)

5月11日(水)、ナショナル・プレス・クラブにおいて、母子破傷風対策のた めの追加予防接種キャンペーンについての記者会見が行われました。堀口大使 は、日本のバングラデシュへの保健分野支援、特に母子保健と感染症予防に対 する支援について説明しました。

http://www.bd.emb-japan.go.jp/en/embassy/speeches/sphmhoriguchi.html
[お知らせ]

●JICA企画調査員(民間セクター開発・ガバナンス)の公募

JICAは、バングラデシュにおける「民間セクター開発」と「ガバナンス」分野 の企画調査員各1名を公募しています。今後重要な協力分野になると考えてい る両分野の現状、問題点、他ドナーの動向について情報収集、分析を行い、協 力案件を形成する目的で、バングラデシュへの派遣を予定しています。

いずれも5月13日〜27日が公募期間で、7月5日〜8月12日が赴任前研修、8 月上旬から1年間が派遣期間となっています。業務内容、応募方法などは、以 下のウェブサイトから「JICA」をクリックすればご覧いただけます。

http://partner.jica.go.jp/TI/TI_index.html


【3】特別寄稿

「母子保健研修所(Maternal & Child Health Training Institute: MCHTI) の果たす役割について」 (JICA専門家・安全な母性アドバイザー 村上いづみ氏)

MCHTIは保健省家族計画局の管轄する病院で、2000年に日本の無償資金協力で 施設が改修・建設されました。その後、5年に渡って、病院と研修機能強化の ために「JICA・リプロダクティブヘルス・人材開発プロジェクト」が実施され ました(プロジェクトは2004年8月で終了)。病院には臨床(173床の産婦人 科・小児科)と研修部門(5年間で約4,000名に研修を実施)があり、約160名 の職員が、年間約6,000の正常分娩と約3,000の帝王切開を行っています。ダッ カのアジンプール・マタニティ・ホスピタルと言えば、質の高いサービスを提 供する産科病院としての知名度を誇っています。

このMCHTIに対して保健省の役人がどのように思っているのかを、本プロジェ クト終了後に聞き取り調査を試みました。保健省と家族計画局の職員から多く 聞かれた内容は、私たちが日頃日本で聞いている、日本人が考える「援助に対 する評価」とは違ったものでした。以下では、聞き取り調査で聞かれた代表的 な意見をご紹介します。

まず、「病院に限ったことではないが、インフラ・ストラクチャーを建設する ことは、バングラデシュにとって大変ためになる」という意見があります。そ の理由は、「口だけ出して、形を何も残さない他のドナーより、日本の援助は よほどましだ」というものです。というのも、MCHTIは病院の周辺の住民の健 康や福祉に貢献しているだけでなく、バングラデシュ国の産科の三次医療の砦 としても重要な位置を占めているからです。MCHTIはプロジェクトによる技術 協力の結果であり、そこでの診察には定評があるのですから。

追加的な意見として、日本側が早くしろ、早くしろと懸案の解決へ向けたプ レッシャーをかけるのですが、MCHTI側としては、病院の人材確保、100%を目 指したメンテナンス、運営費の確保などの問題が山積しており、それらを短時 間で解決出来るはずもなく、決して手をこまねいているわけではないというも のです。あくまで、バングラデシュのペースで対処しているのが、日本側には まどろっこしく見えることがあるのです。現実には、患者数が減少する等の問 題が起きているわけでないのですから、バングラデシュ側の主張にも一理ある ように思われます。

これらの意見を聞いていると、インフラ建設を援助してもメンテナンスができ ないので(往々にして日本の機材等を使ってしまうため補充が出来ないという ことが起きていました)、日本国民の血税を使っても徒労に終わってしまうだ けだという議論が日本国内に根強くありますが、そんなに深刻に考える必要は ないのではないかと思ってしまいます。日本を基準として、プロジェクトの 100%の成果を求めるから、バングラデシュと日本とで意識の乖離が顕著にな るのであって、こんなものだろうと認めてしまうと、それでは次に何が病院で 必要であり、それを実行するにはどのようにしたら良いのだろうか・・・と一 緒に考えるようになるのではないでしょうか。

次に、「日本の言動は信頼できる」と言う意見があります。プロジェクトの実 施段階までは時間がかかるものの、いったんやると決めたら必ず完成までこぎ つけるので、日本の援助は信頼がおけるというものです。しかし、実際に援助 を決定するまでにかなり長い時間がかかりますので、保健省としては、業を煮 やして、直ぐに決定を下してくれそうな他のドナーに近寄って行ってしまいが ちなのも事実です。

最後に、「病院に投入してくれた金額の割には、その後の日本の活動が地味で ある」という意見があります。病院の運営、機材のメンテナンス、治療等の技 術強化など、たくさんの専門家を投入して技術移転や人材開発を目的としてプ ロジェクトを実施してくれたのは評価するのですが、それらが、病院という狭 い場所に限定されており、母子保健・助産を切り口にして、幅広い活動に発展 的に繋がらないという意見なのです。

技術協力プロジェクトということで、私たちの活動が病院の機能や研修事業の 強化に限定されてしまったことは否めません。したがって、今後、仮に同じよ うなプロジェクトを実施する機会があるのでしたら、もう少しガバナンスに積 極的に関わり、むしろ大言壮語するくらいにして、日本のプレゼンスを示す必 要があると思います。世界での援助の形態は時々刻々と変化しつつありますの で、日本がいつまでも従来の狭義の技術移転という発想にのみこだわっていた のでは、援助する側は手詰まり感にさいなまれ、援助される側も本当に期待す るものが得られないという悪循環におちいってしまうのではないでしょうか。

以上、JICA・リプロダクティブヘルス・人材開発プロジェクトの最後に当た り、これまで実施した聞き取り調査を通して得た結論としては、病院を建て、 技術移転することは、日本で私たちが多大な反省を込めて言及するほどには、 評判は悪くはない、ということです。「口だけ出すだけで何も残さない、他の ドナーよりはまし」なのですから。

最後になりますが、MCHTIでは、多数の派遣専門家の活動のおかげでしょう が、「日本人はあまり文句を言わないが、なめてかかると怖い」ということを 全ての職員は良く知っています。日本の女はコワイということを知らしめるこ とには、ともかくも成功したようです。

(村上専門家は本年3月当地を離任されました。)

[JICA・リプロダクティブヘルス・人材開発プロジェクト]

http://www.jica.go.jp/bangladesh/activities/07.html


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