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日本・バングラデシュ交流メールマガジン(第29号・2005/3/24)
―日本とバングラデシュの橋渡しのために―
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□ 目次 □
【1】堀口大使メッセージ「ハルタル考(その1)」
【2】最近の日本・バングラデシュ関係
[これから]
●独立記念日第1回ジュニア柔道選手権(3月25日・ダッカ)
●「農村開発における地域性」研究会(3月28日・京都)
●バングラデシュと日本の凧展(3月28〜29日・ダッカ)
●マイメンシン日本留学フェア(3月29日・マイメンシン)
●日本映画祭(3月29〜31日・ダッカ)
●日本バングラデシュ商工会議所年次総会(3月31日・ダッカ)
●バングラデシュ政治情勢講演会(4月5日・ダッカ)
[これまで]
●独立戦争記念日記念セミナー(3月23日・ダッカ)
●洪水復興プロジェクトへの資金供与(3月22日・ダッカ)
●食料安保ワークショップ(3月20日・ダッカ)
●日本語スピーチコンテスト(3月19日・ダッカ)
●ABKD・大使館共催生け花コンテスト(3月18日・ダッカ)
●教育セクター勉強会(3月17日・ダッカ)
●国別援助計画現地協議(3月17〜21日・ダッカ)
●貧困削減戦略文書案への日本コメント提出(3月16日・ダッカ)
●農村インフラ開発のための円借款供与(3月16日・ダッカ)
●文部科学省留学生渡日前オリエンテーション(3月15日・ダッカ)
●農業セクター基礎調査ワークショップ(3月13日・ダッカ)
●次期砒素対策プロジェクト合意(3月5〜16日・ダッカ)
[おしらせ]
●邦人安全情報(ハルタル日時の変更等:3月31日)
【3】特別寄稿「バングラデシュの仏教」
(マハムニ母子寮 福井宗芳)
【4】バングラデシュ案内・第22回「国連世界食糧計画(WFP)の事業見学」
【1】堀口大使メッセージ「ハルタル考(その1)」
先日、UNDPから「ハルタルを超えて―バングラデシュにおける民主的対話に向 けて」という報告が発表されました。同報告は3000人とのインタビューの結果 を踏まえ、ハルタルについて様々な角度から分析を行い、ハルタルを超えて民 主主義達成に向けた提言を行っています。非常に有益な内容なので2回に分け てご紹介します。
ハルタルは、インド独立戦争においてマハトマ・ガンジーが導入した非協力運 動に起源を持ち、バングラデシュでは言語運動に始まります。
1971年の独立、そして1990年のエルシャド政権を倒した際、ハルタルは大きな 役割を果たしましたが、皮肉なことは、1991年、選挙による民主主義政権が生 まれた後、かえってハルタルが急増していることです。
ハルタルの背景として、バングラデシュの政治文化が多分に権威主義的である こと、歴史的に対決的政治姿勢が慣習となっていることが挙げられています。
ハルタルについては、大多数の人々が政策目的を達成するには非効率でありな がら、人々の経済活動、日常生活に多大な損害を与えているとしており、特 に、低中所得グループ、中でもリキシャ引き、行商人等、その日暮らしをして いる人々が大きな被害を受けていることが明らかにされています。
同報告の第3章では、ハルタルの実態について興味深い説明があります。野党 の幹部会でハルタルが決定されると、ハルタル予定日の3〜4日前から同党の 学生組織が中心となってプレ・ハルタルを行います。これは大学のキャンパス 内外での集会、デモ行進ですが、ハルタルに参加したがらない一般学生に対 し、武器を持った学生運動家が大学キャンパスの内外で爆発物を爆発させて恐 怖心と不安感を与えます。
そしてハルタル当日は、キャンパス内で集会を行ってから街に繰り出し、ス ローガンを叫びながら警官隊のバリケードまで進み、挑発するために警官隊に 爆発物が投げられ、これに応じて警官隊が実力行使に移り、混乱が始まりま す。
一方、ダッカのプレス・クラブ前、官庁街、モテジール、モハカリ、ファーム ゲート、オールドダッカなど特定の地区や道路でも同じ順序で混乱が引き起こ されます。爆発物を投げるほか、タイヤを焼いたり、リキシャや車を破壊し、 時にバスに火をつけたりして大混乱となり、ダッカの「ライフライン」が機能 を止めればハルタルは「成功」です。
ハルタルを「成功」させるには野党の組織の人数だけでは不十分なので、手配 師に頼んで、スラム街などから多数の人を動員します。その際手配師に、デモ に参加するだけの者には一人当たり35タカ、爆発物を投げたり、リキシャや車 を破壊する係りには一人当たり50タカ、大き目の爆弾を投げて車に火をつける 大役には一人当たり100タカ、集会で座り込むだけの女性には一人当たり20タ カが支払われます。
12歳の少年は、ハルタルの度にあらかじめ言われていた場所に待機し、合図と ともにタイヤやリキシャに火をつける役目で、1年間で300タカ稼ぐそうで す。
このようにハルタルはかなりの資金がかかりますが、このお金が犯罪組織に流 れているとも指摘されています。また、今日のハルタルは、かつてのような言 語運動や独立闘争といった政治目的がなくなってしまい、金銭や些細な政治問 題等が動機となっています。
次回は、ハルタルにより年間でGDPの3〜4%に達する経済的損失がもたらさ れていること、将来のバングラデシュを担う学生達がハルタルの結果勉学を妨 げられ、卒業が何年も遅れ、人生設計が狂わされている実態、そしてこのハル タルという悪弊をやめるための具体的提案について紹介します。
【2】最近の日本・バングラデシュ関係
[これから]
●独立記念日第1回ジュニア柔道選手権(3月25日・ダッカ)
3月24日(木)、25日(金)の両日、ダッカスタジアムのNational Sports
Councilで「Dandy Dyeing Independence Day & 1st National Junior Judo
Championship 2005」がバングラデシュ柔道連盟の主催で開催されます。
25日の16:30から始まる表彰式には堀口大使も出席し、講道館段位の授与も行 われる予定です。
お問い合せは大使館広報文化班(進藤・飴谷)まで。(電話:881-0087、内線 :150/151)
●「農村開発における地域性」研究会(3月28日・京都)
3月28日(月)午後1時30分から、京都大学東南アジア研究所東棟2階教室に て、「農村開発における地域性〜生活・暮らしの基層〜:チッタゴン丘陵の問 題とアッサムへのベンガルモスリム移民」と題する研究会が開催されます。 チッタゴン丘陵地帯の少数民族への支援活動を行なうNPOジュマネット代表・ 下澤嶽氏による、1997年の平和協定後にチッタゴン丘陵地帯の少数民族が抱え る今日的問題の現状に関する発表、東京外国語大非常勤講師佐藤宏氏のアッサ ム州ブラマプトラ川氾濫原へのベンガルモスリム移民の問題に関する発表に引 き続き、ベンガル人と少数民族の問題について議論が行われます。
問い合わせ:京都大学 東南アジア研究センター 安藤和雄助教授
ando@cseas.kyoto-u.ac.jp Tel:075-753-7334
●バングラデシュと日本の凧展(3月28〜29日・ダッカ)
3月28日(月)午後3時より国立博物館Novera Hallにて、ダッカバシ主催・ 大使館の協賛で、バングラデシュと日本の凧・伝統手工芸品の展示会開会式が 開催されます。
開会式ではチョードリー民営化委員長が司会を務め、堀口大使他が参加しま す。展示は28・29日両日行われますので、皆様お誘い合わせの上ご来場下さ い。
お問い合せは大使館広報文化班(進藤・飴谷)まで。(電話:881-0087、内線 :150/151)
●マイメンシン日本留学フェア(3月29日・マイメンシン)
3月29日(火)午前11時から、マイメンシン市にあるバングラデシュ農業大学 (BAU)講堂にて、学生、教職員、日本語学習者等広く一般を対象に、文部科 学省奨学金等による日本への留学に関する説明会を実施します。
アミルル・イスラムBAU学長及びバングラデシュ日本留学同窓生協会(JUAAB) 関係者も参加します。また、午後2時30分から日本映画祭を実施します。
お問い合せは大使館広報文化班(進藤・飴谷)まで。(電話:881-0087、内線 :150/151)
●日本映画祭(3月29〜31日・ダッカ)
ダッカ大学現代語学研究所(IML)講堂にて「日本映画祭」が大使館主催で開 催されます。日程は以下のとおりです。
3月29日(火)午後4時 開会式
午後4時20分 「火垂るの墓」
午後7時 「シコふんじゃった」
3月30日(水)午後4時 「千羽づる」
午後7時 「のど自慢」
3月31日(木)午後4時 「子象物語〜地上に降りた天使」
午後7時 「雨あがる」
チケットは大使館広報文化センター側ゲート、IML、JUAABにて無料で配布いた しております。ご来場の際にはチケットを忘れずにご持参ください。
プレスリリースが以下のサイトに掲載されています。
http://www.bd.emb-japan.go.jp/en/news/pr/filmfest230305.html
なお、3月31日は午後2時までハルタルが予定されておりますので、ご来場の 際は十分お気をつけください。(以下の[お知らせ]をご参照ください。)
●日本バングラデシュ商工会議所年次総会(3月31日・ダッカ)
日本バングラデシュ商工会議所(JBCCI)の第2回年次総会・夕食会が3月31日 (木)午後6時よりショナルガオンホテルにて開催されます。同商工会議所の 昨年発足以来の活動報告や今年の活動予定等について話し合われる予定です。
●バングラデシュ政治情勢講演会(4月5日・ダッカ)
4月5日(火)午後5時より当館3階会議室にて、「バングラデシュの政治情 勢〜次期総選挙に向けて」と題して、当館政務班長の藤田日出男参事官による 講演会を開催いたします。皆様お誘いあわせの上、お気軽にお越しください。
なお、以下のウェブサイトに同参事官を中心に当館が本年3月に作成した資料 「バングラデシュの概要と最近の政治情勢」を掲載しました。同資料はバング ラデシュの基礎指標、略史、政治・行政・司法制度、主要政党、1991年以降の 総選挙、最近の内政・外交を取りまとめたものです。
http://www.bd.emb-japan.go.jp/pdf/jousei050315.pdf
[これまで]
●独立戦争記念日記念セミナー(3月23日・ダッカ)
3月23日(木)、JUAAB主催事業「第34回独立記念日記念セミナー」がダッカ 大学のTSC(Teachers and Students Center)にて行われました。
「バングラデシュの独立と日本の役割」と題した基調講演をダッカ大学日本研 究センター所長のモハメド・アタウル・ラーマン教授と国際工業技術庁のムス タフィズル・ラーマン氏が行いました。
アーサヌッラー科学技術大学学長のムシャリフ・フサイン・カーン教授が主賓 として、堀口大使がスペシャルゲストとして出席し、堀口大使は以下のスピー チを行いました。
http://www.bd.emb-japan.go.jp/en/embassy/speeches/independence050323.html
●洪水復興プロジェクトへの資金供与(3月22日・ダッカ)
3月22日(火)、堀口大使はザビウッラー財務省経済関係局次官に対し、洪水 復興を中心とする10件のプロジェクトについて、債務救済無償による見返り資 金の使用を承認する旨を伝達しました。これらのプロジェクトの総額は165億 9000万円にのぼります。
詳細は以下のプレスリリースをご覧ください。
http://www.bd.emb-japan.go.jp/en/news/pr/flood_rehab220305.html
●食料安保ワークショップ(3月20日・ダッカ)
3月20日(日)、ミルキ講堂にて「食糧安全保障特別事業構想発表会」が農業 拡大局(DAE)と食糧農業機関(FAO)との共催で行われました。アンワル農業 大臣、アラムギール農業担当国務大臣、ランFAO当地代表などが出席しまし た。
堀口大使は以下のスピーチを行いました。
http://www.bd.emb-japan.go.jp/en/embassy/speeches/spfs050320.html
●日本語スピーチコンテスト(3月19日・ダッカ)
3月19日(土)BRACセンター内講堂にて、ダッカ大学現代語学研究所日本語 コースの協力のもと、ダッカ日本語教室同窓会の主催で日本語スピーチコンテ ストが開催されました。両校及びダッカ市内の広島アカデミーから学生15名が 参加し、日本語への興味や女性の人権、交通問題などについて語りました。
「ラロン修行歌にみるヒューマニズムについて」と題して19世紀の歌人ラロン ・フォキルについて語ったターミナ・ザビーンさんが1位になりました。プレ スリリースが以下のウェブサイトに掲載されています。
http://www.bd.emb-japan.go.jp./en/news/pr/speechcontest190305.html
また審査委員長として大使館の宇喜多公使が以下のスピーチを行いました。
http://www.bd.emb-japan.go.jp/en/embassy/speeches/speechcontest050319.html
●ABKD・大使館共催生け花コンテスト(3月18日・ダッカ)
3月18日(金)、グルシャンのスペクトラ・コンベンション・センターにて、 ABKD・大使館共催の生け花コンテストが実施されました。コンテストには26名 が参加し、大小さまざまな作品を出品していました。
作品は4名の在留邦人に審査され、ヌルン・ナハル・アクターさんの作品が1 位となりました。
堀口大使は表彰式で以下のスピーチを行いました。
http://www.bd.emb-japan.go.jp/en/embassy/speeches/ikebana050318.html
●教育セクター勉強会(3月17日・ダッカ)
3月17日(木)大使館3階会議室にて、初等教育及び中等教育における課題・ 協力の可能性に関する教育セクター勉強会が開催されました。
今回は、帰国を控えた工藤昭征青年海外協力隊員が初等教員訓練機関配属隊員 の可能性(3分間ドリル活動、実験集、自己評価カードの取組みなど)につい て、同じく林誠隊員が中等教育における教員訓練の問題について発表を行い、 引き続き意見交換が行われました。
彼らの現場での貴重な経験が共有され、今後の当国における教育セクターの開 発に生かされます。また、勉強会後には懇親会も行われました。
●国別援助計画現地協議(3月17〜21日・ダッカ)
3月17日から21日まで、対バングラデシュ国別援助計画改定のための東京タス クフォース一行(山形辰史主査他6名)が当地を来訪しました。現地ODAタス クフォース(バングラデシュ・モデル運営委員会)との協議、バングラデシュ 財務省経済関係局・計画省総合計画局との意見交換を行った他、世銀・ADB・ 英DFIDとの共同ワークショップ(リトリート)にも参加しました。今後、ODA
総合戦略会議への中間報告に向けて、更に作業を行う予定です。
対バングラデシュ国別援助計画に関する最新情報は、次のウェブサイトに掲載 しています。
http://www.bd.emb-japan.go.jp/jp/bdmodel/kunibetsu.html
●貧困削減戦略文書案への日本コメント提出(3月16日・ダッカ)
本年1月に公表されたバングラデシュ貧困削減戦略文書案について、3月16日 に我が国のコメントをバングラデシュ政府に提出しました。同コメントの要約
・本文は次のウェブサイトに掲載しています。
http://www.bd.emb-japan.go.jp/jp/bdmodel/doc/Japansummaryfinal.doc
http://www.bd.emb-japan.go.jp/jp/bdmodel/doc/Japancommentfinal.doc
バングラデシュ貧困削減戦略文書の全文は、次のウェブサイトに掲載されてい ます。
http://www.lcgbangladesh.org/prsp/
●農村インフラ開発のための円借款供与(3月16日・ダッカ)
3月16日(水)、日本政府とバングラデシュ政府は113億4,500万円の円借款供 与に合意しました。堀口大使とザビウッラー経済関係局次官とがそれぞれの政 府を代表して合意書に署名しました。
日本政府は、地方自治・農村開発・協同組合省による「東部バングラデシュ農 村インフラ開発計画」の実施のために円借款供与を決定しました。この計画の 目的は、チッタゴン県とシレット県におけるウパジラ道路やユニオン道路、 橋、港等の整備を通じて農村における経済活動や社会サービスへのアクセスを より活発にすることです。
詳細は以下のプレスリリース及び外務省ホームページをご覧ください。
http://www.bd.emb-japan.go.jp/en/news/pr/ruraldev160305.html
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/17/rls_0316c.html
●文部科学省留学生渡日前オリエンテーション(3月15日・ダッカ)
3月15日(火)、大使館にて、2005年度文部科学省奨学生として認定された研 究留学生14名、学部生3名、高等専門学校生4名、専修学校生4名、計25名の 日本出発前壮行式が行われました。
式では留学アドバイザーが日本での生活や学習の方法などを説明し、日本の文 化を紹介するビデオを上映しました。
また、堀口大使は、日本で学ぶことや日本で培う経験を生かして母国の発展に 貢献するようにと奨学生を激励しました。
詳細は以下のプレスリリースをご覧ください。
http://www.bd.emb-japan.go.jp/en/news/pr/monbukagakusho150305.html
●農業セクター基礎調査ワークショップ(3月13日・ダッカ)
3月13日(日)、レイクショア・ホテルにて、農業セクターの関係者(バング ラデシュ政府、ドナー、NGO等)の参加のもと、農業作物の多様化・付加価値 化支援に関するJICA基礎調査のドラフト・ファイナル・レポートに関するワー クショップが開催されました。
当日はサイード・アタウル・ラーマン農業省次官補、JICA新井所長、堀口大使 をはじめとして、約70名が出席しました。
http://www.bd.emb-japan.go.jp/en/embassy/speeches/agriworkshop050313.html
●次期砒素対策プロジェクト合意(3月5〜16日・ダッカ)
バングラデシュの砒素汚染対策に協力するJICAの提案型技術協力プロジェクト 「持続的砒素汚染対策」の事前評価調査団(団長:永友紀章JICAバングラデ シュ事務所次長)は、2005年3月5日から、中央関係省庁との協議、ジョソー ル県行政機関や汚染地住民との協議、主要ドナーとの情報交換をつづけ、16日 に調査団とバングラデシュ政府の間でMinutes of Meetingに署名しました。
このプロジェクトは、ジョソール県シャシャ郡とチョーガチャ郡を対象とし て、住民を主体に地方行政がサポートし、持続可能な砒素汚染対策制度の構築 をめざします。JICAがNGOであるAAN(アジア砒素ネットワーク)を開発パート ナーとして2002年から2004年まで実施した「移動砒素センタープロジェクト」 の後継プロジェクトで、開始時期は今年9月を目標にしています。
[おしらせ]
●邦人安全情報(ハルタル日時の変更等:3月31日)
1.当地報道によれば、アワミ連盟を中心とする野党は、3月27日(日)に、 ハルタルを実施することを発表しておりましたが、27日はキリスト教の復活祭 と重なるため、日時を改めて、3月31日(木)以下のとおりハルタルを実施す ることを発表しました。
午前6時〜午後6時 ダッカ市を除く全土
午前6時〜午後2時 ダッカ市内
2.当日は、群衆が集結しそうな場所に近寄ることは避けるとともに、やむを 得ず外出する際には自己防衛手段を常に念頭に置くなど、慎重な行動を取って 下さい。また、テレビ、ラジオ、新聞等により、今後の動向に注意を払って下 さい。
3.なお、故キブリア前蔵相の遺族は、同日31日、午後4時から午後6時30分 までの間、ダッカ市内の国会議事堂前のマニック・ミア・アベニューにおい て、ハビガンジ爆破事件に抗議し、これまでに全国各地で集めた署名を公開す るというプログラムを実施することを発表しております。プログラム自体は平 和的なものと予想されますが、多くの民衆が集まるため国会議事堂周辺は特に 注意が必要です。
http://www.bd.emb-japan.go.jp/jp/safety/hortalzouhou.html
【3】特別寄稿「バングラデシュの仏教」
(マハムニ母子寮 福井宗芳)
マハムニ母子寮は、現在、百人の世帯です。一年生から十年生までの男女 半々、勿論、大部分は仏教徒ですが、宗教上、問題のないヒンドゥー教徒を17 人ほど入れております。仏教徒といっても、ベンガル人のそれと、チャクマ、 マルマ、トゥリプラ等、パハリー系(山岳モンゴリアン)それに北ベンガル (ロングプール、ノウガオ)からの現住仏教徒といわれるアディバシの3グ ループから成っています。
日本山妙法寺を離れた渡辺天城さんが、バングラ独立戦争後の難民の救済を志 して1976年チッタゴンの仏教徒村、マハムニにアシュラム(道場)として起こ したのが始まりです。正式には、母子寮をベンガル語に直訳した「マハムニ・ ヴィドバ・オ・オナートシシュー・カルヤン・ケンドロ」という不思議な名称 で、マイクロに並んだ文字を見たベンガル人は、未亡人を意味する使い慣れな いヴィドバという単語に思わずギョッとして、結構宣伝にはなるようです。小 生は創立三年後に、今とは隔世の感のある母子寮に、ボランティアとして入り 込み、十分原住民風な生活をしておりました。後年、テーラワーダ(小乗仏 教)で正式に得度し、渡辺天城さんの遺志をついで、母子寮を経営しておりま す。
マハムニにムスリムはおりません。バングラが永いといっても、仏教徒村にい る小生、ムスリムの生活を身近には知りませんから、バングラを云々する場 合、常に仏教徒としての大カッコつきになります。
メールマガジン上の堀口大使によるメッセージ「バングラデシュと国民的アイ デンティティー」(第2号・2004年3月4日発行)はテーラワーダ僧の小生に とって大変に興味深いものであり、又驚きもありました。ベンガル史における パーラー仏教王朝の評価を正しくしない限り、この国のアイデンティティーの 問題の理解は難しいのではないか、またそうすることによって、東方仏教諸国 との関係強化に資するところ大である、とするこの大使の指摘は、まさに正鵠 を得、卓見と敬意を表しつつも、指摘されている状態は、バーミヤンを破壊し たタリバンと基本的に同じ考えの「イスラムの非寛容」から来ていることを思 うと憮然たらざるを得ませんでした。
モイナマティやパハルプールの大仏教遺跡は、最近でこそ、整備され始めたと はいえ、そこの解説板や、時々新聞(ベンガル語)に載る紹介記事を読んでも 故意としか思えない程に仏教という言葉は使われておらず、何の説明もないビ ハール(僧院)という単語をムスリム・ラジャーの館と思い込んで読んでも通 じてしまうような有様。黄衣でパハルプールを見学した時は、ムスリムの大学 生と自称する男に「何で、こんなものをわざわざ見に来るのだ」としつこく付 きまとわれて閉口したことがあります。その学生には、イスラムの教え通り、 偶像に似たものでも破壊したい嫉妬心がみなぎっており、歴史教育もあったも のではないと、オーバーに言えば、暗澹たる気持ちでした。
「イスラム教徒であること(BNP)とベンガル人であること(アワミ連盟)の 融和が図れていない政治状況」、ある知識人の言葉としてメッセージに引用さ れているこの基本的な見解の裏には、ヒンドゥー=インドの介入なくして独立 出来なかったムスリム国家の深い政治的な負い目がトラウマとして残り、その 大きなトラウマから融和を困難にさせる過剰な反応が様々な形で起こっている
のだろうと思います。バングラデシュのムスリムは、様々な歴史の混交を経て いるので、かなり柔軟な民族だと思います。何とか融和とアイデンティティー の確立を図る手始めとして、大使の指摘されるように、様々な価値(歴史)の 存在を認める上にも、パーラー王朝の評価を歴史教育の中で正しく行うのは重 要なことであり、実際行うかどうかは、この国が将来開かれた国家として伸び ていくかどうかの試金石ですらあると思います。
最後にもう一つ、大使メッセージで知り驚いたことがあります。ベンガルの生 んだ高僧、アティーシャ・ディーパンカラのムンシゴンジュでの生誕1022年祭 に、大使御自身、ムスリム大臣、スリランカ大使らに交じって、中国から関係 者が7人招かれただけで、肝心の本家バングラ仏教界からは誰も出席していな かったという、一体これはどういうことなのか、驚きました。ムスリムの政府 関係者が、自国に仏教徒がいることをまさか知らない訳ではないとすると、無 視されたのか、二派ある仏教界がお互いに同席を断ったのか、それとも、ア ティーシャは大乗の密教僧だったので、テーラバーダを自尊するこの国の小乗 の僧達が、ムスリム主催を理由に出なかったのか。いずれにしても、どれを 取っても、寛容の精神からは程遠い風景は、「イスラム教徒」としてばかりで
なく、「ベンガル人」としての概念そのものの中に、融和を困難にさせる要因 が含まれていることを暗示している様に思われてなりません。
小生は、様々な縁でマハムニ村に土着化しておりますが、この国の申し分ない マイノリティーで、しかも恵まれない母子寮の子供達に対して、「よし!お前 達といっしょに居よう!」ということにしており、小生のニッバーナはその先 にあるもの、と思っております。
【4】バングラデシュ案内・第22回「国連世界食糧計画(WFP)の事業見学」
国連世界食糧計画(WFP)は食料援助を通じて、農業・農村、人的資源開発 や、自然災害や内戦などの人的災害時の緊急支援を行っています。先日WFPが バングラデシュで実施している、学校給食事業、Food-for-Training(トレー ニングへの参加の対価として食糧を提供する事業)の事業地を見学させてもら う機会を得ました。
WFPバングラデシュ事務所は、政府と協力して調査を行い、ニーズの高い地域 を割り出し、各種事業を実施しています。学校給食事業は、朝登校してきた学 童に対して、1袋300キロカロリー、1日のビタミン必要量の75%をカバーで きる栄養ビスケットを配給し、学童の就学率の向上、栄養の改善・向上を目指 す事業で、ダッカ市内では政府系153、NGO系316の学校で実施されています。 実施校では先生、保護者、地域担当のNGO職員(私の見学校の担当NGOはプロ シッカでした)男女11名からなる学校運営委員会が、ビスケットの配給活動の 管理・運営、保護者に対する子供の教育の重要性、ビスケットの栄養価、衛生 観念などの啓蒙、活動への理解を深め協力を得るための活動などを行っていま す。
教室では朝一番に登校したクラス1、2の生徒たちが勉強していました。先生 が、「ビスケットはもう食べましたか」、「どんな栄養素が入っています か」、「家から一度沸騰させた水を持ってきましたか」、など質問すると、み んな目を輝かせて元気に答えてくれました。WFPは学校に一度煮沸させた水を 持参することを徹底させていますが、これは安全な水を飲む習慣をつけるだけ ではなく、事業の成功のため、ビスケットのせいで子供が下痢をした、などと 保護者が誤った認識を持つのを防ぐ意味もあるそうで、感心しました。
次に、マニクガンジ県でFood-for-Training事業を見学しました。ユニオン単 位で設置される委員会が各村落内の貧困層の中でも特に貧しい女性を、土地無 し、夫が障害を持つ、離婚者等の基準を決めて選抜し、2年間毎月栄養価を高 めた小麦粉を配給しながら、様々なトレーニングへの参加を義務づける事業で す。ちょうど私が訪れた日、集会所にはその地域で初めて小麦の配給を受ける 女性たち129名が集まっていました。配給小麦の真っ白な袋には青のWFPのロゴ と文字、栄養価を高めた小麦であることが記載されていました。
その後訓練を終了した女性たちが集まって、フォローアップの訓練を受けてい る場所を見学したのですが、事業参加前の女性たちとは驚くほどに目の輝き、 肌のつや、着ているサリーの清潔さなど、見るからに美しさが違うのです。女 性たちは、2年間結婚等に関する法律、衛生管理、子供の育て方、病気に関す る知識など、よりよい生活を送るための様々なトレーニングを受けます。事業 に参加するなかで知識と自信を深めた女性たちは、私の質問にも躊躇せず、家 族の中で尊重されるようになった、夫にもっと愛されるようになった、と口々 に話してくれました。女性たちは、自分の人生を自ら改善する術を身につけて おり、ブラックの職業訓練、少額金融支援を受けて山羊や牛を飼ったり、自分 の店を出していたりしました。
あの女性たちの目の輝きや美しさ、あの日私が感じたことを、これからの自分 の仕事に活かしていきたいです。そして、あの日彼女たちが私のために祈って くれたように、すてきなパートナーを見つけて、もう一度彼女たちに会えたら な、と思います。
(外務省人道支援室/前在バングラデシュ日本大使館・河野秀美)
●本メールマガジンは、当地在留邦人の皆様及び希望者に送付しております。 本メールマガジンの配信開始・変更・中止のご希望がありましたら、編集部ま でご連絡いただければ幸いです。
●本メールマガジンに対するご意見・ご感想、日本・バングラデシュ間の各種 交流事業等今後掲載する記事・情報に関するご示唆等をお待ちしております。 また、本メールマガジンの特別寄稿を執筆頂ける方を(自薦・他薦とも)募集 しております。お気軽に編集部までご連絡いただければ幸いです。
●バックナンバーは次のウェブサイトにてご覧になれます。
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●編集部のメールアドレスは次の通りです(担当:飴谷)。
mail@embjp.accesstel.net
発行:在バングラデシュ日本国大使館
Embassy of Japan Plot#5&7 Dutabash Road Baridhara, Dhaka, Bangladesh
電話(880-2)881-0087
FAX(880-2)882-6737
http://www.bd.emb-japan.go.jp/
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