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日本語の最新号及びバックナンバー


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    日本・バングラデシュ交流メールマガジン(第26号・2005/2/11)
     ?日本とバングラデシュの橋渡しのために?
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□ 目次 □

【1】 堀口大使メッセージ「バングラデシュのフラワー・ビジネス」

【2】最近の日本・バングラデシュ関係

[これから]

●地球ラジオ・バングラデシュからの出演(2月12日・世界156カ国)
●南アジアの国際・現地NGOの役割と関係(2月11、12日・東京・名古屋)
●鳥インフルエンザ・ワークショップの開催(2月17日・ダッカ)
●母子保健産科救急システムに関する勉強会(2月19日・ダッカ)
●JUAAB主催ベンガル語スピーチ・歌謡コンテスト(2月19日・ダッカ)
●Discover Japan展(2月24日・ダッカ)
●空手ジャパンカップ(2月25日・ダッカ)
●盆栽専門家のバングラデシュ訪問(2月26日?3月2日・ダッカ)
●日本語スピーチコンテスト(3月19日・ダッカ)

[これまで]

●小規模水資源開発計画ワークショップ(2月9日・ダッカ)
●教育勉強会「学校運営」(2月9日・ダッカ)
●パドマ橋開発調査最終ワークショップ(2月2日・ダッカ)
●無償資金協力実施適正会議委員の訪問(1月29日?2月2日・ダッカ)
●開発援助勉強会「貧困削減戦略文書(PRSP)案」(2月1日・ダッカ)
●爆弾テロ事件に関する外務報道官談話(1月28日・東京)
●ポスターに見る日本展(1月18?31日・ダッカ)

[おしらせ]

●渡航情報(スポット情報)の発出(1月29日、2月2日)
●バングラデシュ現地ODAタスクフォースの年間日程
●留学生ホームページ「日本留学総合ガイド」のリニューアル
●2月20日は「旅券の日」

【3】特別寄稿「『男だてら』のお仕事!?」

(国連開発計画プログラム・オフィサー 安蔵弘志)

【4】バングラデシュ案内・第19回「メヘンディ(ヘナ)事情」


1】 堀口大使メッセージ「バングラデシュのフラワー・ビジネス」

先月初め、国会議事堂近くの広場で開催されたフラワー・ショーを見る機会が ありました。今回のフラワー・ショーは10回目になりますが、これまではダッカ国際 トレード・フェアーの一部として開催されていたものが、今回からは独立の展示会とし て開かれたものです。
展示会には54の企業、団体が出店し、会場には様々な種類のラン、バラ、ガーベラ、

ユリ、キク、カーネーション、観葉植物が展示されており、また、切り花の輸出に必要 な包装用カートンや、園芸用土壌、テラコッタなどのポット類も陳列されていました。 その中でとくに大きな関心を集めていたのは、「ティシュー・カルチャー」という植物の クローンを作るバイオ技術を活用して栽培された多くの珍しいランでした。

この新たな技術では、ランの5、6ミリ四方の葉片を、広口ビンの中で成長ホ ルモンと糖分などからなる培養液に浸けておくと、間もなく発芽し2週間ぐらいで5センチぐらいの苗木に成長します。それを取り出して土壌で培養すると 数ヶ月で立派なランに成長しますが、5センチの苗木を作るのに要する費用は 人件費、材料費などすべて含めて15タカに過ぎないのに、成長したランは300 タカから600タカで売れるのだそうです。

バングラデシュは、高温、多湿な風土が切り花、観葉植物の栽培に適している ことから近年その栽培と輸出に力を入れており、インド、パキスタン、サウジ ・アラビア、UAE、米、英、イタリアなどに輸出し、2003/2004年の輸出額は前 年比16%増の77万ドルになっています。従事者の一ヶ月当たり収入は6千タカになる由です。

当国の最大の課題である貧困削減に取り組む上で、全人口の7、8割が住む農 村の開発は大きなカギを握っています。しかも、コメなどの農作物の増産には 一定の限界があるため、農村の開発には商工業、とくにアグロ・インダスト リーの発展や非伝統的農産品の増産および新市場の開拓などが必要とされています。

その点で、切り花、観葉植物の栽培と輸出は大きな希望を与えるものです。と くに、今回の展示会で印象的であったのは、出店している企業、団体の多くが 若者が中心になっていることでした。また、出店している企業の中には、花や 観葉植物の栽培だけでなく、庭園造り、観葉植物のレンタル、種子販売、生け 花サービスを行っているところもありました。企業家精神溢れる若者達が、農 村の貧しい女性や身体障害者に雇用機会を与えながら、新たなセクターの発展 に取り組んでいる姿は大変心強いものがありました。

出店している企業の多くは種苗園がサバールにあるため、昨年7、8月の大洪 水と9月の記録的大雨によって壊滅的打撃を受けましたが、本年1月までのわ ずか数ヶ月間で、水害の影響を受けなかった地域やタイなどから植物や種子を 取り寄せ、「ティシュー・カルチャー」も活用しつつ大車輪で栽培し、今回の フラワー・ショーに間に合わせた由でした。彼らの回復力(レジリエンス)に も多いに感心させられました。


【2】最近の日本・バングラデシュ関係

[これから]

● 地球ラジオ・バングラデシュからの出演(2月12日・世界156カ国)

2月12日(土)、バングラデシュ時間で午後2時5分(日本時間で午後5時5 分)から1時間のNHK「地球ラジオ」で、ダッカ大学現代語学研究所日本語 コース非常勤講師、大使館留学アドバイザーとして働き、1人息子の教育にも 奔走中のラハマン多美恵さんが、バングラデシュの学歴社会に関する電話イン タビュー出演します(出演は午後2時20分頃からの5分程度)。皆様、是非お 聞き下さい。 「地球ラジオ」は毎週土曜日・日曜日の夕方、世界各地にお住まいの在留邦人 の方々と連絡を取り合いながら、それぞれ国の最近の様子や話題になっている ことなど、様々な情報を伝えている世界156カ国同時生放送のラジオ番組で す。海外ではNHKワールド・ラジオ日本(短波・南アジアの周波数は15590)、 日本国内ではラジオ第1放送を通して放送されています。詳細はウェブサイト でご確認下さい。

http://www.nhk.or.jp/gr/

●南アジアの国際・現地NGOの役割と関係(2月11、12日・東京・名古屋)

2月11日(金)の午後1時半?4時にJICA 国際協力総合研究所国際会議場に て、2月12日(土)の午後3時半?6時にあいち国際プラザアイリスルームにて、 「南アジアにおける国際NGOと現地NGOの役割と関係」と題してオープン参加型のディス カッション・フォーラムが開催されます。当日は、現地NGOが活発に活動し、現地の開発 に需要な役割を担う傾向にある南アジアで、国際NGOが何を求められているのかについて、 バングラデシュ、インド、ネパールからのゲスト他とともに議論が行われます。参加申し 込み・お問い合せは、NGO シャプラニールの筒井氏まで御願い致します。

tsutsui@shaplaneer.org
詳細はウェブサイトをご覧ください。
http://www.shaplaneer.org/event/top.htm#disc_tokyo

●鳥インフルエンザ・ワークショップの開催(2月17日・ダッカ)

2月17日、ショナルガオンホテルにおいて、バングラデシュ畜産試験場 (BLRI)とJICAの共催による鳥インフルエンザ・ワークショップ「Development and Preventive Measures of Highly Pathogenic Avian Influenza (HPAI) in Poultry」が開催されます。本ワークショップでは北里大学家禽疾病研究室 の竹原助教授が鳥インフルエンザの迅速診断、早期対応に関わるプレゼンテー ションが行われます。出席を希望される方はJICA橋本専門家(BLRI)までご連絡頂けま すようお願い致します(電話:02-770-8102、電子メール:hisanori@citechco.net )。

●母子保健産科救急システムに関する勉強会(2月19日・ダッカ)

2月19日(土)午後1時?3時まで、ダッカ市内アジムプールの母子保健研修所にて、 母子保健研究所産科課長を講師にバングラデシュの母子保健における産科救急システム に関する勉強会を開催致します。当日はバングラデシュの女性を取り巻く環境、母子保 健研修所の役割等の説明を行う他、母子保健研修所の見学を実施します。当日の使用言 語は英語又はベンガル語です。参加を希望される方は、2月17日(木)までにJICA母子 保健専門家・村上氏までご連絡頂けますよう宜しく御願い致します。

izumi@dhaka.net
http://www.bd.emb-japan.go.jp/jp/bdmodel/050219flyer.html

●JUAAB主催ベンガル語スピーチ・歌謡コンテスト(2月19日・ダッカ)

2月19日(土)、午後4時よりダッカ大学TSC講堂にて、21日の言語運動殉死 者追悼の日及び世界母国語デーを記念して、バングラデシュ日本留学同窓生協 会(JUAAB)主催ベンガル語スピーチ・歌謡コンテストが開催されます。問い 合わせ又は参加を希望される方は、まだまだ受け付けておりますので、大使館 河野(電話:881-0087内線151)までご連絡頂ければ幸いです。 また、コンテスト終了後に、楽器演奏、舞踊などを披露して頂ける個人または グループも募集しております。お誘い合わせのうえ是非ご参加下さい。当日の プログラム全体は衛星放送局Channel-Iでテレビ放映される予定です。

●Discover Japan展(2月24日・ダッカ)

2月24日(木)午前10時より、ダッカ市中央図書館にて、ダッカ日本語教室及 びバング ラデシュ日本青年友好協会、大使館の共催で「Discover Japan」と題する日本関連の展示会 を開催致します。当日は盆栽、生け花、折り紙、日本人形、日本の書籍・ポスターなどの展示 ・紹介、柔道・空手のデモンストレーション、日本最新事情・日本文化に関するドキュメンタ リー番組の放映、日本留学相談等多彩なプログラムが企画されています。皆様、バングラデシ ュのご友人他とお誘い合わせのうえ、ご来場下さい。

●空手ジャパンカップ(2月25日・ダッカ)

2月25日(金)、ミルプール・インドア・スタジアムにて、空手ジャパンカッ プが開催される予定です。詳細は追って連絡させて頂きます。

●盆栽専門家のバングラデシュ訪問(2月26日?3月2日・ダッカ)

2月26日(土)?3月2日(水)まで、(財)日本盆栽協会の中村享専門家が 日本文化・盆栽の普及活動のため、国際交流基金より派遣されます。専門家の 滞在中に、ダッカ市内セグンバギチャのシルポコラ・アカデミー内国立音楽・ 舞踊センターにて、盆栽ワークショップ、盆栽レクチャー・デモンストレー ション、バングラデシュ盆栽協会会員による盆栽展が開催される予定です。詳 細は追って連絡させて頂きます。

●日本語スピーチコンテスト(3月18日・ダッカ)

3月19日(金)午後3時から、ダッカ日本語教室及びダッカ大学現代語学研究所日本語 コースの共催により、日本語スピーチコンテストが開催されます。会場その他詳細は追っ て連絡させて頂きます。

[これまで]

●小規模水資源開発計画ワークショップ(2月9日・ダッカ)

2月9日、地方自治農村開発協同組合省にて、LGED,JICA主催の大マイメンシ ン圏小規模水資源開発計画調査中間ワーショップが開催され、中間報告および 6月上旬に作成予定の県レベルのマスタープラン(案)に関する意見交換が関 係省庁、他ドナーとの間で行われました。ジアウル・ホック・ジア担当大臣、 天田JBIC首席駐在員、新井JICA所長、宇喜多臨時代理大使他約100名の関係省庁、他ド ナーが参加しました。宇喜多臨時代理大使は以下のスピーチを行いました。

http://www.emb-japan.go.jp/en/embassy/speeches/cdr02sp_water020905.html

●教育勉強会「学校運営」(2月9日・ダッカ)

2月9日、大使館にて、NGO国際エンゼル教会バングラデシュ事務所代表の小 川氏を講師に迎え、「私たちの新しい国際協力の試み?私立学校、百合子エン ゼルスクールの開設と運営?」と題し、「学校運営」という切り口での国際協 力に関する勉強会が20名以上の出席者を得て開催されました。

http://www.bd.emb-japan.go.jp/jp/bdmodel/050209flyer.html
百合子エンゼルスクールの様子等に関しては以下のウェブサイトをご覧下さ い。

(百合子エンゼルスクールの開校式2005年1月16日)
http://www.angel-ngo.gr.jp/topics/2005_01_28.htm

(極彩色のバングラデシュ写真館!)
http://www.geocities.co.jp/SilkRoad-Forest/6912/index.htm

●パドマ橋開発調査最終ワークショップ(2月2日・ダッカ)

2月2日、ショナルガオンホテルにて、JICA主催のパドマ橋開発調査最終ワー クショップが開催され、パドマ橋の建設が調査により可能であることを確認す る発表が行われました。フダ運輸大臣、新井JICA所長、宇喜多臨時代理大使他関係者 多数が参加しました。宇喜多臨時代理大使は以下のスピーチを行いました。

http://www.emb-japan.go.jp/en/embassy/speeches/cdr01sp_padma020205.html

●無償資金協力実施適正会議委員の訪問(1月29日?2月2日・ダッカ)

1月29日?2月2日まで、日本がこれまでに援助した無償資金協力案件を視察の上、 関係諸機関と意見交換を行い、無償資金協力への理解を深めることを目的として、無償 資金協力実施適正会議の委員である、西川(財)公会計研究協会会長、敷田アジア刑政財団 理事長、脊戸学校法人文際学園日本外国語専門学校副会長3名他が当地を訪問しました。 委員はナラヤンガンジ・ナルシンジ灌漑施設、ダッカ・チッタゴン間幹線道路 中小橋梁建設計画及びメグナ・メグナグムティ橋、母子保健研修改善計画、 ダッカ雨水排水施設改善計画、ガジプール県のユニセフ IDEALプロジェクト 等を視察し、JICA、JBIC、NGO、当地政府、大使館関係者との意見交換を行い ました。

●開発援助勉強会「貧困削減戦略文書(PRSP)案」(2月1日・ダッカ)

2月1日、「我が国の対バングラデシュ支援のあり方を考える?貧困削減戦略 文書(PRSP)案を中心に?」と題して第24回開発援助勉強会を開催しました。 萩原JICA企画調査員による発表に引き続き、出席者間で「選択と集中が必 要」、「インフラ・成長と社会開発のどちらが大事か」、「ハードとソフトの 組み合わせこそ重要」、「相互理解・文化交流も有意義」、「所得格差の拡大 にどう取り組むか」、「ガバナンス改善に向けての関与こそ課題」、「日本の 援助は質の改善に取り組むべき」といった活発な議論が行われました。 勉強会の様子(写真)、議事録、パワーポイント資料、PRSP政府案の一枚紙は 次のウェブサイトに掲載されています。

http://www.bd.emb-japan.go.jp/jp/bdmodel/050201minutes.html
1月12日付PRSP政府案"Unlocking the Potential - National Strategy for

Accelerated Poverty Reduction"(1.33MB/PDF)もウェブで入手できます。
http://www.lcgbangladesh.org/prsp/PRSP-First%20Draft%2012%20Jan%202005.pdf

●爆弾テロ事件に関する外務報道官談話(1月28日・東京)

1月27日にハビガンジ県で発生した、野党アワミ連盟の政治集会における爆弾テロ事件の 発生を受けて、高島外務報道官は、事件の発生に対し、強い憤りの念と哀悼の意を表すると ともに、バングラデシュ政府に対して今回のテロ事件を含む一連のテロ事件の迅速な真相究明 を強く求め、あらゆる形態のテロリズムを断固非難するとの談話を発表しました。

http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/danwa/17/dga_0128.html

●ポスターに見る日本展(1月18?31日・ダッカ)

1月18?31日まで国立博物館1階小ホールにて、現代日本のグラフィックデザイナーのポスター 作品75点を通して、現代日本の姿を映し出す展覧会「Discover Japan throughContemporary Posters」が開催されました。 [おしらせ]

●渡航情報(スポット情報)の発出(1月29日、2月2日)

1月27日、野党アワミ連盟の集会で手榴弾が爆発し、アワミ連盟国会議員のキブリア前蔵相 を含む5人が死亡、約70名が死亡した事件を受けて、外務省は以下の渡航情報(スポット情報 )を発出しています。

http://www.pubanzen.mofa.go.jp/info/info4.asp?id=012#header
http://www.pubanzen.mofa.go.jp/info/spot_top5.asp?id=012&num=2

バングラデシュに渡航及び滞在される方は、報道等で最新の情報収集に努め、集会、デモ等多数の人が集まる場所に近づかない等、不測の事態に巻き込まれ ることのないよう安全対策 心がけ、慎重に行動して下さい。また、大使館邦 人安全情報もご覧ください。

http://www.bd.emb-japan.go.jp/jp/safety/hortalzouhou.html

●バングラデシュ現地ODAタスクフォースの年間日程

バングラデシュ現地ODAタスクフォース(バングラデシュ・モデル)では、先 般年間日程を改訂しました。大使館・JICA・JBIC・JETROの年間日程を統合 し、縦軸に1?12月を、横軸に「バングラデシュ政府日程」「バングラモデル 全般日程」「セクター」「国別援助計画」「PRSP/援助協調」「広報」を置い て、エクセルファイルにしたものです。今後とも随時改訂し、ウェブに掲載し ていきます。

http://www.bd.emb-japan.go.jp/jp/bdmodel/xls/annualplan2005a.xls

●留学生ホームページ「日本留学総合ガイド」のリニューアル

外務省が運営している日本留学に関するホームページ「日本留学総合ガイド」 の内容が更新されるとともに、日本語、英語、中国語に加え、韓国語ページが 立ち上がりましたので、ご友人への情報提供等にご活用下さい。

http://www.studyjapan.go.jp/jp/index.html

●2月20日は旅券の日

2月20日の「旅券の日」を記念して、2月から3月の1ヶ月間、全国の都道府県旅券 事務所において、旅券及びその管理の重要性に対する意識の向上、旅券の紛失・盗難に 対する注意を呼びかけるキャンペーンが行われています。


【3】特別寄稿「『男だてら』のお仕事!?」

(国連開発計画プログラム・オフィサー 安蔵弘志)
バングラデシュには農業、教育、運輸、ガバナンスからNGOまで、部門別・セ クター別のドナー調整会合(Local Consultative Group: LCG)のサブ・グルー プが23あります。私も担当分野の会合に定期的に出席していますが、約二十数名が 参加する毎回の会合で、男性の出席者が私ただ一人であることがあまりにも多いのです。 このグループ、名称をLCG-WAGE (Women's Advancement and Gender Equality「女性の進出とジェンダー平等」)といいます。

「ジェンダー平等」は簡単に言えば「男女平等」ですが、これは『どうして女 だけが子供を産まなきゃならないの』といった変えることのできない生物学的 性差に対してではなく、『どうして女にばかり育児をさせるの』といった、社 会の中で何となく、あるいは当然の如く「そうなってしまっている不平等」、 社会的性差に根ざした不平等に対して応えていく、という意味での「男女平 等」です。

育児や家事労働のみならず、就職・就労における不平等、あるいは国や組織の 政策・運営等の上位レベルでの意思決定への参画など、男女不平等はいたると ころにあるのは周知のとおりです。一般的には女性が被抑圧者としてジェン ダーは論じられ、事実、どの国でも程度の差はあってもそれが確認できるで しょう。

しかしそう単純でもありません。「保守的」な女性が「進歩的」な女性の足を 引っ張ることもあるでしょうし、主夫になりたい男性がいても親が世間が社会 が『ひもじゃあるまいし』などと、それをよしとしない風潮もあるでしょう。 これらも『男はこうあるべき。女はこうあるべき。』といった社会的な『男女 という制度』に根ざしたジェンダー問題といえるのです。

バングラデシュの場合、ジェンダー格差は顕著です。生物学的に女性の方が平 均寿命も長く、人口も若干多いはずなのに、つい最近までこれが男女逆転して いたという事実があります。女性が長時間の家事労働や農作業で一日中働きず くめでも、「当たり前のこと」として家庭への貢献が認知されないというのは よく聞く話です。また、婚姻・離婚や家計に対する意思決定権を持たず、ダウ リ(婚姻時の持参金)が少ないという理由から夫あるいは夫の家族から暴力や いじめを受ける場合も多く、時には殺人にまで発展することもあります。

仕事の斡旋にのって故郷を離れてみたら、国内外の性産業に「売り払われる」 こともあり、悪い噂が故郷に流れて二度と帰ることもできない女性が多くいま す。教育の機会も、病気や怪我の治療の機会も男子優先の社会においては常に 後回しになり、働きに出ることはもとより、家から離れることも歓迎されませ ん。使用人を雇える中間・富裕層や都市部での状況は、随分と違ったものにな るでしょうが、特に人口の多数を占める農村部の貧困層での問題は深刻です。

私はバングラデシュのUNDP(国連開発計画)において、ストリート・チルドレ ンや娼婦を対象とした社会開発プロジェクトや、女性企業家支援や女性を対象 とした職業訓練、ジェンダー主流化に関わるプロジェクトなどを3年間担当し てまいりました。UNDPでは相手国政府(ここではバングラデシュ政府)の主体 性を重んじ、組織的な業務実施能力の向上に貢献すべく活動しておりますが、 これは「言うは易し」というのも事実です。

ジェンダーに関して言えば、当国政府官僚の圧倒的多数が男性で、ジェンダー 格差が問題として認識さえされていないという状況が多く見られます。それど ころか、『ジェンダーの問題なんて、この国に無いじゃないか。』とか、『首 相も二大政党の党首も女性なんだから、バングラデシュは十分進んでいる。』 と言い切られる場面にもたびたび遭遇すると、『いったいどこから初めりゃい いんだ。』という気分になるものです。

男性がジェンダーを担当するのは、日本のみならず世界中で稀有なことのよう で、中にはいるのでしょうが、いまだ他に男性のジェンダー専門家や担当者に さえ会ったことがありません。ジェンダーに興味を持つ男性がそもそもいない のか、『ジェンダーくらいはやはり女性を多く登用しないと』という考えから なのか、『女のことは女に任せてあとは知らんぷり』なのか、あるいはこれら すべてが事実なのか、冒頭で述べた通りジェンダーのドナー調整会合は女性ば かりということになります。

ジェンダー格差に無頓着どころか、男性優位社会を擁護してはばからない男性 官僚集団と、ジェンダー格差を自らも体験しながら認識しているがゆえに、ど うにか格差是正に貢献したいと考え行動する女性ばかりの専門家・担当者集団 によって構成された「ジェンダーと開発」の分野。なんだか変な世界なのです が、このような環境の中では、私は「『男だてら』にジェンダーを担当する 奴」ということになってしまうのですが、果たしてこれでいいのか疑問を感じ ます。

ジェンダー格差是正の目的において、男性を「女性の敵」とか「女性の不理解 者」と捉えて敵対する必要は全く無く、むしろ「見方」なり「パートナー」と して、じっくり時間をかけて「育てていく」必要があるように思います。「北 風」ではなく「太陽」になる必要があるのではないでしょうか。

さて、あなたは男性である私の上記文章に対してどのように思われたでしょう か。そして想像してみてください。もしこの書き手が女性だったら。印象が結 構違ったりしませんか?誰でも性差に対する偏見は無意識のうちにも持っているのです。 非常に時間はかかるかも知れませんが、ゆっくり確実に「男性にも女性にも住みやすい社会」 を実現していけたら、と願っています。


【4】バングラデシュ案内(第19回)「メヘンディ(ヘナ)事情」

先月、ダッカ市の文化財や文化を保全する活動を行う「ダッカバシ(ベンガル 語でダッカに長く住んでいる人の意味)」という文化団体が主催した「メヘン ディ」を用いたボディメイクのデザインを競う大会に参加(メイクをしても らったのみ)してきました。

「メヘンディ」はピンク、赤や白の小さな花を咲かせ、庭の生け垣などにもよ く使われる木で、この木の葉は古くから染色剤や薬として用いられてきまし た。今、中東を含む、インド亜大陸等で広く行われているのが、この木の葉を ペースト状にしたもので掌や足の甲などに様々なデザインを描いて乾かし、手 に濃い赤茶・オレンジ色の文様を残す独特の化粧や、髪の育毛・増毛及び染色 です。

バングラデシュではイード(イスラム教の祝祭)やプジャ(ヒンドゥー教の祝 祭)のみならず様々なお祭りや行事の前にメヘンディで掌や足を飾ります。結婚式はその最たるもので、その時ばかりは花嫁だけでなく、花婿にもメヘン ディが施されます。特に花嫁のメヘンディは見事なもので、個人の好みもあり ますが通常、掌と肘の間から指先まで、びっしりと細かい図柄が描かれます。 足も同様で、出来上がりはまるでレースの靴下をはいたようです。

女性はみんなメヘンディが大好き。メヘンディを載せると、ペーストが乾くま で少なくとも1、2時間はじっと待たなければなりませんが、その間のおしゃべりも格別のようです。皆の心にはメヘンディと家族や友人との楽しいひとと きが結びついているのだと思います。

でも、結婚式を迎える花嫁には別のプレッシャーがあります。このメヘンディ の色が鮮やかに、濃く出れば出る程、舅の家で皆に可愛がられる、幸せになれ ると言われているからです。ペーストで絵を描いた後何度もレモン汁に砂糖を 混ぜたジュースやオイルなどをつけ、何時間も絵が崩れないように気を付けて 過ごします。人によっては、寝るときもそのままにして寝たりします。凄い忍 耐力です。頑張った花嫁の、からからに乾いたペーストを取り除くと、そこに は赤黒い文様がくっきりと浮かび上がります。

また、メヘンディは、黒々と艶がある豊かな黒髪を大切にするこの地域の女性 達にとってはトリートメント、毛染め、育毛剤としても用いられます。この用 途では、男性にも広く用いられていて、町にいるやたら髪が赤い男の人はメヘ ンディで染めているのです。

この場合の使用方法は人によって様々ですが、達成したい目的に応じて、粉状 のメヘンディに紅茶、コーヒー、レモン汁等を混ぜてペーストにし、そのペー ストを1晩ほど冷蔵庫などで寝かせて、それを髪になじませて数時間おいてか ら洗い流します。私も以前、髪の毛を増やそうと試してみたのですが、手間の かかる割に効果は(?)でした。

メヘンディを用いたボディメイク(100タカ?(1タカ@2円))、ヘアト リートメント(300タカ?)などは町中の美容院などで手軽に体験できます。 自分で掌などに絵を描いてみたい、という方には、チューブ入りペーストで後 はデザインするだけという便利ものが30タカで販売されています。何れも、少なくとも 2時間程度はじっと待つ必要があるのですが。皆様も一度試してみませんか。

(大使館広報文化班・河野秀美)


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