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日本語の最新号及びバックナンバー

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日本・バングラデシュ交流メールマガジン(第21号・2004/11/25)
        日本とバングラデシュの橋渡しのために

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□ 目次 □

【1】堀口大使メッセージ「スリランカとバングラデシュ」

【2】最近の日本・バングラデシュ関係

[これから]
●JICA・ANN共催ワークショップ(11月28日・ダッカ)
●南アジア5カ国演劇コラボレーション(11月下旬から・東京他)
●堀口大使講演会(12月2日・ダッカ)

[これまで]
●JBCCIと大使館の意見交換会(11月25日・ダッカ)
●「和太鼓はぐるま」公演(11月23日・ダッカ)
●日・世銀共同開発セミナー(11月22日・ダッカ/東京)
●外務省「ODA総合戦略会議」第18回会合(11月8日・東京)
●FASID・外務省共催国際シンポジウム(11月5日・東京)


【3】特別寄稿「旭日双光章を受章して」
(AOTSバングラデシュ・ネパール連絡代表、AOTSニューデリー事務所顧問 アジア文化会館同窓会会長 モアゼム・フセイン氏)

【4】日・世銀共同セミナーでの堀口大使プレゼンテーション(11月22日)
「我が国の対バングラデシュ開発援助の次なる展開」


【1】堀口大使メッセージ「スリランカとバングラデシュ」

イードの休暇を利用してスリランカに行ってみました。

一番印象深かったことは、紀元前5世紀にベンガルから渡った王子によって開 かれたシンハラ王朝が、インドからパーク海峡を越えてやってくるタミール人 の攻撃を受けて、何度か遷都を強いられながらも、1815年英国に滅ぼされるま で綿々と続いたという説明でした。

本当かなと思いましたが、ダッカに住む何人かのスリランカ人に尋ねたら皆そ う信じているそうです。

ダッカから訪れた旅行者が気が付くのは、第一に人の少なさです。スリランカ の人口は二千万、首都コロンボは百万、国土はバングラデシュの三分の一余り ということですから当然ではあります。

第二は街にリキシャがないことで、乗用車もバスも人口比以上に少ないように 見受けられました。

第三は極端に貧しい人が殆ど見られないことで、貧しい層の人々も識字率の高 さを感じさせ、表情も穏やかな印象を受けました。

そして、第四は道路のゴミが目立って少ないことです。首都コロンボだけでな く地方を旅行したときも、人々が家の周囲を掃いているのをよく見かけました が、箒を売っている店の多さにも感心しました。

ただし、コロンボの街がきれいになったのはここ数年のことだそうで、もしそ うならいかなる政策、キャンペーンによって可能になったのかが分かれば、現 在ダッカ市の廃棄物処理についてマスタープランを作っているJICAの専門家に も参考になるので、現在スリランカの日本大使館に調査をお願いしています。

スリランカはさらに、シンハラ王朝の人々が遷都する先々で残した立派な仏教 建築や彫刻、巨大な岩山や美しい海岸の自然美など観光資源が豊富で、ダイヤ 以外の宝石は何でもあるという豊かな資源とともに、バングラデシュにない大 きな利点があります。

他方、バングラデシュにはガス以外これといった資源のない代わりに、勤勉で 進取の気性に富んだ人々、企業家精神と国際的センスを持った企業家群、高い 英語力を持ったエリート層、さらに色彩感覚に優れた芸術家などがいます。

また、タミール・タイガーなど、人種的理由から分離独立を求めて武力闘争を するグループを抱えていないことは、スリランカにない大きな強みです。

バングラデシュがガバナンスを改善し、政党間のいさかいを克服し、教育に力 を入れて経済発展に力を集中できれば、短期間にLDCを卒業し、中進国入りす ることは疑いありません。

両国の共通点としては対印関係の難しさが挙げられます。バングラデシュでは インドの国際河川連結計画が大きな問題となっていますが、スリランカでも、 インドがパーク海峡の浅い水域に30キロの海運用の澪を掘る計画を、スリラン カとの協議なしに進めようとしていることが心配されています。

この深い澪を掘るとベンガル湾の潮流が変わり、海の生態も変わって多くの漁 民が職を失い、パーク海峡に点在する85もの島々が水没しかねないと指摘され ています。大国インドに、いかにすれば隣接国の利害を尊重して貰えるかが両 国共通の課題であり、何とか良い知恵が出てくることを祈っています。


【2】最近の日本・バングラデシュ関係

[これから]
●JICA/AAN移動砒素センタープロジェクト最終セミナー(11月28日・ダッカ)

11月28日(日)10時より、JICAとアジア砒素ネットワークによる移動砒素セン ター・プロジェクトの最終セミナーがシェラトンホテルで開催されます。

2002年1月から開始された本プロジェクトは、本年12月の協力期間終了までの 間に、住民への啓蒙活動、住民を取り込んだ代替水源の設置と維持管理手法、 砒素中毒患者の特定等、現地住民の視点に立った協力を展開してきました。

本セミナーは、未だ試行錯誤の取り組みが続く砒素対策の中で、本プロジェク トから学んだ知見及び課題を、バングラデシュ政府及びドナーへの提言及び教 訓として残すべく、幅広い関係者を招待して開催されるものです。

なお、本セミナーには、ブイヤン地方自治農村開発共同組合省大臣、堀口大使 等、ハイレベルが参加する予定です。

(JICAバングラデシュ事務所のウェブサイト)
http://www.jica.go.jp/bangladesh/index.html
(AANのウェブサイト)
http://www.asia-arsenic.jp

●南アジア5カ国演劇コラボレーション(11月下旬から・東京他)

11月25日(木)?27日(土)に東京、12月1日(水)・2日(木)に京都、 2005年1月6日(木)・7日(金)にインドのデリーにて、壮大な旅の果てに
ムガル帝国を開いたバーブルの回想録をテーマに、バングラデシュ、インド、 スリランカ、ネパール、パキスタンの気鋭の演出家、俳優、ダンサー、音楽 家、映画作家が合同作品を発表します。
http://www.jpf.go.jp/j/culture_j/news/0409/09-02.html

●堀口大使講演会(12月2日・ダッカ)

12月2日(木)午後5時から、グルシャンのLake Shore Hotelにて、堀口大使 による講演会を開催いたします。日・バングラデシュ政治、経済関係のみなら ず、バングラデシュ政治情勢の動向、治安・安全対策、文化交流等、幅広くお 話をさせて頂く予定です。皆様お誘い合わせの上、ふるってご参加下さい。

【Lake Shore Hotel】
住所:Road 41, House No.46, Gulshan 2
電話番号:885-9991, 886-1787

[これまで]

●JBCCIと大使館の意見交換会(11月25日・ダッカ)

11月25日、日本・バングラデシュ商工会議所(JBCCI)と大使館との間で意見 交換会が開催されました。約35名の参加者を得て、ビジネス環境の改善や日本 のODAの活用について様々な要望・提案が出されました。JBCCIのウェブサイト は次の通りです。
http://www.jetro.go.jp/bangladesh/eng/jbcci/index.html

●「和太鼓はぐるま」公演(11月23日・ダッカ)

日本大使館とシルポカラ・アカデミーとの共催で、11月23日、オスマニホール にて和太鼓「はぐるま」の公演が行われました。会場には700名が集まる大盛 況となり、迫力のある素晴らしい演奏に対し惜しみない賞賛が寄せられまし た。

●日・世銀共同セミナー(11月22日・ダッカ、東京)

11月22日、日本の国際協力50周年を記念して、日本大使館と世界銀行ダッカお よび東京事務所の共催により、「バングラデシュの更なる発展を求めて?開発 パートナーの役割を考える?」と題し、ダッカと東京会場をテレビ会議システ ムで接続してセミナーが開催されました。東京で約70名、ダッカで約60名の参 加の下、世銀、バングラデシュ政府、NGO、日本政府、日本のバングラデシュ 経済研究者の多様な視点からのプレゼンテーション、コメントが出され、引き 続き会場の参加者を含めての活発な質疑応答・議論が行われました。各プレゼ ンテーション資料、テキスト等は下記のページに掲載しています。
http://www.bd.emb-japan.go.jp/jp/bdmodel/041122jwbseminar.html

また堀口大使のプレゼンテーション「我が国の対バングラデシュ開発援助の次 なる展開」は、本メルマガの最後に掲載しましたのでどうぞご覧ください。

●外務省「ODA総合戦略会議」第18回会合(11月8日・東京)

11月8日、東京で外務省「ODA総合戦略会議」第18回会合が開催され、対バン グラデシュ国別援助計画の改定作業方針案および骨子案の報告が山形辰史国別 援助計画東京タスクフォース主査より行われました。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/kaikaku/kondankai/senryaku/18_shiryo/shiryo_3.html

なお、現在、本件に対するパブリックコメントを受け付けておりますので、ご 意見などございましたら、当館経済協力班までお気軽にお寄せ下さい。
masahiko.kiya@mofa.go.jp

●FASID・外務省共催国際シンポジウム(11月5日・東京)

11月5日に東京で開催されたFASID・外務省共催国際シンポジウム「日本のODA
:課題と展望/日本の新しい援助のあり方を求めて」で、シディキ前ダッカ交
通調整局長官が以下のプレゼンテーションを行いました。

プレゼンテーション資料
http://www.bd.emb-japan.go.jp/jp/bdmodel/pdf/041105shiddiquefasid ppt.pdf
席上配布資料
http://www.bd.emb-japan.go.jp/jp/bdmodel/doc/041105 siddique fasid.doc
概要
http://www.bd.emb-japan.go.jp/jp/bdmodel/doc/041105siddiquefasidsummary.doc


【3】特別寄稿「旭日双光章を受章して」
(AOTSバングラデシュ・ネパール連絡代表、AOTSニューデリー事務所顧問 アジア文化会館同窓会会長 モアゼム・フセイン氏)

(11月9日、モアゼム・フセイン氏は、日本とバングラデシュ間の友好親善を 促進した貢献により、東京にて旭日双光章を受章され、本25日、フセイン氏の 叙勲を祝してレセプションが開催されました。

フセイン氏は文部省留学生として東京大学で博士号を取得後、バングラデシュ に戻り、母国バングラデシュと日本との交流・相互理解促進を目的として、日 本で留学や研修をした同窓を組織化して生け花・日本語教室を立ち上げた事を はじめとして、様々な日本関係の団体の活動に従事してきました。

日本人の奥様との間には2人のお子さんがあり、私生活でも2つの文化の交流 を更に深めていらっしゃいます。)

日本で学生として過ごした10年と、その後の職業人としての33年の計43年間に 亘って、私は自分なりのやり方で協力可能な分野で母国バングラデシュと日本 の間に一層強い絆を築こうと努力してきました。

特に海外技術者研修協会(AOTS)は、そのための格好の場を提供してくれまし た。アジア文化会館同窓会、AOTS同窓会の会長として、また16年間に亘って務 めたAOTSダッカ事務所長として、私は自然とバングラデシュと日本の友好親善 の促進に焦点を当てて活動する事になりました。

私がバングラデシュと日本との間の絆を強める上で果たした貢献の多くはAOTS を通してこそ可能となりましたので、私はAOTSにとても感謝しています。ま た、バングラデシュ日本協会、バングラデシュ日本留学生会(JUAAB)、日本 ・バングラデシュ商工会議所(JBCCI)、JETROダッカ事務所もまた、私に重要 な役割を与えてくれました。

バングラデシュと日本の友好親善促進のための私のささやかな貢献に対して、 日本政府より旭日双光章を頂きました。叙勲式は11月9日に東京の外務本省に て行われ、引き続き皇居にて天皇陛下への謁見を賜りました。私と妻の営子に とっては素晴らしい経験となりました。

今回の叙勲は、堀口大使の強い推薦があってこそ可能となったものですので、 私は日本政府に対してのみならず、堀口大使に対しても深い感謝の念を表した いと思います。しかしながらこの名誉は私1人のものではなく、これまで私を 支え、仕事を与えてくれた全ての組織、友人、そして私の祖国バングラデシュ のものです。

私が前に申し上げたとおり、AOTSは私の人生から切り離せないものです。私と AOTSとの関わりは40年以上前に始まりました。私を育ててくれた人生の師で ある二人の人物は、AOTSの創始者である故穂積先生、そしてその後継者の山本 氏です。

東京大学で私に造船・溶接構造の破壊力学を教えて下さった教授のお陰で私は 母国や外国で大学教授として生活の糧を得る事が出来ました。しかしAOTSの二 人の人生の師は、私にもっと他の極めて重要なこと、即ち人道主義・平和的共 存のための相互協力、互恵的な対等のパートナーシップ等を教えてくれたので す。

これは、私がこの世界の市民として責任を果たすために欠くことのできない要 素となりました。ですから私は、大学での先生方以外に、AOTSの素晴らしいお 二人の人物から受けた大きなご恩を決して忘れることはありません。

私がAOTSから受けたもう一つの重要な恩恵は、皆さんそれが何か分かりますか ?AOTSは私に営子という、素晴らしい人生の伴侶を与えてくれ、私達は既に3 6年間、平和な結婚生活を過ごしてきました。彼女は私のインスピレーション のもとであり続けているばかりではなく、二人の息子RobinとJiroを授けてく れ、私を父親にしてくれました。

営子と私は、3Aコーポレーションの小川氏と、元朝日新聞記者の久保田教授 にも感謝しなければなりません。彼らは「アジアン・パートナー」、「頼もし
いアジアの友人達」という本を通して、私達を日本ばかりでなく海外でも広く 紹介して下さいました。

最後に私は東京大学の先輩・学友、AOTSの同僚や先輩、アジア文化会館同窓 会、AOTS同窓会、JUAAB、JBCCI、JETROの友人たち、そして堀口大使を初めと する大使館の皆さん、私を人生の様々な局面で支えてくれた皆様に感謝を表し たいと思います。

この勲章を頂き、私はまだやり終えていない仕事や新たな責任を果たすべく、 更に邁進して行く所存です。引き続き、皆様のご支援とご協力を宜しくお願い 致します。


【4】日・世銀共同セミナーでの堀口大使プレゼンテーション(11月22日) 「我が国の対バングラデシュ開発援助の次なる展開」

東京とダッカにご来場のパネリストと出席者の皆様

本日は、このセミナーのパネリストの一人として出席し、バングラデシュの開 発の可能性と課題について議論する機会をいただき、大変嬉しく思います。我 が国は、最大の二国間援助供与国として、長年に亘りこの国の開発努力を支援 してきました。この経験を踏まえ、我が国がこの国の開発上の課題をどのよう に捉え、また我が国がバングラデシュや他の開発パートナーと協力しながら如 何なる独自の貢献ができるのかについて、お話ししたいと思います。

まず、我が国が何故バングラデシュの開発努力を支援するのか、そして我が国 の支援がこの国に如何に貢献したかについて、手短にご説明します。これを踏 まえ、現在バングラデシュが抱える課題について私が理解するところを述べる とともに、その課題に対して我が国が如何なる分野で如何なる対応ができるの かについて述べたいと思います。更に、開発パートナーシップの様々な局面の 中で、我が国が今後如何なる役割を果たすのかを考えます。最後に、現在改定 作業中の対バングラデシュ国別援助計画に触れたいと思います。

1. バングラデシュと日本

バングラデシュは、独立以来一貫して、我が国と極めて友好的な関係を維持し てきました。我が国は、バングラデシュの独立を他国に先駆けて承認した国の 一つであり、バングラデシュ国民が最も困難な時期に支援を行ってきました。 バングラデシュはアジアの最貧国のひとつであり、開発実現に向けて大変な努 力を行っていることから、同じアジアの一国として我が国は深く共感し、その 努力を進んで支援しています。また、バングラデシュの開発を推進すること は、ミレニアム開発目標(MDGs)に示されたグローバルな目標達成にも貢献する ものです。

バングラデシュは、南アジア、イスラム世界、そして国際会議の場において主 要な役割を果たしており、我が国にとって重要な国です。また、バングラデ シュは、将来に向けての我が国の良き貿易・投資パートナーでもあります。

2. 我が国の貢献を振り返って

このような背景のもと、我が国はバングラデシュの開発を長きに亘り支援し、 多くの具体的な成果を上げてきました。

最も目に見える支援は、大規模インフラです。我が国は、交通網の構築を支援 してきましたが、その中にはメグナ橋、メグナ・グムティ橋、ジャムナ多目的 橋、今年開通したラロン・シャー橋、来年開通予定のルプシャ橋などがありま す。このような交通網は、経済活動を大幅に促進し、人々の生活を改善してき ました。また、日本の政府開発援助(ODA)による肥料工場は、この国の肥料生 産全体の60%を担っており、この国の食料自給達成に貢献しています。

我が国の援助は、草の根の人々の日々の生活にも大きな影響を与えました。我 が国は、ポリオ撲滅や母子保健改善のための支援に大きな役割を果たしてきま した。また、災害に備え、我が国は80以上のサイクロン・シェルターの建設を 支援してきました。更に、我が国の参加型手法による農村開発や砒素対策は、 農村を主たる基盤としたこの国において、目覚しい進展をもたらしました。

そして、我が国は一貫して人材育成を重視してきました。毎年400人以上のバ ングラデシュ人が、日本政府の様々な教育・研修事業により訪日しています。 4000人以上のJICA卒業生、1000人以上のAOTS(財団法人海外技術者研修協会) 卒業生、2000人の文部科学省奨学金の卒業生は、現在この国のあらゆる場所、 あらゆる分野で重要な役割を担っています。

3. 新たな課題と重点事項

このように、バングラデシュは今日まで多くの実績を上げてきました。しか し、我が国はこの国が更に大きく発展する余地があると考えています。我が国 がそのような潜在性を強く感じている理由は、東アジアの近隣諸国やその他の 地域で、更に急速な発展を我が国が支援してきたからです。それでは、何がバ ングラデシュにとって喫緊の課題なのでしょうか。

第一に、貧困削減を伴う経済成長です。グローバルな競争の時代において、海 外直接投資(FDI)は、生産能力と雇用機会の創出、そして輸出の拡大を通じ て、成長を実現する最も効果的な手段です。私は、バングラデシュがその潜在 能力をはるかに下回る現在の海外直接投資の水準に満足しているのではないか と深く懸念しています。更なる海外直接投資を誘致するには、この国の既存の 規制枠組みや物理的なインフラを改善すべく、具体的かつ迅速な行動が必要で す。

第二に、人間の安全保障です。保健や教育を含む様々な社会サービスは、地方 のコミュニティで、より良く行き届かせることが可能だと思います。比較的弱 い行政機構という環境のもとでは、コミュニティの強化を通じて人々を保護し 能力を強化する、人間の安全保障というアプローチが最も必要とされていま す。私たちは、政府とNGOが、コミュニティ・レベルで一層連携することを期 待しています。

最後ではありますが最も根本的なものとして、ガバナンスが挙げられます。我 が国は、良いマネジメント能力に裏付けられた強力な政治的指導力によって、 この国の開発効果は著しく改善すると確信しています。私たちが見るところ、 バングラデシュにとって、危機感を共有し、政党間の瑣末な違いを克服し、国 民国家の経済・社会開発に向けて一所懸命に努力することが不可欠であると思 います。このような強い意志があれば、良いマネジメント能力により、汚職や 法と秩序といった喫緊の課題を解決することができるでしょう。

これらの課題に取り組むため、重点セクターを特定する必要があります。我が 国は、伝統的に幅広いセクターを支援してきました。しかし、より目に見える 成果を達成するためには、我が国の強みを最も効果的に活用できるセクターな いしサブ・セクターに、焦点を絞る必要があるかもしれません。貧困削減を伴 う経済成長、人間の安全保障、ガバナンスという三つの重点目標に寄与する12 の重点セクターを暫定的に選びましたが、これについては現在検討中です。

4. 我が国と開発パートナーシップ

開発は(途上国政府の)強力なオーナーシップと(開発パートナーの)効果的 なパートナーシップを通じて実現するということが、開発パートナーのコンセ ンサスになってきています。我が国はいくつかの分野で主導的役割を担ってい るものの、我が国のみでバングラデシュを支援できるわけがありません。私た ちは更なる自己変革によって、他の開発パートナーとの良い連携を可能にして いかなければなりません。

我が国は、日本大使館、JICA事務所、JBIC事務所、JETRO事務所(4J)によ る業務連携を制度化するために、現地ODAタスクフォースを編成しています。 この現地ODAタスクフォースは、バングラデシュ政府、ドナー、そして日本の 開発関係者とのコミュニケーションのための共通の基盤となっています。この ようにして、我が国は様々な組織に蓄積された知見を最大限に活用し、限られ たODAを最も効果的に使うことが可能になっています。

簡潔にいえば、日本の援助は政府のオーナーシップを強化することを目指して います。より具体的には、我が国は、政府機関を強化するための能力開発を、 多くの開発プロジェクトの不可分の要素としています。半年に一度の現地政策 協議や各種の調査を通じて政府の声に耳を傾けることも、その一例です。我が 国は、現在準備が進んでいるバングラデシュ政府の貧困削減戦略を全面的に支 援するとともに、来年3月にパリで開催される援助効果向上ハイレベルフォー ラム及びその後に向けて、政府の政策と制度への整合化を促進するために主導 的役割を果たします。

開発パートナーシップにおいては、我が国は明確な付加価値を与えることを目 指しています。初等教育セクタープログラム(PEDP-II)では、私たちは理数科 教育の質の向上に現在取り組んでいます。準備中の民間セクター開発プログラ ム(RISE)では、東アジア諸国での経験を生かして、インフラに投資し、規制枠 組みに投資家の声が反映されるよう努力しています。このように、パートナー シップを通じて我が方の強みを更に現実化し、専門性と資源を持つ他のドナー と連携することにより、最大限に相乗効果と補完効果を達成できるよう取り組 んでいきます。

5. 我が国の対バングラデシュ国別援助計画

最後に、我が国の対バングラデシュ国別援助計画の改定作業が現在進んでいる ことを、皆様にお知らせしたいと思います。現行の国別援助計画は5年近く前 に策定されたものであり、新たな国別援助計画の骨子案は、今月上旬に東京で 開催されたODA総合戦略会議で議論されました。今般のご説明は、この骨子案 を一部反映させています。様々な関係者との一連の協議プロセスを経て、新計 画は2005年半ばに完成する予定です。

我が国の対バングラデシュ開発援助の次なる展開についてご意見がありました ら、新たな対バングラデシュ国別援助計画に反映できるよう、是非お聞かせい ただければ幸いです。

ご静聴どうもありがとうございました。(以上)


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