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日本・バングラデシュ交流メールマガジン (第 1 7 号・ 2004/09/30 )
? 日本とバングラデシュの橋渡しのために ?
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□ 目次 □
【1】堀口大使メッセージ「洪水被災地域ヘリ視察」
【2】最近の日本・バングラデシュ関係
[これから]
● バングラデシュ AOTS 同窓会セミナー( 10 月2〜3日・ダッカ)
● 平成 16 年度南西アジア・中東元日本留学者の集い( 10 月3〜9日・東京)
● バングラデシュ・アパレル・布地展示会( 10 月6〜8日・ダッカ)
● 「日本と世銀のパートナーシップ」セミナー( 10 月8日・東京・ダッカ)
●JICA 帰国研修生同窓会年次総会( 10 月8日・ダッカ)
● バングラデシュ・アパレル展( 10 月 25 〜 27 日・東京)
● 南アジア5カ国演劇コラボレーション( 11 月下旬から・東京等)
[これまで]
● パドマ橋ワークショップ(9月 29 日・ダッカ)
● 第 23 回開発援助勉強会「洪水支援のあり方」(9月 26 日・ダッカ)
● 平成 16 年度南西アジア青年招聘計画(9月 24 日〜 10 月5日・東京他)
● 水質検査システム強化計画に対する無償資金協力(9月 21 日・ダッカ)
● 開発のための GIS ・リモートセンシングセミナー(9月 21 日・ダッカ)
● 柿崎さとみさんによるピアノと歌のコンサート(9月 20 日・ダッカ)
[おしらせ]
● スポット情報(日本人を含む外国人を狙った強盗事件への注意喚起)
● 渡航情報(危険情報)の更新(9月 21 日)
● プラネタリウムの開館(9月 27 日・ダッカ)
● 電子政府利用促進週間「在留届をインターネットで届け出よう」
● 大使館アネックス・テニスコートの在留邦人への開放
【3】特別寄稿「真実の国際エンゼル協会とは」
( NPO 法人 国際エンゼル協会:小川勲氏)
【4】バングラデシュ案内・第 13 回「ボンゴボンドゥ記念館訪問」
【1】堀口大使メッセージ「洪水被災地域ヘリ視察」
先日、 UNDP 主催のヘリコプターによる洪水被災地域視察に参加し、シレットのジャマルガンジ、タンガイル近くのジャムナ川中洲、そしてジャムナ川対岸のシラジガンジの3つの村の様子を見てきました。
ジア空港を飛び立つと直ぐ水に囲まれた家々の群れが見えてきますが、やがてシレットに近づくにつれて陸地が姿を消し、見渡す限り水だけの光景になります。
傾いた電信柱、一列に並んだ並木などが頭を出しており、一見何もない水面も真上まで来ると、水面下に道路や畦の黒い線が見え、洪水の前まで人々が住んでいたことが分かります。
5、6件の家だけの小集落が、ところどころ見え始めて間もなく、水に浮かんだ村役場とおぼしき建物の庭に、周囲からボートで集まった数百人の見守るなか着陸しました。
地区の役人や NGO 関係者から、最も必要なものはシェルターと食料であるが、洪水は 12 月まで続くので、水が退いたら直ぐ農作業を始められるように、種と肥料が欲しい、また、そのためのクレジットが欲しいなどの要望がありました。
中長期対策としては、海のような洪水をコントロールすることは出来ないので、いかに被害を軽減するかが問題であり、今回も 15 日から 20 日ぐらい田畑の冠水を遅らせることができれば収穫を終わらせることができたので、その程度の高さの堤防が欲しい、5ユニオンの 160 の小学校を二階建てのフラッド・シェルターにして欲しい、また、家畜用の「シェルター」もできたら欲しいなどの要望が寄せられました。
次に、川幅 10 キロぐらいに広がり、川中に大小無数の中州を抱えるジャムナ川の上を旋回しながら、目指すスタールという島に、やはり周辺から集まった数百の人々が待ちかまえるなか降りました。
人々の話によれば、今回の洪水は水の勢いが早く、川岸の土地を大きく浸蝕しながら押し寄せた結果、通常の洪水の場合のような栄養分を含んだシルトの代わりに、大量の土砂をもたらし、中州全体に土砂が 50 センチも堆積してしまい、家だけでなく畑も失われてしまった由です。いくつか残った家は、家の半分以上が土砂で埋まっていました。
先ず必要なものはシェルターと食料であり、次に土砂の土地でも栽培できる落花生や野菜の種や肥料であり、その次に雇用機会としての公共事業ということでした。
最後に降りたシラジガンジの町は比較的裕福で、家を流失した人々の一部は、洪水予防用の堤防の上に隙間なくトタン板の小屋を建てて住んでいました。堤防はこのような用途もあるのです。
人々は、最も必要なものは道路、通信の復旧であるとしていましたが、当面の雇用機会は漁業、野菜作りぐらいで、中にはボグラなどの町に出かけて日雇いや乞食をする者もおり、一度町に出て行った者は7、 80 %がもう戻ってこないとのことでした。
日本政府は、国民の皆様のご理解と関係者のご協力を得て、今回の洪水に 6.8 百万ドル相当の緊急援助と食糧援助を行うことができ、カレダ・ジア首相以下バングラデシュの政府および国民から高い評価を受けました。
これらの援助によって、上記のような洪水に苦しむ人々が一日も早く、正常な生活に戻って欲しいと願いました。
【2】最近の日本・バングラデシュ関係
[これから]
● バングラデシュ AOTS 同窓会セミナー( 10 月2〜3日・ダッカ)
10 月2日(土)〜3日(日)に、バングラデシュ海外技術者研修協会( AOTS )同窓会( BAAS )は World Network of Friendship ( WNF )との共催で、「品質と生産性向上に関する動機付け」と題して、バングラデシュ、スリランカ、インドの専門家(元 AOTS 研修生)を招いてのセミナーをバングラデシュ行政経営研究所 (BIAM) で開催します。堀口大使は以下のスピーチを行いました。
http://www.bd.emb-japan.go.jp/en/embassy/speeches/36sphbaas021004.html
(財)海外技術者研修協会 (AOTS) については以下のウェブサイトをご覧下さい。
http://www.aots.or.jp
バングラデシュ海外技術者研修会同窓会( BAAS )の連絡先は以下の通りです。
baasaots@bangla.net
● 平成 16 年度南西アジア・中東元日本留学者の集い( 10 月3〜9日・東京)
10 月3〜9日、南西アジア・中東 12 カ国の元日本留学者が組織する留学生会のメンバー 38 名が、日本との絆の再確認、留学生会相互の交流強化等のため東京に招待されます。当国からは、バングラデシュ日本留学同窓生協会( JUAAB )の会長、副会長、出納官吏役、研究出版担当理事として中心的に活動している4名が参加します。
http://www.bd.emb-japan.go.jp/en/news/pr/33pressjuaab031004.html
バングラデシュ日本留学同窓生協会のウェブサイトは以下の通りです。
http://www.juaab.org
● バングラデシュ・アパレル・布地展示会( 10 月6〜8日・ダッカ)
10 月6日(水)〜8日(金)、ショナルガオンホテルにて、バングラデシュ縫製品産業・輸出業協会( BGMEA )の主催により、国内最大規模のアパレル・布地展示会、セミナー、バイヤー向けファッションショー等が行われます。参加企業は現地 BGMEA 会員企業、その他布地製造・関連業等 64 社です。日系企業も2社が参加します。
http://www.bangladeshgarments.info/batexpo
● 「日本と世銀のパートナーシップ」セミナー( 10 月8日・東京・ダッカ)
10 月8日(金)午後2時〜午後4時 30 分まで、東京の世界銀行東京開発ラーニングセンターにて、外務省・財務省・世界銀行共催の公開セミナー『日本と世界銀行のパートナーシップ:日本の ODA50 周年にあたって』が開催されます。バングラデシュからはテレビ会議を通じて堀口大使が「援助協調とバングラデシュ・モデル」について発表を行う予定です。本セミナーの案内は次のウェブサイトに掲載されています。
http://www.worldbank.or.jp/02event/01seminar/seminar_top.html
本セミナーには、世銀バングラデシュ事務所のテレビ会議室から、堀口大使以外にも参加が可能となる予定です(東京は日英同時通訳ですがダッカでは日本語のみ)。希望者は当館・加山までご連絡いただければ幸いです。
kayama@embjp.accesstel.net
●JICA 帰国研修生同窓会年次総会( 10 月8日・ダッカ)
10 月8日(金)午後6時より、バングラデシュ行政経営研究所 (BIAM) にて JICA 帰国研修生同窓会の年次総会、文化行事等が行われ、カーン外相、堀口大使、新井 JICA 事務所長他が出席します。
JICA 帰国研修生同窓会については以下のウェブサイトをご覧下さい。
http://www.jica.go.jp/english/alumni/index.html
● バングラデシュ・アパレル展( 10 月 25 〜 27 日・東京)
10 月 25 日(月)〜 27 日(水)の3日間、東京のジェトロ赤坂展示場にて、バングラデシュ縫製品産業・輸出業協会 (BGMEA) 、南アジア企業開発ファシリティ (SEDF) の主催、バングラデシュ大使館、ジェトロ、日本繊維輸入組合の後援で、バングラデシュ・アパレル展が開催されます。セミナー、ファッションショー、展示商談会等が行われる予定です。
http://www.jtia.or.jp/osirase/bangladeshapa.htm
● 南アジア5カ国演劇コラボレーション( 11 月下旬から・東京等)
11 月 25 日(木)〜 27 日(土)に東京、 12 月1日(水)、2日(木)に京都、 2005 年1月6日(木)、7日(金)にインドのデリーにて、壮大な旅の果てにムガル帝国を開いたバーブルの回想録をテーマに、バングラデシュ、インド、スリランカ、ネパール、パキスタンの気鋭の演出家、俳優、ダンサー、音楽家、映画作家が合同作品を発表します。
http://www.jpf.go.jp/j/culture_j/news/0409/09-02.html
[これまで]
● パドマ橋ワークショップ(9月 29 日・ダッカ)
9月 29 日午前、 JICA バングラデシュ事務所はショナルガオンホテルにて、パドマ橋のフィージビリティ調査の第2次進捗状況レポートに関するワークショップを開催し、フダ運輸相、堀口大使他が出席しました。堀口大使のスピーチは、以下の通りです。
http://www.bd.emb-japan.go.jp/en/embassy/speeches/35sphpadma290904.html
● 第 23 回開発援助勉強会「洪水支援のあり方」(9月 26 日・ダッカ)
9月 26 日、約 40 名の出席を得て、「バングラデシュの洪水災害に対する支援のあり方を考える〜 NGO の視点から〜」をテーマに勉強会を開催致しました。白幡利雄シャプラニール・ダッカ事務所長およびアジズル・バリ国際エンゼル協会ダッカ事務所責任者のプレゼンテーションを受け、出席者間で活発な意見交換が行われました。席上配布資料、議事録等は追って以下のウェブサイトに掲載されます。
http://www.bd.emb-japan.go.jp/jp/bdmodel/index.html
● 平成 16 年度南西アジア青年招聘計画(9月 24 日〜 10 月5日・東京他)
9月 24 日、バングラデシュよりの参加者7名(当地ベンガル語紙プロトム・アロ、通信社の UNB 、シルポコラ・アカデミー、ダッカ大学日本研究センター、ダッカ大学経済学部、政策研究センター( CPD )、日本バングラデシュ商工会議所( JBCCI )より各1名)が日本に出発しました。
詳しくは以下のプレスリリースをご覧下さい。
http://www.bd.emb-japan.go.jp/en/news/pr/29presssayip210904.html
平成1 6 年度南西アジア青年フォーラムについては以下をご参照下さい。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/annai/event/ns_asia.html
● 水質検査システム強化計画に対する無償資金協力(9月 21 日・ダッカ)
9月 21 日、堀口大使はベグ対外経済関係局次官との間で「水質検査システム強化計画」の実施のための総額4億9千5百万円の無償資金協力に関する交換公文に署名しました。
http://www.bd.emb-japan.go.jp/en/news/pr/30presswater210904.html
● 開発のための GIS ・リモートセンシングセミナー(9月 21 日・ダッカ)
9月 21 日、 JICA 技術協力プロジェクト「農村開発技術センター機能強化計画」と地方自治農村開発協同組合省地方行政技術局 (LGED )共催で、「開発のための GIS およびリモートセンシング」セミナーが開催されました。セミナーでは同プロジェクトの国内支援委員会委員長である山路東京大学教授が基調講演を行い、堀口大使、新井 JICA 事務所長、ジア地方自治農村開発協同組合省担当大臣他約 80 名の関係者が出席しました。堀口大使は以下のスピーチを行いました。
http://www.bd.emb-japan.go.jp/en/embassy/speeches/34sphrgis210904.html
● 柿崎さとみさんによるピアノと歌のコンサート(9月 20 日・ダッカ)
9月 20 日、日本人学校講堂にて柿崎さとみさんによる日本や世界の国の歌のコンサートが行われました。当日は在留邦人の方々、柿崎さんと当地を訪問中の方々、札幌で障害者が働くオーロラ共同作業所関係者、同作業所と協力関係のある当地 NGO 団体の CSID(Center for Services and Information OnDisability) 関係者など約 50 名が参加しました。
CSID は当地で子供の障害者への活動、障害者が学校に行けるように支援する活動などを行っています。
http://www.csidnetwork.org
[おしらせ]
● スポット情報(日本人を含む外国人を狙った強盗事件への注意喚起)
最近ダッカ市内において日本人を含む外国人の強盗被害事件が多発していることを受けて在留邦人の皆さんに注意を呼びかけるため、外務省は27日付で以下のスポット情報を発出しました。
1.バングラデシュでは治安が悪化しているものの、これまで外国人の被害事例はあまり目立ちませんでした。しかし、 2004 年 9 月だけでも、ダッカ市内のグルシャンやバナニなど比較的安全とされてきた外国人居住区、サバール独立記念塔など外国人も訪れる観光名所で、日本人を含む外国人を狙った強盗事件が相次いで発生するなど、状況の悪化が見られます。
2.つきましては、リキシャ(自転車を利用した人力車)、 CNG タクシー(オート三輪を利用したリキシャ)、タクシー(特に黒色のもの)などの夜間利用は極力避けるとともに、観光地でも人気(ひとけ)のないところへは近づかないなど、身辺の状況にはくれぐれも注意し、安全確保には万全を期すようにして下さい。
具体的な犯行の手口は以下のウェブサイトをご参照ください。
http://www.anzen.mofa.go.jp/info/info4.asp?id=012#header
http://www.bd.emb-japan.go.jp/jp/safety/securityinfo130904.html
● 渡航情報(危険情報)
9月 21 日付けバングラデシュへの渡航情報(危険情報)が発表されました。
チッタゴン丘陵地帯に関しては、民族対立の為治安の改善が見られないため、「渡航の是非を検討して下さい(継続)」としています。
また、チッタゴン丘陵地帯を除く全土(首都ダッカを含む)に関しては「十分注意してください(継続)」としていますが、相次ぐ爆破事件の発生、タクシー及び CNG タクシー等利用時の強盗事件発生など、治安の悪化を指摘しています。
滞在に当たっての注意等、詳しくは以下のウェブサイトをご覧下さい。
http://www.anzen.mofa.go.jp/info/info4.asp?id=012#header
● プラネタリウムの開館(9月 27 日・ダッカ)
9月 25 日にプラネタリウム等を上映する Bhasani Novo Theater の開館式が行われ9月 27 日から一般に開放されました。プラネタリウム・天体望遠鏡など宇宙劇場に関する機器を製造・販売する日本の後藤光学( GOTO INC )がこのプラネタリウムを納入しています。
プラネタリウムの建設は前アワミ連盟政権時代に決まったものですが、モイン・カーン科学・情報・通信技術相をはじめとする関係者の尽力により、全費用を政府が支弁し建設されました。日本の高い技術で、当地の人々に夢を与えられるすばらしい設備が整っています。現在は非常に込み合っておりますが、是非一度ご覧下さい。
□Bhasani Novo Theater 情報 □
住所: Bijoy Sarani, Tejgaon, Dhaka-1215
電話番号: 8110184, 8110155, 8110127, 9138806
休館日:日曜日
上映時間: 11 時、1時、3時、5時(開演の1時間前から切符の発売開始)
入場料金: 30 タカ
プログラム:ベンガル語( Mohashunnya Mohakashe( 無限の宇宙・プラネタリウム ) )、英語( Africa : the Serengeti )の 2 本立て(共に約 45 分)
● 電子政府利用促進週間「在留届をインターネットで届け出よう」
10 月1日(金)〜7日(水)は総務省・全府省主催の「電子政府利用促進週間」です。
海外に3ヶ月以上滞在する場合には、最寄の日本国大使館または日本国総領事館等に在留届けをしていただく必要があります(旅券法第 16 条)。平成 15 年4月より、在留届を以下のウェブサイトからインターネットで届け出ることが可能となっています。この機会に是非ご利用下さい。
在留届電子届出システム「 ORR ネット」
http://www.ezairyu.mofa.go.jp/
また、以下の総務省の電子政府・電子自治体キャンペーンサイト( 10 月 1 日(金)〜 11 月 30 日(火)まで利用可)ではオンラインで申請が出来る手続きの紹介を初め、広く一般の方々に電子政府・電子自治体の安全性・利便性を実体験できる様々なコンテンツが容易されています。
http://www.taiken.e-gov.go.jp/
● 大使館アネックス・テニスコートの在留邦人への開放
インターリーグ(各国テニスクラブ対抗の年次リーグ戦)が開催される期間( 10 月1日から 12 月中旬頃まで)、大使館アネックス・テニスコートの在留邦人への開放を、日・月・水の 18:00 〜 22 : 00 、金の 13 : 00 〜 22 : 00 、土の 8:00 〜 13:00 、 18:00 〜 22:00 とさせていただきます。日・月には同テニスコートがインターリーグに使用される場合がありますところ、ご理解いただければ幸いです。使用手続き等については、当館・紀谷までご照会下さい。
masahiko.kiya@mofa.go.jp
【3】特別寄稿「真実の国際エンゼル協会とは」
( NPO 法人 国際エンゼル協会:小川勲氏)
さて唐突ではありますが皆さま、「国際エンゼル協会」という NGO をご存知でしょうか。「あぁ、名前は聞いたことあるけど、キリスト教系の団体でしょ?」いやいや、違うのですよ。「そうか。小川さん夫妻がやっている孤児院でしょ?」あぁ、それは激しく違います!
私たちのバングラデシュでの活動は来年で 20 年を数えますが、そう言えばこれ程実態が不明なままの NGO というのも珍しいものですね。
そこでこの度は 20 周年前祝い的に(?)、「果たして国際エンゼル協会とは?」というお話しをさせて頂きたいと思います。しばしお付き合い下さいませ。
まずバングラデシュの活動におきましては、年間総予算1億円ほどの半分以上を充てています。そしてその中心に据えていますのは広い意味での教育支援活動です。
86 年に開設された児童養護施設に始まり、奨学金制度、既存の学校に対する校舎の新規改築や備品の拡充、識字教室、職業訓練及び農業訓練の施設、図書館などがこれにあたります。またこのほかにノクシカタ製品の生産・販売、診療所の運営も行っています。
「ではそもそも国際エンゼル協会とは何を考えている NGO なのか?」バングラデシュでの諸活動を通じてその先に見据えているものは、私たち自身の国、日本の現在であり将来であるのです。
おぉ、段々話しが核心に迫ってきましたね。しかしそれにはまず、私たちの成り立ちについて聞いて頂かなくてはなりません。
国際エンゼル協会は 1982 年に兵庫県伊丹市で発足しました。きっかけとなりましたのは代表理事川村百合子氏の次女、直子氏の存在です。生まれつき小児麻痺という障害を抱えながらも大学の福祉学科を卒業した直子氏は、それまでの過程で周囲から受けてきた善意を、今度は自分が社会に還元したいと希望しました。そうして母親と周囲の賛同者が集まってできたのが国際エンゼル協会なのです。
奉仕活動を行う場、として始まった国際エンゼル協会は、発足当初は障害者の方々が働く授産施設や養護施設へボランティアを派遣したり、バザーでお金を作ってはこうした施設へ寄付するという活動をしていました。しかし、次第に「日本にも困っている人はたくさんいるけれど、途上国にはもっと困っている人がいるのではないか」という考えが私たちの中に芽生えると、海外に目を向けるようになり、現在に至っているという訳です。
つまり、私たちにとりましては「まず国際協力活動ありき」「まずバングラデシュ支援ありき」という訳ではないのです。日本側にとりましてバングラデシュでの活動とは、「自分たちが普段行っている奉仕活動が、こういう形で役立っている」と感じるためのものであるのです。
日本に基盤を置きながらバングラデシュを支援活動の中心に据える NGO として、もうひとつ焦点を置いているのが日本の青少年育成活動です。
命を粗末に扱ったり、健全な人間関係を築けずにいる若者たちのことが話題になる昨今ですが、日本の将来を背負っていくこの世代にとって、バングラデシュは人生を歩んでいく上での大きな学びや気付きを与えてくれる場所となるのです。
多感な時期の若者たちがバングラデシュに来て、お金がなくても逞しく生活をし、家族や人間関係の温かい繋がりを大切にする人々、また新しい知識や技術を身に付けることを喜びとして輝く眼差しをしている同年代の人々と触れ合うことは、一生の財産となり得る貴重な経験になるのです。
「僕は今まで、あてがわれた環境に満足せず逃げてきました。けど今回バングラデシュに来て、辛い環境でも自分がいかにがんばって生きるかが大切だと教えられた気がします」
「今まで『当たり前』と思っていたことは、実はとても感謝すべきありがたいことなんだと思うようになりました。『当たり前』と思っていたから感謝の気持ちを持てず、自分も生かせなかったんだと思います。これからは今まで『当たり前』と思っていたことを一つ一つ大切にし、今まで生きながら生かしていなかった自分も生かしてやろうと思います」
「今までは自分のために使っていた時間を、少しボランティアに使おうと思うようになりました。でも現地に行った人たちだけが生活を変えるのではなく、エンゼルの皆さんのように自分たちの生活を少しボランティアに使うという小さな力が集まることが、大きな力になるのではないかと思います。そして私もその大きな力の一部になりたいです」
毎年行っているワークキャンプの参加者や昨年末に招聘した和太鼓グループ「はぐるま」の少年たちが残したこれらの言葉こそは、彼らがバングラデシュに来た意義の大きさを語っています。
さて、ここまで私たち国際エンゼル協会について多面的に眺めて頂きましたが、いかがでしたでしょうか?
もしかしたらこう考える方もいらっしゃるかもしれません。「でも、それってバングラデシュや地球の人口を考えたら大海の一滴だし・・・」至極もっともな一言が胸に刺さります。これこそは、まさに私たちが時折考え込んでしまう疑問であるのです。しかし一方で、マザーテレサはこんな心強い言葉を残されています。「でもそれは必要な一滴です。」
空しい一滴ではなく必要な一滴となるよう努力して参りますが、何しろ試行錯誤、手探りでここまで活動を進めてきた私たちです。今後とも皆さまの温かいご指導、ご鞭撻を頂きながら、よりよい活動を目指して励んで参りたいと思います。これからも引き続き、どうぞよろしくお願い致します。
本協会のことをもうちょっと詳しくお知りになりたい方は、「愛を運ぶ天使たち-国際エンゼル協会 21 年の歩み- 」(著者:鴨野守氏、発行:アートビレッジ)を是非ご一読下さい。現在私の手元にも若干ありますので、ご関心のある方はぜひご連絡下さい!
エンゼル協会のウェブサイトは以下の通りです。
http://www.angel-ngo.gr.jp
【4】バングラデシュ案内・第 13 回「ボンゴボンドゥ記念館訪問」
バングラデシュを独立に導きボンゴボンドゥ(ベンガル人の友)との尊称を得ながらも、クーデターで親族と共に暗殺された、シェイク・ムジブル・ラーマンの記念館を訪問しました。
シェイク・ムジブル・ラーマンは、今日のアワミ連盟の前身である、東パキスタン・モスリム・アワミ連盟の執行委員選挙( 1949 年)以来、東バングラデシュの権利拡大のために活発に活動し、そのかどで東西パキスタン時代 23 年間のうち約 12 年は牢獄で過ごしました。同人のカリスマ的な指導力は 1971 年の独立に極めて大きな役割を果たしました。
しかし独立後は経済復興が進まず、物価が高騰してアワミ連盟政権は急速に国民の信頼を失っていきました。そして 1975 年8月 15 日、軍の青年将校によりムジブル・ラーマンとその親族他計 17 名が殺害される事件に発展したのです。
記念館はムジブル・ラーマンの旧自宅で、人で賑わうダンモンディ湖に面していながらも、しんとした雰囲気を醸し出しています。
記念館の初めの部屋には、独立前後の写真、新聞記事などが展示されています。中には、 73 年にラーマン首相が日本を公式訪問した際に田中角栄総理(当時)と写っている写真や、バングラデシュの独立、独立後の経済復興に尽力した故早川崇議員と写っている写真もあります。当時日本国内の有志は独立支援のため街頭募金を行うなど、国内世論を喚起する活動を行いました。また、日本は 1972 年2月、他の西欧諸国に先駆けてバングラデシュを国家として承認しました。
2階には台所、リビング、寝室等があり、家族の写真や当時の日用品も展示されています。参観者を見守る職員が、この始めの寝室ではムジブル・ラーマンの末息子の Russel 他が銃弾を浴びせられて殺された、天井のしみは血痕だ、などと教えてくれました。
次の寝室に移動する途中の階段で、ムジブル・ラーマンが侵入した将校の銃弾に倒れ、階段を転げ落ちました。ムジブル・ラーマンが転落し、絶命した階段はガラスで覆われています。階段や部屋の壁、木のドア、あらゆるところに大きな銃弾の跡が残っていました。
その次の部屋には銃弾に倒れ、息絶えたムジブル・ラーマンの写真も飾られていました。その隣の部屋は息子夫婦の寝室ですが、部屋の飾り棚には日本の姫だるまなど、様々な日本人形が飾られていました。
ハシナ・アワミ連盟総裁と妹のレハナ氏は外国にいたため、暗殺を免れました。しかし、家族の思い出の詰まったこの家を訪れるのはどんなにつらいだろう、と想像しました。この国の2大政党の党首は両名とも家族を暗殺されています。事実として知ってはいても、その悲しみやつらさを初めて身にしみて感じた思いでした。そしてこの二人の女性の対立にも由来するこの国の政治の行方の困難さにも、思いをはせました。(大使館広報文化班・河野秀美)
ボンゴボンドゥ記念博物館
開館日・開館時間(水曜休館):
木曜日から火曜日まで(午前 10 時〜午後5時)
入場料:2タカ( 12 歳以下無料)
● 本メールマガジンは、当地在留邦人の皆様及び希望者に送付しております。本メールマガジンの配信開始・変更・中止のご希望がありましたら、編集部までご連絡いただければ幸いです。
● バックナンバーは次のウェブサイトにてご覧になれます。
http://www.bd.emb-japan.go.jp/jp/mailMagazine/index.html
● 本メールマガジンに対するご意見・ご感想、日本・バングラデシュ間の各種交流事業等今後掲載する記事・情報に関するご示唆等をお待ちしております。また、本メールマガジンの特別寄稿を執筆頂ける方を(自薦・他薦とも)募集しております。お気軽に編集部までご連絡いただければ幸いです。
● 編集部のメールアドレスは次の通りです。
mail@embjp.accesstel.net
発行:在バングラデシュ日本国大使館
Embassy of Japan
Plot#5&7 Dutabash Road
Baridhara, Dhaka, Bangladesh
電話 (880-2)881-0087
FAX(880-2)882-6737
http://www.bd.emb-japan.go.jp/
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