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日本・バングラデシュ交流メールマガジン (第 14 号・ 2004/08/19 )
? 日本とバングラデシュの橋渡しのために ?
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□ 目次 □
【1】堀口大使メッセージ「バングラデシュ民間セクターの躍進」
【2】最近の日本・バングラデシュ関係
[これから]
● 国際エンゼル協会主催スタディツアー(8月 16 〜 23 日・ダッカ等)
● 日本バングラデシュ商工会議所第1回総会(9月2日・ダッカ)
[これまで]
● 洪水被害に対する緊急援助物資の供与(8月6日)
[おしらせ]
● 洪水情報(8月 17 日現在)及び洪水後に注意すべき病気
● アジア文化会館同窓会生け花・日本文化教室のご案内(ダッカ)
● 国際協力情報サイト「 PARTNER 」
【4】特別寄稿「シレット洪水緊急援助報告」
( 13 年度2次隊・ポリオ対策:阿部久美子氏)
【5】バングラデシュ案内・第 10 回「少女ショミティ訪問」
【1】 堀口大使メッセージ「バングラデシュ民間セクターの躍進」
昨年のバングラデシュ経済の成長率は5.5%ですが、政府の統計に反映されない経済活動を含めれば8%は超えているだろうとする指摘を、多くのバングラデシュ人から聞きます。
確かに、過去1年ぐらいの間にグルシャン通りをはじめとするダッカの目抜き通りに建ったオフィスビルやショッピング・モール、あるいはアパートの数や、街を走る新しい車の数の増加ぶりは目を見張るばかりであり、この指摘にはもっともなものがあります。
また、当地に長く住んでいる何人かの外国人からも、これまで米英に留学しそのまま帰ってこなかった若者たちが、外国の進んだビジネス手法をもって帰国し、父親のあとを継いで事業を拡大したり、新たな事業を始めたりしているが、この傾向が続けばバングラデシュの経済はこれから良い方向に向かうだろうとの話を聞きました。
法と秩序や投資阻害要因に大きな改善がないにも拘わらず、これら若者の帰国が増えている理由は何か、何人かの人に尋ねてみたところ、次のようなことが分かりました。
一つは、インターネットやメールなど情報革命によって、バングラデシュに帰ってきても世界のビジネス情報を入手できるようになったことです。
二つは、9. 11 事件以降、米国に住むイスラム系外国人に対し、警官などが絶えずやって来て身の周りのことをいろいろ尋ねるので、住みづらくなったことであり、
三つは、9. 11 事件以来、イスラム系外国人の銀行口座に 20 万ドルぐらいの預金があると、やはり官憲が訪ねてきて、カネの出所、これからの使い道など詳しく聞くので、銀行にお金を置きづらくなったことです。
四つは、やはり9. 11 事件による入管法の改正によって、そもそもイスラム系外国人の大学入学が難しくなっただけでなく、卒業後1年のインターンが終わると必ず帰国しなければならなくなったことです。
また、英国でも米国ほどでないにせよ、入国、滞在が難しくなったことに加え、 50 万人のバングラデシュ人の成人失業率が 40 %といわれるように、大学で得た知識を活かせる職は余りない状況で、米国から帰国した仲間が事業を興したとの話を聞いて、英国組の中からも後に続く若者が増えているとのことです。
以上のように、9. 11 事件によって、これまで米国や英国に住もうとしていたバングラデシュ人が、自分たちは祖国に住むしかないのだと覚悟を決め、進んだ知識や技能および資金とともに帰国して事業を始めることは、国の経済発展にとって甚だ好ましいことです。(もとより、長期的に見れば、アル・カーイダがイスラム教国にもたらした損害は膨大なものですが。)
日本としても、バングラデシュの経済発展を支援する上で、これら若き事業家と手を携え、民間セクターでのプロジェクトを是非とも成功させたいものです。
先般発足した日本バングラデシュ商工会議所の会員の皆様とともに具体策を考えたいものです。
【2】最近の日本・バングラデシュ関係
[これから]
● 国際エンゼル協会主催スタディツアー(8月 16 〜 23 日・ダッカ等)
NPO 法人国際エンゼル協会は、8月 16 〜 23 日の8日間、協会の各種プロジェクト見学、研修生との交流、ダッカ市内見学等を内容とするスタディツアーを実施中です。
http://www.angel-ngo.gr.jp/topics/2004_06_04.html
● 日本バングラデシュ商工会議所第1回総会(9月2日・ダッカ)
9月2日(木)午後6時よりショナルガオンホテルにて、日本バングラデシュ商工会議所の初総会が行われます。現在会員となっている約 40 の企業・団体が参加する予定です。日本バングラデシュ商工会議所に関しては次のウェブサイトをご覧下さい。
http://www.jetro.go.jp/bangladesh/eng/jbcci/index.html
[これまで]
● 洪水被害に対する緊急援助物資の供与(8月6日)
8月6日、日本政府は、洪水により被害を受けたバングラデシュに対し、約 2800 万円の緊急援助物資(下痢症等の治療のための抗生剤、解熱剤、経口補水剤等の医薬品及び調理器具、衣類、バケツ、石けん、ろうそく等生活必需品セット)の供与を決定しました。 JICA を通じて供与され、配布は NGO シャプラニールやバングラデシュ赤新月社が行います。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/16/rls_0806e.html
http://www.bd.emb-japan.go.jp/en/news/pr/21pressflood060804.html
その後、配布が実際に開始されています。
http://www.bd.emb-japan.go.jp/en/news/pr/23pressflood180804.html
[おしらせ]
● 洪水情報(8月 17 日現在)及び洪水後に注意すべき病気
8月 17 日時点の洪水状況についての食糧・災害対策省発表によれば、被害者数は約3千6百万人に達し、うち約 130 万人が洪水避難所に避難しています。また、これまでのバングラデシュ全土での洪水による死亡者数は 743 人です。
バングラデシュ洪水予想警報センターは毎日下記のウェブサイトに洪水の状況をアップデートしています。
http://www.ffwc.net/
また、当地ドナー調整グループのウェブサイトにも、洪水支援関連の情報に加え、洪水の最新状況や洪水予測などが掲載されています。
http://www.lcgbangladesh.org/flood2k4/index.php
洪水後の時期にとくに注意すべき病気として、食中毒症、水系伝染病(下痢症(ウィルス性、細菌性)、細菌性赤痢、アメーバ赤痢、コレラ、E型肝炎、A型肝炎、腸チフス)、デング熱、蛇咬症、皮膚病があげられます。
これらの予防策としては、以下のものがあげられますので参考にしてください。
1.汚染されている可能性のある水や氷、生野菜、ヨーグルト等は避ける。水道水も危険。
2.調理後時間が経ったものは食べない。とくに蠅がたかった後は注意。
3.蚊に刺されないよう防御する。
4.洪水の水に触れない、近づかない。
黄疸、腹痛、持続的な下痢や発熱等の症状があれば専門医を受診することをお勧めいたします。
● アジア文化会館同窓会生け花・日本文化教室のご案内(ダッカ)
1966 年に日本で高等教育・トレーニングを受けた帰国生の同窓会として活動を開始したアジア文化会館同窓会( ABKD )は毎週金曜午前(初級:午前9時〜 10 時、中級: 10 時 30 分〜 12 時)生け花教室を開催しています(前期:1月〜6月、後期:7月から 12 月)。またアートフラワー作りや日本文化のデモンストレーション等も行われる予定です。ご関心のある方は下記までご連絡下さい。
ABKD 生け花・日本文化教室
住所: House-5/9 ( Ground Floor ), Block-D, Lalmatia, Dhaka-1207
電話: 861-3856 、 967-3413
講座受講料:入学金 200 タカ、授業料(6ヶ月分) 1,800 タカ
● 国際協力情報サイト「 PARTNER 」
JICA 国際協力人材センターのウェブサイト「 PARTNER 」では、国際協力の求人情報や研修・セミナー情報の閲覧、及びオンラインでの国際協力人材登録が可能です。詳しくは下記のウェブサイトをご参照下さい。
http://partner.jica.go.jp
【3】特別寄稿「シレット洪水緊急援助報告」
( 13 年度2次隊・ポリオ対策:阿部久美子氏)
洪水の国バングラデシュ。毎年当然のように訪れる洪水に、人々は当然のように船での移動を始め、家の庭で魚捕りし、子供たちは洪水の水ではしゃいでいる。
この国に来て3年目。またこの季節が来たか、と思いながらフィールドへ向かう。しかし、今年はなんだか様子が違った。
一面田んぼだった平地が、すっかり海になり、家々が小島のように浮かんでいる。牛や山羊たちは行き場をなくし、海の真ん中に長く一本浮いている幹線道路でウロウロ。道の両脇は家から運び出した家財道具と避難民たちで埋め尽くされている。唯一水牛だけが水の中で気持ち良さげに群をつくって泳いでいた。今年の洪水は、ひどい。
腰まで浸かる水の中で、きれいな飲み水へのアクセスと電気が閉ざされ、服や鍋までも流され料理もできない。洪水被害が一番大きい私の任地シレットへ、 JICA 事務所から緊急に薬品、ろうそく、ビスケット、そして政府メディカルチームの移動に係る船代の援助がきた。
私の配属先が県保健衛生局ということもあり、薬品と船代の配布は配属先にお願いし、せめてビスケットだけでも自分の手で子供たちに配ることにした。シレットにいるアメリカ平和部隊と VSO のイギリス人ボランティアもぜひ協力したいということで、彼らと共に船で村へ向かった。
もの凄い光景であった。点在する島々を目指して大海(洪水)を小舟で横断し、島(村)にたどり着くと、子供や大人までもがどっと押し寄せる。
ビスケットを皆に配りたいのに、とにかく自分にくれとたくさんの小さな黒い手が伸びてくる。後ろからは母親たちが自分にもくれと私の服を引っ張り、一人で二つもらっていると言っては喧嘩が始まり、大混乱。ビスケットはあっという間になくなった。
島になってしまった彼らの村で、食糧へのアクセスは男性たちが船で遠くの市場まで行く以外に手段がない。しかし洪水で仕事もできないその日暮らしの彼らは市場へも行けない。そうなると一番必要なのは食糧である。
今栄養を与えておかなければ、洪水後に発生する感染症や様々な病気にも罹りやすくなる。服も全て流されたという避難民からは着る物が必要だという声も多かったが、暑いこの季節に服よりも食べ物の援助の方が正解であった。
緊急事態に、被害に会った人々のニーズに応えるということがいかに大変で重要なことか、今回の活動を通して痛感した。配属先に手渡された経口補水塩( ORS )をはじめ各薬品も不足していた物だったため、配属先の上司からも大変感謝して頂いた。
普段滅多に “ ありがとう ” を言わないベンガル人が3日連続 “ ありがとう ” を言った。1年分の “ ありがとう ” を言われてしまった気分である。それだけニーズに合った援助が緊急にできたのだと思う。大変良い結果であった。
【4】バングラデシュ案内・第 10 回「少女ショミティ訪問」
「特定非営利活動法人 シャプラニール=市民による海外協力の会」は農民達が自発的に作る生活向上のための相互扶助グループである「ショミティ」を導入し、この「ショミティ」の様々な活動を支援しています。この「ショミティ」、最近は大人によるものだけではなく、子供や少女のショミティもあります。
私達が訪れたマニクゴンジ県ギオール郡チョトポイラ村の少女ショミティは 2004 年2月に約 12 〜 16 歳の少女 29 名が作ったショミティです。シャプラニール・ダッカ事務所の中森さんを通して少女達の話を聞いていくと、とても活発に活動していることが伺えました。
週に1度の集会では貯金を集め、結婚制度や法律、衛生・健康問題について話し合い、学校の勉強を一緒にすることもあります。村の地図の作成、村の出生率調査、独立運動の一環としてのベンガル語公用語化運動などテーマを決めての壁新聞作成、シャプラ新聞への投稿、他のショミティとの交流、遠足の企画、その他村道の補修、ポリオの接種、イード祭の時に村の貧しい人にお金を寄付するボランティア活動等もしています。
元々メンバーの家の庭先で行われていた集会も、現在では村のイベントで演劇を催してメンバー自らが集めたお金に他のショミティ、有志の寄付を合わせて作った集会場で行われています。壁には地図や新聞、年間行事予定などが貼られ、来訪者を歓迎する「 Welcome 」という飾りが付いていました。
結婚で9名が辞めて現在は総勢 20 名のショミティメンバー達はとても快活で明るく、質問にも屈託なく応えてくれました。なりたい職業は学校の先生や看護婦さん、 NGO の職員など。結婚は?と聞くと、結婚は是非したい、子供は男女1人ずつ等と答えが返ってきました。女の子の結婚にはダウリー(持参金)の支払でお金がかかるので、女の子はあまり欲しくないのではないかと想像していたのですが、そうでもないようです。
好きな人はいるの?という質問にも数人が恥ずかしそうに顔を赤らめながら話してくれました。みんなの好きなタイプは背が高く健康的で、ハンサムな人という事で、所変われども女性の男性に対する好みはあまり変わらないものです。ちょっと違うのは色白の人がいい!という意見が多かった事。それから、髭をのばした人は好まれないそうで驚きました。
自分の夢を語り、自ら主体的に色々と活動し、人生を切り開きたいという意志を持つ少女達の明るい笑顔を見ていて、少女の活動を暖かく見守る村人達の健全さ、シャプラニールが導入し、そこから独立した STEP に引き継がれた「精神」が着実に村人達の間に根付き、更なる広がりを見せていることが伺われました。
シャプラニールの活動に関する情報は下記のウェブサイトでご覧になれます。
http://www.shaplaneer.org/
(大使館広報文化班・河野秀美)
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