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日本語の最新号及びバックナンバー


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    日本・バングラデシュ交流メールマガジン(第 5号・2004/04/15)
        ?日本とバングラデシュの橋渡しのために?
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□ 目次 □

【1】堀口大使メッセージ「『ガバナンス』について」

【2】最近の日本・バングラデシュ関係

[これから]
●地震対策セミナー(4月17日・ダッカ)
●「バングラデシュの医療・保健事情」に関する情報交換会
(4月18日・ダッカ)
●ナショナル・プレス・クラブでの堀口大使講演会(4月20日・ダッカ)
●JICA・経済関係局(ERD)共催ODAセミナー(4月21日・ダッカ)
[これまで]
●インディペンデント大学に対する図書寄贈式(4月15日・ダッカ)
●日本人写真家の写真展開会式(4月2日(展示は13日まで)・ダッカ)
●ダッカ草の根無償資金協力3件の小切手引き渡し式(3月31日・ダッカ)
●国際研修協力機構(JITCO)ミッション来訪(3月27〜30日・ダッカ)
[おしらせ]
●バングラデシュ安全対策基礎データの改訂
●AKTELの携帯電話番号の変更

【3】特別寄稿

「パン・パシフィック・ショナルガオン・ダッカ813号室から」
(パン・パシフィック・ショナルガオン・ダッカ副総支配人:小松学氏)

【4】バングラデシュ名所案内・第1回「独立戦争博物館」

【5】訂正のお知らせ


【1】堀口大使メッセージ「『ガバナンス』について」

「バングラデシュ開発フォーラム」(BDF)が近づいてきました。昨年5月着任後間もなくBDFに出席しましたが、感心したことは、本来経済的社会的な問題が取り上げられるべきBDFの場で、「ガバナンス」の問題がかなりのウェートをもって取り上げられていたことです。サイフル・ラーマン大蔵大臣率いるバングラデシュ政府代表団も、この難問から逃げることなく多くの質問に答え「反腐敗委員会」の設立を約束しました。

その時から1年が経ちましたが、「ガバナンス」がバングラデシュ発展の最大の鍵である状況に変わりはありません。確かにこの間(2月17日)「反腐敗委員会設立法案」が国会で可決されましたが、本会議での採択時に出席していた議員数は58名にすぎず、果たして反腐敗委員会の設立だけでどの程度「ガバナンス」が改善できるのか気がかりです。

「ガバナンス」を一言で表す適当な日本語がないのですが、世銀代表によれば、法と秩序、人権、腐敗、民主化および地方政府の5つを指すそうです。それぞれが非常に重い課題ですが、バングラデシュの現状において最も緊急な課題は法と秩序の改善であり、さらに言えば法と秩序を悪化させている腐敗ではないかと思います。グンナー・ミュルダールのいう「ソフト国家」の定義通りに、腐敗がこの国の至るところで法と秩序を蝕んでいます。その改善のためには政治家および国民の政治的意志が必要ですが、どうすればかかる政治的意志ないし国民的コンセンサスを形成できるのでしょうか。

現在、JICAの専門家グループがダッカ市の固形廃棄物処理システムのためのマスター・プランを作成中ですが、先日発表された中間報告によりますと、廃棄物処理システムには二つの柱があり、一つは技術的なもの、もう一つは精神的なものです。このうち技術的な柱は、いかにゴミを収集し、いかに集めたゴミを処理し、またいかに関連機器や施設のメンテを図るかなどであり、対応は容易ではないが非常に困難でもないとされています。これに対し精神的な柱の方は、いかにダッカ市民にゴミを捨てさせないか、いかに街を清潔に保たせるかなど意識改革、行動改革を求めるもので、その実現には多くの困難が予想され、学校教育を含む長期にわたる国民的精神運動の必要性が指摘されています。

腐敗の問題は、少なくともダッカ市のゴミ問題と同じかそれ以上の取り組みが必要かと思われます。「反腐敗委員会」の設立はいわば技術的な要件であり、腐敗を真になくすには精神的な取り組みが不可欠です。私が小学生当時、日本は敗戦後の社会秩序の再構築が喫緊の課題でしたが、どこに行っても「あなたが規則を守れば、規則があなたを守ります」とか「人は右、車は左を守りましょう」とかの標語を、街頭のスピーカーから耳にタコができるほど聞かされたものです。今振り返れば、日本においても「良い社会を築こう」との国民的コンセンサスは最初からあったのではなく、このような精神運動を通じて徐々に育っていったのだと思われます。バングラデシュでも先ず、立派な民族国家を築こう、そのためには社会から腐敗をなくそうという国民的な精神運動を始めてはどうかと思います。かかる運動を始めればやがて「ガバナンス」改善への国民の政治的意志ないし国民的コンセンサスが次第に育ってくるのかも知れません。今後機会を捉えて、このような考え方をバングラデシュの要人に伝えてみたいと思っています。


【2】最近の日本・バングラデシュ関係

[これから]
●地震対策セミナー(4月17日・ダッカ)
4月17日(土)午後2時よりショナルガオンホテルにて、JICAとバングラデシュ気象庁(BMD)の共催により、地震対策セミナーが開催されます。現在、5名の地震対策専門家が2週間の予定で当地を来訪中です。今回のセミナーでは、その専門家の皆様を交え、バングラデシュにおける地震対策の改善に向けて意見交換を行う予定です。ユスフ災害対策大臣、堀口大使も出席し、挨拶を行う予定です。

●「バングラデシュの医療・保健事情」に関する情報交換会
  (4月18日・ダッカ)
当地で生活する在留邦人の皆様及び医療・保健関係者の皆様に幅広くご参加いただき、当地の医療・保健事情について説明・情報交換を行うための会を、4月18日(日)午後5時より当館会議室にて開催します。冒頭、当館の松原医務官と、国際保健人口研究所の我妻先生から、写真も交えて最新の状況をご説明いただいた後、質問・情報交換に移ります。健康に生活するため当地の医療・保健事情を知りたい一般の方、また医療・保健分野で仕事をしており情報をお持ちの方のいずれも歓迎です。席上各種質問も受け付けます。出席希望者は大使館総務班までお気軽にご連絡いただければ幸いです。
(電子メール:mail@embjp.accesstel.net

●ナショナル・プレス・クラブでの堀口大使講演会(4月20日・ダッカ)4月20日(火)、ナショナル・プレス・クラブの主催により、同クラブのジャーナリストを招いての堀口大使講演会が開催される予定です。日本・バングラデシュ関係について、政治、経済、開発、文化・人的交流など幅広い分野を取り上げます。講演に際して参考となるようなご意見、情報やエピソード等がありましたら、大使館までお寄せいただければ幸いです。
(電子メール:mail@embjp.accesstel.net

●JICA・経済関係局(ERD)共催ODAセミナー(4月21日・ダッカ)4月21日(水)午前10 時〜午後4時、ショナルガオンホテルにて、JICA・バングラデシュ経済関係局(ERD)共催でのODAセミナーが開催されます。日本のODA対するバングラデシュ政府関係者の認識を深め、今後のより優良なODA案件の形成を目的とするものです。午前中は、対バ経済協力方針(総論、セクター別、スキーム別)を紹介し、午後は、バングラデシュでの事例を取り上げつつJICAの技術協力の考え方を紹介し、議論を行います。ご関心がある方は、JICAバングラデシュ事務所(菅原所員)までご相談ください(電話8124551)。

[これまで]
●インディペンデント大学に対する図書寄贈式(4月15日・ダッカ)
4月15日、堀口大使は当地インディペンデント大学のバズルル・モビン・チョードリー副学長に対し、日本の歴史、社会、経済、文化等に関する書籍計31冊を大使館にて引き渡しました。プレスリリースは近日中に大使館ホームページに掲載されます。

●日本人写真家の写真展開会式(4月2日(展示は13日まで)・ダッカ)
4月2日、シルポコラ・アカデミー・新館ギャラリーにて、写真家の小林博子氏がバングラデシュの女性を中心に子供達、自然風景等をテーマに撮影した写真の展示会の開会式が行われ、アーメド・シルポコラ・アカデミー所長、堀口大使他が出席しました。堀口大使は以下のスピーチを行いました。

http://www.bd.emb-japan.go.jp/en/embassy/speeches/14sphpexh020404.html

●草の根・人間の安全保障無償3件の小切手引き渡し式(3月31日・ダッカ)3月31日、堀口大使はAssociation for Integrated Development-Comilla、Surid Sangha、NoakhaliRural Action Society(N-RAS)の3つのNGOに対して草の根・人間の安全保障無償資金協力の小切手を大使館で引き渡しました(協力総額は約2070万円)。プレスリリースは次のウェブサイトに掲載しています。

http://www.bd.emb-japan.go.jp/en/news/pr/10pressggp010404.html

●国際研修協力機構(JITCO)ミッション来訪(3月27〜30日・ダッカ)3月27〜30日、国際研修協力機構(JITCO)のミッションが来訪しました。JITCOは、草の根レベルで実践的な技能を移転することを目指し、日本の中小企業による外国人研修員受け入れを支援する機関です。今回は、バングラデシュ人を研修員として受け入れることが可能かどうかの事前調査を行いました。本事業の実施については、今後日本で検討されることになります。

[おしらせ]
●バングラデシュ安全対策基礎データの改訂
今般、バングラデシュ安全対策基礎データが改訂されました。犯罪状況、防犯対策、ビザ、出入国審査、滞在時の留意事項、風俗、習慣、健康等について、下記の外務省海外安全ホームページに簡潔に掲載されています。
http://www.pubanzen.mofa.go.jp/info/info4_S.asp?id=012

●AKTELの携帯電話番号の変更
既に新聞報道等で御承知の方も多いと思われますが、4月6日よりAKTELの携帯電話番号が変更となり、「018」の後に「9」が加えられることになりましたので、AKTELの携帯電話へおかけの際はご注意願います。なお、「9」のあとに続く番号は変更ありません。


【3】特別寄稿

「パン・パシフィック・ショナルガオン・ダッカ813号室から」
(パン・パシフィック・ショナルガオン・ダッカ副総支配人:小松学氏)

私が副総支配人としてパン・パシフィック・ショナルガオン・ダッカに着任してまだ間もない昨年5月、国際会議のVIPを送るためにホテルの宴会玄関でスタンバイしていると、ダークグレーのパリッとしたスーツを着こなし、こちらのトップクラスのビジネスマンという雰囲気の紳士が、「このホテルは私とゴトーさんとで作ったんだ。」と日本語で話かけてきました。「ゴトー」は、私が入社したときの東急グループの五島昇会長のことだとすぐにわかりましたが、果たしてこの紳士はだれなのか、ホテル建設に取り掛かるまでの苦労話を5分ほどお聞きしてもまったく見当もつかず、そのまま紳士はバングラデシュの国旗をつけた車にて立ち去ってしまいました。結局、その車のドアを閉めたドアマンに聞いて、モルシェド・カーン外務大臣だとわかりました。

正式には、国際経済協力基金(現JBIC)によってバングラデシュ政府にホテル建設資金の融資がなされ、当時、日本・バングラデシュ協会及び日本・バングラデシュ議員連盟の会長であった早川代議士の尽力によって、ホテルの海外進出を始めていた東京急行電鉄の2代目社長の五島昇にホテル運営の打診があった、とのことです。日本のODAのプロジェクトとしては珍しい、世界の最貧国に国際級クラスのホテルを建てるというプロジェクトを実現したのがこのパン・パシフィック・ショナルガオンです。パン・パシフィックというホテルブランドは、五島昇が1970年代から提唱した環太平洋経済圏を起源としています。

日本の開発援助の目に見える成功例としてこのホテルは、バングラデシュの迎賓館の役目を23年間担ってきました。クリントン米国大統領、ムシャラフ・パキスタン大統領、メガワティ・インドネシア大統領、クマーラトゥンガ・スリランカ大統領などの国家元首、ソフィア・スペイン王妃、マリア・テレサ・ルクセンブルグ大公妃などのロイヤルファミリー、オードリー・ヘップバーンなどのUNICEF親善大使などの世界的な著名人が宿泊したのが最上階の最西端に位置するインターナショナルスイート813号室です。 

バングラデシュの受け入れ側の責任者と、宿泊するVIPの事務方とのやり取り。もうほとんどの国では行われなくなったVIPへの食事検分(毒見)を厳密に行おうとするバングラデシュのドクターと、熱いものを熱いまま食べてほしい熱血シェフの対決。ここでは書けないようなこの部屋のお客様にまつわるエピソードが、いままでの一年の間の私の勤務中にも生まれました。

この部屋に泊まっているVIPと話す機会がある毎に必ずといっていいほど聞きたくても聞けなかった質問があります。 

“お部屋からの眺めはいかがですか?”
1995年この部屋に泊まったヒラリー・クリントンがその著書“リビング・ヒストリー”で、その質問に答えてくれました。 

I could see a wooden fence that ran between shanties and garbage heapson one side and the swimming pool and cabanas where visitors like me could enjoy a drink and a swim on the other. It was like looking at a stereopticon of the global economy.

(宿泊先のダッカのホテルの窓から木製の柵が見えた。それを境にして向こうには掘っ立て小屋とゴミの山。こちら側にはプールと脱衣所があり、私のような旅行者がお酒や水浴びを楽しんでいた。まるで世界経済をステレオ幻灯機に映して見ているような眺めだった。(酒井洋子訳))

この本を読んだ後、外務大臣に聞いてみたいことが、ひとつ増えてしまいました。


【4】バングラデシュ名所案内・第1回「独立戦争博物館」

在バングラデシュ日本大使館広報文化班の河野秀美と申します。今般、バングラデシュ名所案内を新たに寄稿することとなりました。第1回では、ダッカ市にある独立戦争博物館(Liberation War Museum)をご案内します。

独立戦争博物館は、1996年3月22日、政治に左右されずにバングラデシュ独立達成までの歴史を整理し、広く一般国民、特に若い世代に知らしめようという志を持った8名の発起人と協力者により設立された私立の博物館で、本年で創設8年を迎えています。

独立博物館には、バングラデシュの近代史、すなわち英領統治時代、インドの独立、東パキスタン時代からバングラデシュが独立を達成した1971年12月16日迄のバングラデシュがたどった波乱万丈の歴史が、当時の出来事を伝えた新聞記事や写真、当時の歴史的人物が使用した様々な物品、独立戦争に用いられた武器等の展示物を交えて淡々と説明されています。

特に1952年2月21日の語学運動(パキスタン政府のウルドゥー語の公用語化に反対した学生達のデモ隊にパキスタン軍が発砲した事件)後の史実を物語る資料には、バングラデシュを貧困に苦しむ開発途上国という点でのみ捉えがちであった私に、バングラデシュ国民が自らの言語・文化・国という価値を守るために大きな犠牲を払いつつ戦った歴史を改めて思い起こさせてくれました。

1971年3月25日からのパキスタン軍のバングラデシュ国民の虐殺、レイプなどの犯罪行為を示す資料・写真等の展示は戦争行為の残虐さ・バングラデシュ国民の味わった苦しみを如実に伝えています。

私はこの博物館を訪れてバングラデシュという国を再発見し、日々の生活の中で、ともするとバングラデシュの人々に尊敬・尊重の念をもって接することができなかった自分を反省する機会を得ました。私たちがダッカに暮らし、日々接しているバングラデシュの人々に対する理解を深めるためにも、是非多くの人々にこの博物館を訪れて頂ければと思います。

設立者の方からは、バングラデシュの政治的対立に巻き込まれず中立の立場を確保するため、国民が独立という目標に向かって一つにまとまっていた1971年12月16日までの歴史のみを取り扱っているということ、当国の歴史教育にはBNPとアワミ連盟の政治的対立が反映され、政権が変わる毎に教科書の記述が変わることから、博物館は特に中・高校生に対して、バングラデシュの独立に拘わる正しい歴史を伝える事を主要な目的としていること等を伺いました(博物館では中・高生を対象に教育プログラムを実施しています)。また、バングラデシュが現在の困難な状況に打ち勝つためには、この博物館がよってたつ「多様性の尊重」や「ベンガル人の団結」といった価値が国民に共有される必要があるということもおっしゃっていました。

この独立戦争博物館はハイコート地区他に隣接するセグンバギチャ(バングラデシュ・シルポコラ・アカデミーもこの地区に所在)地区に位置し、英領統治時代の民家を改造した白壁の美しい建物を改造して作られています。博物館にはティールームや絵はがきやキーホルダーなどの博物館グッツを販売するショップも隣接しています。

開館日:日曜日を除く月曜〜金曜日
開館時間:午前10時〜午後6時
入場料:3タカ
住所:5, Segun Bagicha, Dhaka-1000
電話:880(国番号)-2(市街局番)-955-9091
FAX:880-2-9559092
電子メール:mukti@citechco.net


【5】訂正のお知らせ

第4号メールマガジンの【1】堀口大使メッセージ「バングラデシュの医療と『クムディニ精神』」のなかで、「ナラヤンゴンジのミルザプール村にあるクムディニ病院」と言及しましたが、ナラヤンゴンジに所在するのはクムディニ・ウェルフェア・トラスト(クムディニ・ホスピタル、看護学校、医科大学、女学生の寄宿学校等の親団体)であり、実際のクムディニ病院はタンガイル県のミルザプール郡にありますので訂正致します。


●本メールマガジンは、当地在留邦人の皆様及び希望者に送付しております。本メールマガジンの配信開始・変更・中止のご希望がありましたら、編集部までご連絡いただければ幸いです。
●本メールマガジンに対するご意見・ご感想、今後掲載する記事・情報に関するご示唆等をお待ちしております。また、本メールマガジンの特別寄稿を執筆頂ける方を(自薦・他薦とも)募集しております。お気軽に編集部までご連絡いただければ幸いです。
●編集部のメールアドレスは次の通りです。

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発行:在バングラデシュ日本国大使館
Embassy of Japan (本館)
Plot#5& 7 Dutabash Road
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