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大使館発邦人安全情報

最近のバングラデシュ治安情勢

平成21年4月8日
在バングラデシュ日本国大使館

1.概況

 バングラデシュでは、 2004 年、2005年と全土でイスラム原理主義過激派による爆弾テロなどが度々発生し、国内治安情勢は悪化していました。20071月に総選挙の実施を巡る混乱から非常事態宣言が出され、政治活動などは制限されましたが、治安面では各種犯罪の取締の強化につながり、次第に治安状況が回復しました。200812月には非常事態宣言が解除された上で7年ぶりの総選挙が実施され、アワミ連盟が地滑り的に勝利し、20091月にアワミ連盟のハシナ党首を首相とする内閣が誕生しました。その後2009225日には、首都ダッカ市内の国境警備隊(BDR)の本部敷地内で、隊員の処遇改善などを求めた反乱があり、陸軍からの出向者など70人以上が殺害されました。この事件は、226日には反乱兵士が投降したことにより一応収束しましたが、現在も詳しい動機や状況は捜査中であり、未だに逃走した反乱兵士が多数捕まっておらず注意を要します。

 治安の改善に関しては、政府も重要課題と位置付けており、 警察をはじめ、軍、警察等から構成される緊急行動部隊 (RAB Rapid Action Battalion ) を全国に展開させるなど、取り組みを強化しています。

バングラデシュにおける治安情勢を要因別に考察すると、「政治的要因」「宗教・思想的要因」及び「社会的要因」に大別されます。これら3つの要因を背景とする事案は、その主体や客体、事案の規模、武器の種類、社会的な影響等が大きく異なっています。

2.治安情勢の要因別考察

( 1 )  政治的要因を背景とする事案

 バングラデシュでは、現政権党のアワミ連盟と最大野党のBNP ( バングラデシュ民族主義党)の二大政党間における政治的対立が長らく続いていましたが、この政治的対立の主要因は与野党党首間の反目によるものと言われております。現在は実施されていないものの、過去にはその時々の野党政党は、政権党の早期退陣を目的としてハルタル(ゼネスト)を頻繁に繰り返しており、ハルタル時には交通機関が麻痺し、商店も臨時休業するなど、市民の社会生活に大きな影響を与えていました。また、時として、野党の学生組織や臨時に雇われた若者等を含むデモ隊が商店や公共交通機関に対して放火や投石を行うなど過激な行動に出ることもあり、その結果治安部隊との衝突により多くの負傷者が出ていました。 

 現在でも、対立する政党支持者間での暴力事件や、政党の学生支部が引き起こすデモなどは度々発生しており市民生活に影響を与えています。また過去には議員や政治活動家の暗殺や騒擾を狙ったと思われる事件の発生もありましたが、治安機関の捜査能力や裁判の公平・透明性など多くの問題を抱えている現状では、事件の全容解明は困難な状況にあります。

 ( 2 )  宗教的・思想的要因を背景とする事案

バングラデシュには、武力革命によるイスラム革命を信奉するイスラム原理主義思想の強い武装グループが大小合わせて十数組織存在していると言われています。 2004年、2005年には、これらイスラム過激派組織が関与したとされる事件が多発し、主要事件としては、ハルカトゥル・ジハード・イスラミ・バングラデシュ( HuJI-B: Harqat-ul-Jihad-al-Islami-B ) による爆弾を使用した英国大使殺人未遂、ジャマトゥル・ムジャヒディン・バングラデシュ ( JMB ) による全土における同時多発爆弾事件などの爆弾を使用したテロ事件が頻発しました。

 近年発生した爆弾事件を検証すると、特徴として、第一にHuJI-B、JMBなどによる爆弾事件の発生にみられる「イスラム過激派組織の台頭」、第二に全土を対象とした爆弾事件やバングラデシュ初の自爆テロの発生にみられる「テロ攻撃の性質の変化」、第三に一般市民が集う映画館、演芸会場、聖廟等いわゆるソフトターゲットを標的とした爆弾事件の発生にみられる「テロ攻撃の対象の変化」が挙げられます。

 政府も、イスラム過激派組織の台頭に対し、強い取締り意欲を見せ、 HuJI-Bの幹部を逮捕し、死刑判決を下したり、JMBのリーダーに対しては死刑が執行されました。この他にも取締や監視の強化を継続的に行っており、度々構成員の逮捕や爆発物の押収などが報じられています。

 2008年中には大きなテロ事件発生しませんでしたが、国内にはイスラム原理過激主義テロ組織の他、共産主義のテロ組織も存在しており、中には国際的なテロ組織とのつながりを指摘されているものもあることから、今後とも注意を要します。

 20093月には、NGOが経営する南部ボラ県のイスラム神学校(マドラサ)兼孤児院から銃器や爆発物が押収され、イスラム過激派とのつながりも指摘されています。

なお、現在、バングラデシュ政府により活動禁止措置を受けているイスラム過激派組織は以下の4組織です。

シャハダット・イ・アル・ヒクマ ( SAH: Shadate-e-Al-Hikma
2003
2 9 日活動禁止措置命令

ジャマトゥル・ムジャヒディン・バングラデシュ ( JMB: Jamaatul-Mujaheedin-Bangladesh
2005
2 23 日活動禁止措置命令

ジャグラタ・ムスリム・ジャナタ・バングラデシュ( JMJB: Jagrata-Muslim-Janata-Bangladesh
2005
2 23 日活動禁止措置命令

ハルカトゥル・ジハード・イスラミ・バングラデシュ( HuJI: Harqat-ul-Jihad-al-IslamiB
2005
10 17 日活動禁止措置命令

( 3 ) 社会的要因を背景とする事案

バングラデシュが抱えている貧困、就職難、国境警備の困難性などの社会的不安定要素に起因する殺人、持凶器強盗、各種密輸入等については、その犯罪発生状況を客観的に判断するための信頼できる犯罪統計が公表されていませんが、かなりの件数が発生していると推測できます。

 バングラデシュの一般犯罪の大きな特徴としては、複数犯で犯罪を行う場合が多いこと、そして犯行に当たり銃器や刃物を凶器として使用することが非常に多いことです。 武器類に関しては、手製爆弾や違法銃器が国内に広く蔓延していると見られ、治安当局の取締りによって頻繁に押収されている状況にあります。

犯罪の内、一般的に特に気をつける必要があるのは、強盗の類で、犯行がグループで行われる場合が多数を占めており、中でも、夜間、オート三輪車、タクシー、長距離バスに乗車中の強盗被害が多く、外国人、バングラデシュ人問わず被害に遭っており、強盗から殺人に発展することもよくあるようです。

また、労働者による賃上げデモが突発的に起こることがあり、治安部隊との衝突で負傷者がでたり、交通渋滞を引き起こしたりしていますので注意が必要です。

このほか、バングラデシュ国内の交通状況は劣悪で、過積載のトラック、定員オーバーのバス、整備不良の車、オートリキシャ(CNG)、リキシャ、歩行者等が交通規則を遵守せず走行しており、かつ渋滞も日常的であるため、交通事故が多数発生しています。トラックやバスは郊外の道路で横転して死傷者がでることがよくあり、また市内でも追突などにより、車両が構造的に弱いオートリキシャ、リキシャの乗員が負傷することがよくあります。

3.邦人被害の一般事件事例

 近年バングラデシュの在留邦人、旅行者で犯罪被害に遭っているのは、単独での旅行者が多いようです。バングラデシュにおける邦人被害の事件数は年間数件程度で推移していますが、バングラデシュの治安状況を紹介した資料は数少ないため、情報不足のまま入国される方も多く、その結果強盗等の被害に遭ってしまうケースも少なくありません。ここでは、実際に発生した邦人被害の事件事例を紹介しますので、渡航の際の参考としてください。

【事例1:集団持凶器強盗−エンジン・プロブレム強盗−】

個人旅行中の邦人男性(30歳)は、午後8時頃、宿泊中のホテルから空港へ向かうために、ホテル前に停車していた黒色小型タクシーに乗車したところ、発車後1分経った時に運転手が「エンジン・プロブレム」と声を発して路肩に停車し、その直後に突然3人の男に乗り込まれ、身の危険を感じて咄嗟に車外に出ようとした結果、刃物で脇腹を刺され、さらにタクシー内に押し戻され金品を強取された。

 (注:ドライバーが「エンジン・プロブレム」との言葉を発したり、故意的に車両の速度を減速するなどして車両を路肩に停車させ、その直後に待ち伏せしていた集団強盗グループが乗り込んでくる手口を通称「エンジン・プロブレム強盗」と呼び、特にダッカ市内で発生しています。)

【事例2:集団強盗−エンジン・プロブレム強盗−】

 個人旅行中の邦人男性(37歳)は、午後7時頃、宿泊ホテル近くのマーケット前においてオート三輪車(通称 CNG )に乗車したところ、発車2分後に同三輪車がエンスト状態となったため路肩に停車し、その直後に突然両脇から3人の男に乗り込まれ、シートに押さえ付けられた上手拳で殴打され、さらに再発進した同三輪車内に監禁状態となった上で金品を強取され、約15分間連れ回された挙げ句両目を塗り薬様のもので目潰しされ、路上に放置された。

【事例3:集団持凶器強盗−ハイウェイ強盗−】

 個人旅行中の邦人男性(28歳)は、夕刻インドから陸路バングラデシュに入国し、ダッカ市内に向うため夜間の長距離バスに乗車していたところ、午前2時30分過ぎ、乗客の内約10人位が突然強盗集団と化し、刃物を突き付けられた上金品を強取された。

 (注:長距離バスに予め強盗集団が乗り込み、走行途中の車内で突如強盗を敢行する手口を通称「ハイウェイ強盗」と呼び、バングラデシュ各地の主要幹線道路において、特に夜間帯に発生しています。)

【事例4:ひったくり】

 知人宅訪問目的で訪れた邦人女性(31歳)は、午前7時30分頃、リキシャに乗車中、後方から近付いてきた黒色小型タクシーの助手席の男に窓越しにショルダーバッグをひったくられ、その勢いでリキシャから放り出されるとともに数十メートル引きずられた。

 (注:リキシャ乗車中の女性が肩に掛けているショルダーバッグを、車両を利用して後方から近付きひったくる手口は度々発生しており、特に、引っ張られた挙げ句、車高の高いリキシャから放り出されて怪我をする事案が多いことから、バッグの持ち方には注意を要します。)

【事例5:誘拐】

知人宅訪問目的で訪れた邦人男性(58歳)は、ジア国際空港に到着した直後に空港内で2人の男に声を掛けられ、不審に感じつつも知人が差し向けてくれた出迎え者と考え同人らに同行したところ、そのままホテルに軟禁され、さらに知人に対しては身代金が要求されたが、治安機関によって救出された。

(注:ジア国際空港付近には、昼夜不特定多数の者が参集しており、日本語や英語で声を掛けてくる者も多く、必要がなければはっきりと断り、気軽に付いていかないようにしてください。)

4.外国人被害の一般事件

 2009年に入りバングラデシュの在留外国人被害の強盗事件が連続発生しています。外国人が多く居住するグルシャン地区において、夜間車に乗った犯人が窓から手を出してリキシャ乗車中や歩行中の被害者のバッグをひったくる、数人で被害者を取り囲み刃物で脅して金品を奪うという手口です。男性、女性関係なく被害に遭っており注意を要します。

 

安全対策の詳細については、以下の安全対策マニュアルをご覧下さい。

http://www.bd.emb-japan.go.jp/jp/content/japan1.html

                                          

 

 
      

 

 
 
 
 
 
         
 

                           

                     

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