2014年3月23日、在バングラデシュ日本大使館で、草の根・人間の安全保障無償資金協力に関する贈与契約の署名式が行われました。佐渡島志郎駐バングラデシュ特命全権大使は、当地NGO「バングラデシュの開発のためのキリスト教団」代表と121,939米ドルを限度とする「バンダルバン丘陵地区先住民族のための食品加工施設建設計画」、同じく当地NGO「総合的開発財団」代表と121,946米ドルを限度とする「カグラチョリ丘陵地区貧困農家のための農業訓練所建設計画」に関する贈与契約を結びました。
日本政府は、チッタゴン丘陵地帯において、これまで草の根・人間の安全保障無償資金協力を通じ、カグラチョリ県丘陵評議会による「カグラチョリ丘陵地区灌漑整備計画」、国連開発計画による「チッタゴン丘陵地帯における多目的コミュニティセンター建設計画」、ブラック(バングラデシュ農村振興委員会)による「チッタゴン丘陵地帯コミュニティーベース・ヘルスケア・プログラム強化計画」を支援することにより、同地域住民の生活向上及びそれを通じた「平和の定着」に貢献してきました。今般の2協力は同地域の住民の生計向上と地域の経済社会発展をさらに後押しするものになります。
バングラデシュの開発のためのキリスト教団(Christian Commission for Development in Bangladesh (CCDB))は、1973年に設立され、1983年以降チッタゴン丘陵地区にて農業や園芸支援を通じた活動を行っており、特に先住民族の農家の貧困削減に貢献してきました。同団体は日本の協力を受けバンダルバン丘陵地区の少数民族生産者からなる組合結成を指導し、食品加工施設を建設します。同地では、経済社会開発が行き届いていない中、農家は自ら主要市場へアクセスすることが困難です。また、加工・包装・流通システムが不在の中、中間業者に農産物を安値で売却せざるを得ず、十分な収入を得られていない状況が続いています。同地域で収穫される農産物を衛生的に加工し、付加価値商品を販売したいという農家の声に応えることによって、農家の収入改善、しいては貧困緩和に貢献することが期待されます。
総合的開発財団(Integrated Development Foundation (IDF))は、チッタゴン丘陵地帯を中心に「バ」各地にて、貧困層に対するマイクロ・ファイナンス事業や農業・農村開発支援などを15年以上展開してきました。今般の協力を受け、同団体はカグラチョリ丘陵地区にて農業訓練所を建設します。同地では、伝統的に焼畑農業等を継続しているため生産性が低いほか、主要市場へのアクセスが困難であることから、全国平均と比べ農産物の販売収入に大きな格差があります。このような中、貧困農家は、新しい農業生産技術を身につけ、生産性を向上させることを切望しています。同団体を支援することによって、農家の所得の改善に貢献することを目指します。