草の根・人間の安全保障無償資金協力 署名式
−「ナチョール郡・タノール郡零細農家のための農業機材整備計画」及び「ウジルプール郡零細農家のための農業機材整備計画」−

2012年12月19日、バングラデシュ人民共和国の首都ダッカ市の日本大使館において、草の根・人間の安全保障無償資金協力に関する贈与契約の署名式が行われました。佐渡島志郎駐バングラデシュ特命全権大使は、当地NGOである「持続的な農業と社会経済開発団」代表と123,338米ドルを限度とする「ナチョール郡・タノール郡零細農家のための農業機材整備計画」に関する贈与契約を結び、同じく当地NGOである「社会開発奉仕団」代表と102,848米ドルを限度とする「ウジルプール郡零細農家のための農業機材整備計画」に関する贈与契約を結びました。両協力は、被供与団体が活動しているそれぞれの地域において農業機械を整備し、低価格で貧困農家に貸し出すことで対象地域の農業を支援するものです。
持続的な農業と社会経済開発団は、2001年以降バングラデシュ西部を中心に、貧困層を対象とした農業支援、教育、女性支援、公衆衛生、保健等の支援活動を展開してきました。今般協力の対象地であるチャパイノブゴンジ県ナチョール郡及びラッシャヒ県タノール郡では農業に関する技術指導を行なってきました。同地では、住民の多くが零細農家であるが、農業機械を所有している農家はおらず、生産性は極めて低い状況にあります。一部農家は大農家の所有する農業機械を借りることもあるものの、必要なタイミングで借りられない上、賃借料は高額です。農家は、必要なタイミングでの水の供給、作業日数の短縮化を通じ、生産コストの低減及び生産性の向上を図るため、農業機械の導入を望んでいました。
他方、社会開発奉仕団は、1987年以降バングラデシュ35県10,500村にて、貧困層を対象に農業支援、教育、女性支援、公衆衛生、保健、緊急支援等様々な支援活動に従事してきました。今般協力の案件地であるボリシャル県ウジルプール郡においては、貧困者の支援活動及び農村開発を展開してきました。持続的な農業と社会経済開発団の案件地同様、同地の住民の多くは零細農家です。同地でも機材の非所有及び賃借の不便さから農業は主に人力による耕作であり、作業効率が悪く、生産コストも決して低いものではなく、極めて非効率な状況にあります。また、気候的には3期作が可能な地域であるが、近年の気候の変化の影響及び作付け作物の価格と生産コストのバランスから2期作しか行えていません。同地でも農家は農業機械の導入を望んできました。
両プロジェクトはそれぞれの当該地域において農業機械を整備し、零細農家にも支払い可能な価格で貸し出すことで零細農家の農業生産の効率化、農業収入の向上を目指します。また、プロジェクトの運営・維持管理費、耐用年数満了後の機材の更新のための費用については同賃借料で全て賄う計画であり、プロジェクトの持続可能性を助長します。対象地域の農業生産の効率化による農業収入の向上を目指す両計画は、バングラデシュの貧困層の85% が居住する農村部の貧困削減に貢献することが見込まれます。
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