| English (英語) | サイトマップ 
Top > 大使館案内 > 堀口大使講演・意見交換会 > 意見交換

意見交換

堀口大使講演・意見交換会「我が国の対バングラデシュ外交の課題」

(2005年12月7日)

意見交換要旨

 

(問) SAARC オブザーバー資格について、政府間の国際会議でオブザーバーがどの程度関与できるのか、日本はオブザーバーになることで今後 SAARC においてどのような役割を果たすのか。

(答)日本と中国のオブザーバー資格参加について、インドは当初難色を示していたが、最後には同意した。オブザーバーにどういう資格で参加してもらうかはこれからの課題である。通常の国際機関のオブザーバーには投票権はないが、発言権、提案権はある。 SAARCについては、他の国際機関におけるような発言権 や提案 権 が与えられるかは 、具体的な点については今後の議論次第である。

日本のオブザーバー資格での参加による効果やメリットについては、オブザーバーになると域内でどのような問題が起こっているのか、それぞれの問題についての域内各国の問題意識を現場で直接聞くことができる点にある。臨場感を持った説明やニュアンスが分かる。オブザーバー資格での参加によって域内の問題についての加盟国のニュアンスを含む立場を理解し把握することが可能となる。それと同時に、温家宝中国首相が南アジアを訪問するなど決意を以て地域内での影響力増進を目指しているが、その攻勢に対してインドがどのように対応していくのか、第三者として傍観していい問題とまずい問題が出てくる。一方、日本と中国が共同して地域開発のために働きかける状況もあり得る。

(問)中国についてはオブザーバー参加を求めてきたという旨の報道がなされていた。日本については、突飛な形でオブザーバー参加が議題になり中国とともに認められたという印象がある。日本のオブザーバー参加が議題に上ったのは、日本として前もって働きかけをしていたからなのか。それとも加盟国の政治的思惑によるものなのか。

(答) SAARCは1985年に設立された が、 日本は1993年に日・SAARC特別基金を設立し、域内の地域協力を促進するようなプロジェクトにお金を出してきた。1999年には、SAARC事務局に口頭でオブザーバーになりたいと申し入れ 、 2001年には更に文書で申し入 れた。 申し上げた通り、域外諸国を入れないというインドの強い意向があって日本のオブザーバー参加申し入れは棚上げされてきた。しかし、中国のオブザーバー申請を 他の加盟国がプッシュし、 同調した。そこで、そういえば日本も申請していたなということ を 思い出してもらい、中国と同時にオブザーバー資格が認められることとなった。

(問)治安関係で質問というより意見を述べたい。大使館の積極的な情報発信に感謝している。先般、 JICA事務所において長崎大学教授による鳥インフルエンザに関する勉強会を行った。職員や家族の健康問題でいえば、鳥インフルエンザも大きなリスクになりうる。SARSの時に過熱した報道のせいで過剰反応した向きが少なくない。正しい情報を皆で共有することが非常に大切と感じた。

自分は JICAで民間セクター開発を担当しているので、国別援助計画の中で重点 セクター として挙げられており、やりがいがある。マドラサがバングラデシュ国内に1万ほどあるということから、教育セクターは、意外にも治安問題とも関係があると気付いた。マドラサは、政府のコントロール外でイスラム原理主義を教えている。政府サイドで基礎教育問題にしっかり取り組んでもらう必要がある。教育セクターは、長期的には治安とも関連した非常に重要なセクターであるので、教育セクターについての日本の支援の重要性を改めて感じた。

(答) SARSの時 の反応 は過剰反応だったという指摘がある。 最近の当国の治安状況について 外務省は渡航情報など情報発信をしてい たが、 チッタゴンの日系企業の方から、日本の本社の出張者が出張を見合わせるという状況になっているという話があった。どのような渡航情報を出すべきかは難しい問題である。大使館としては、現地がこういう状況にあり、できるだけ注意して欲しいという趣旨で情報を発信している。現地にいるとバランスをもって判断できるが、東京ではバングラデシュ情報に触れる機会は少ない。こちらの情報発信により配慮が必要であるのは確かだが、何かが起こってからでは遅く、大使館は何も教えてくれなかったと言われるのが一番辛い。企業関係では、現地事務所と本社とで意見交換を密にしてほしい。個々の相談には応じる。このような難しさの中で、情報をいかに扱っていくか今後更に検討したい。

マドラサについては、政府がコントロールし切れていないのが現状である。教育だけではなくほとんどの分野で、弱い政府をいかに助けながら開発を進めていくかがドナーの課題である。日本が主に支援しているのは初等教育である。マドラサは中等・高等教育省の担当であり、我々のプロジェクトの主担当となる初等教育省とは違う部局となっている。だからといって、中等・高等教育省が主管しているマドラサは日本には関係ないということではなく総合的に考えていきたい。現政府はジャマティ・イスラミとの連立もあり、腰の引けた対応を余儀なくされている。しかし、我々としては今後とも政府に働きかけていきたい。ドナーが働きかけると、政府内で議論をしやすくなる面があると思われる。

(問)今回で三回目の出席だ。その都度大使の話を聞かせてもらって感謝している。日本による経済開発区の建設、ジャパン・クラブの創設について大使の意見を伺いたい。今年4月頃の新聞報道によると、中国がミャンマーに経済開発区を設けるとのことである。 1200平方メートルの土地に中国側が発電施設、水道処理施設、道路、通信関係を整備し、税関、物流基地を設ける。さらに中国は金融部門を設けるという考えを表明している。日本がバングラデシュにおいて経済開発区を建設してベンガル湾経済圏、ベンガル湾岸諸国、BIMSTEC加盟国の企業を誘致するというアイデアはいかがか。大使館、JICA、JBIC、JETRO、世銀、ADBとともに民間セクター開発支援プロジェクトを推進して、法規制改革、ビジネス活動を所掌する政府機関の能力向上を推進していることは承知している。重複するかも知れないが大使の意見を伺いたい。

(答)輸出加工区、商業特別区、経済開発区は全て同じ発想である。政府に投資環境を整えるべくインフラを整備せよと働きかけても、なかなか進展しないのが現状だ。我々自身がすぐに操業できるような状況を造れないかという問題意識は前回の講演会で出た後にすぐ検討し、ラーマン投資庁長官にも申し入れた。具体的な用地が問題である。チッタゴンの製鉄所跡地が候補に挙がり、 JBIC天田首席や当館紀谷参事官が視察した。資金面で一部足りない面については債務 削減相当基金 等で援助しようという話も出た。工業機械を造り、新しい技術を導入して新しい輸出産品を作り、国民の生活レベルを上げていこうという政府のコミットメントが十分ではないところに問題の本質がある。こういう状況は根気よく政府に働きかけることはもちろん であるが 、彼等自身がその気にならないと進展しないのというのが正直な感想である。

ジャパン・クラブ創設については、 400数十人の在留邦人がいる中でどうしてジャパン・クラブがないのかという不満は分かるが、日本政府の財政状況や外務省が置かれている状況に鑑みて難しい。 一方、 JBCCIと相談しつつ大使館別館がある土地に大きなビルを建てて、一部をジャパン・クラブ、一部を大使館、一部を他企業用に使うというアイデア が出ている 。一昔前では許可を得られるのは難しかったであろうが、 世の中はどんどん変わっているので、可能か否か、 今その点の打診をしている。分割方式によるジャパン・クラブの創設の可能性については引き続き検討したい。

(問)在留邦人の子女の教育関係で質問がある。日本人学校や現地校に通っている小中学生が30名強いる。彼等は、国語・算数・数学が弱い。補習校を開校してもらいたいという要望が一部ある。インターナショナルスクールだと国語教育が全くなく、数学は速度や教え方が全く違う。ニューヨークでは日本人学校の他に補習校があり、日本式の国語、数学について補習授業を週末を利用して実施している。ダッカで実施すれば、金曜日と土曜日に日本人学校の一部を借りて補習授業をすることになる。

(答)エジンバラに駐在していた時に、スコットランドおよび北イングランドにはそれぞれ 1000人近い在留邦人がいたが日本語学校はなく補習校があったのを覚えている。特に日本語は家庭だけでは教えきれないので、算数、理科を含めて補習校を開いていた。しかし、日本人学校があるところにインターナショナルスクールに行っている子女のために補習校を 開く のは聞いたことがない。

(他の参加者)現在、ダッカには就学児童が 30数名いる。現地校、インターナショナルスクールに行っている子女は、そのうち3分の2であある。昨年12月に、教育財団から公使を招いて教育相談会を実施した時には参加者20名ぐらい集まり、インターナショナルスクールあるいは現地校へ行っている子供の父兄のうち何名かから、できれば週末を利用した補習授業についての要望はあった。

(他の参加者)日本人学校の現状(児童数の減少、教員数の削減問題)に鑑みて、インターナショナルスクールに行っている子女の父兄が補習校を要望するのはちょっとおかしいのではないか。

(問)ジア首相が訪日された時に、バングラデシュからの輸出を伸ばすということでバングラデシュ経済界は盛り上がった。その時に、トヨタはバングラデシュに工場を造らないかとか部品産業をここでやってくれという意見がたくさんあった。工場建設は、バングラデシュの観点では輸出入のバランスをとるために輸出を伸ばすというメリットがあるのだろう。しかし、内需がないところでは投資をすることは難しい。バングラデシュとしては、内需を発展させるような政策にもっと力を入れていくべきと考える。輸出加工区というよりも関税率の引き下げやインフラ整備など内需拡大につながる点を最優先にすべきと考える。

(答)一定の購買層が育たないと、そういう状況には行きにくい感がする。いろいろなところで、日本とバングラデシュの貿易不均衡が5億ドルぐらいあり、バングラデシュの輸出品目を増やしてほしいとか、そのためのアイデアはないかと質問される。海外投資を招くには、インフラの整備が不可欠である。教育のある人でさえも、トヨタの工場建設というような質問をするので自分も驚くことがある。内需のありそうな分野での投資があれば大賛成である。しかし、購買力が一部の富裕層に限られている現状に鑑みて、輸出向けの海外投資を誘致する、そのための条件整備をすることが優先されるべきなのではないかと考える。

(問)自分はダッカ滞在期間が来年で7年になる。毎年大使館や JICAの職員が日本人会並びに同好会に参加していただける数が減っている。特に若い方に顕著である。「開かれた外交・開かれた大使館」というメッセージの下、いろいろな活動にもっと参加していただきたい。日本人会名簿を見ると、大使館やJICA等政府系機関の職員が圧倒的に多い。民間は半分以下である。是非いろいろな活動に大使館やJICAの若い方の参加をお願いしたい。

(答)スタッフ・ミーティングで館員に伝えることと致したい。

Copyright© Embassy of Japan in Bangladesh, Plot No. 5 & 7, Dutabash Road, Baridhara, Dhaka-1212.  Tel: +88-02-8810087