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2008年6月(6月1日〜30日)の当地英字新聞の経済関連報道を取りまとめたところ概要以下の通り。
1. マクロ経済全般
・ CPDの研究によると、食料価格高騰とインフレ圧力の影響で、当国貧困層の総収入は07年1月から08年3月までの過去15ヶ月間で実質的に36%落ち込み、人口の8.5%が新たに貧困線以下に位置づけられると試算。(6/5 デイリースター紙(DS))
・ 当国の一人当たり所得は今年度599ドルに到達する見込み。前年度523ドルからの大幅な伸長となる。海外労働者送金の伸びが主な要因。(6/17 DS)
・ 5月度のインフレ率は4月度から少し上昇し7.44%となった。うち食料品は9.66%、非食料品は3.89%であり、食料品価格の高騰が著しい。(6/28 ニューエイジ紙(NA))
2. 財政
・ 政府は、現行の肥料への補助金政策に見直しをかける。現行の政策下では、小売価格を安値に抑え、買付額との差額を政府が補助金にて支出していたが、これにより安価に販売された国内肥料が印・ミャンマーなど国外に密輸されるという問題があった。今回の見直しはこのような現状への対応策となるもので、農民への現金支給による補助金政策に切り替え、現行の安価な肥料小売価格を次年度より引き上げる予定。(6/2 フィナンシャル・エクスプレス紙(FX))
・ 政府は尿素肥料の100%超の値上げに踏み切った。これにより、1キロあたりの尿素肥料価格は10.7タカとなる(これまでは5.3タカ)。尿素肥料価格は過去11年間同一に保たれており、その間、国営肥料工場の損失・政府補助金額ともに拡大し続けた。今回の値上げはその矛盾を解消するもの。(6/12 FX)
3. 国際収支
(1)貿易
・ 今年度4月までの10ヶ月間の輸入は前年同期比25%増加。(6/5 FX)
・ 輸入増を主因に、今年度の海外貿易は330億ドルに到達する見込み。この輸入の増加は国際的な物価高が原因。(6/14 NA)
・ 今年度4月までの10ヶ月間で冷凍食品輸出は4億4900万ドルを超え、前年同期比6.74%の伸びを記録した。(6/18 FX)
・ 今年度3月までの9ヶ月間の当国の輸入相手国第一位の座は中国からインドへと2年ぶりに戻った。なお、今年度当国の全輸入に占める割合は印16%、中15%。(6/27 NA)
・ 6月12日までの輸入支払額は前年同期比19.9%増となる191億574万ドルに上った。(6/27 FX)
(2)海外労働者送金
・ 2008年(暦年)5ヶ月間の人材輸出は前年同期比42.16%増。主にUAEとサウジアラビアの2カ国への輸出増が大きいことが原因。(6/4 FX)
・ 今年度5月までの11ヶ月間の海外労働者送金額は71億ドルに達し、前年同期比31%増となった。(6/5 ニューネーション紙(NN))
・ 今後2年以内に海外労働者数および送金額は減少傾向となる懸念がある。これは、主要な労働力の吸収先である中東およびマレーシアで新規雇用の禁止やバ人の雇用に上限を設ける動きがあることが背景。(6/7 DS)
4. 食糧
・ 小麦国際価格の下落をうけ、国内の小麦卸売価格は大幅に下落。しかし、小売価格への変化はなし。(6/2 FX)
・ 今年度のボロ米の収穫は過去最高となる見込み。1,972万トンのボロ米が既に収穫されているが、これは政府の目標値1,753万トンを大幅に上回る数字。なお、昨年度実績は1,612万トン、一昨年は1,550万トン。(6/3 NA)
・ 07/08年度は、3,583万トンの米・小麦の収穫があり、また、芋・野菜類などの非穀物品生産高は2,256万トンに上り、いずれも目標値を上回った。(6/9 NN)
・ 過去1年間で、生活最必需食料品9品目中7品目(米、小麦粉、食用油、砂糖、赤ヒラマメ、タマネギ、牛乳)で各々9〜54%の価格上昇となった。(6/9 NA)
・ 今年度のコメ輸入額は9億ドルに達する模様。2度の洪水とサイクロンの影響で220万トンのコメを輸入に頼ったことが原因。(6/12 NA)
・ 政府報告によると、最貧層の食料支出におけるコメ支出の割合は87%であり、たんぱく質と野菜への支出は残り13%に過ぎないとのこと。なお、コメ支出の割合は、06年は54%、07年は59%であり、08年は昨年度を28%も上回っており異例の伸びと言える。(6/19 FX)
5. 産業
(1)縫製品
・ 米コンサルティング企業報告によると、バの縫製工場労働者の平均賃金はアジアの主要縫製国のなかで最安値。時給換算ではバが0.22ドルに対し中国は0.86ドルであり、バ賃金は中国の4分の1。なお、その他の国では、マレーシア1.18ドル、フィリピン1.07ドル、印0.51ドル、インドネシア0.44ドル、スリランカ0.43ドル、ベトナム0.38ドル、パキスタン0.37ドル、カンボジア0.33ドル。(6/1 NA)
・ 最近のコスト高にもかかわらず、直近12ヶ月間の縫製品買付価格は1〜2%減少しており、当国縫製品製造業者を直撃している。(6/8 DS)
・ 今年度4月までの10ヶ月間でニット製品の輸出は43億9,300万ドルに上り、前年同期比20%増を記録。世界的なドル安が当国の主要競合国(中、印、越)のコストを相対的に高くしているという為替相場の要因が大きい(当館注:当国の為替相場は世界的なドル安の影響を受けておらずここ1年ほぼ一定を保っている)。(6/11 DS)
・ BGMEAはマイメンシンとナトールに新たに2つの縫製業職業訓練所を開設する。増大しつつあるアパレルセクターの熟練労働者育成への要求に応えるものとなる。(6/25 FX)
・ 約5分の1の縫製工場は未だ最低賃金(月1,662.5タカ)を従業員に支払っていないことが500社への調査により明らかになった。(6/30 NA)
(2)通信
・ NTTドコモ社は3億5千万ドルで当国第3位の携帯電話企業アクテル社株式の30%を取得したことを発表した。(6/17 FX)
※当地英字新聞のウェブサイト
デーリースター紙
フィナンシャルエクスプレス紙
ニューエイジ紙
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